多種のシンバイオティクスが肥満者の減量と腸内細菌叢をサポート:RCT、ほか|GNGグローバルニュース2023年5月25日号

こんにちは、GNGの和泉です。
5月25日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号もさまざまな情報をお届けしていますが、特に今号では市場トレンドや消費者調査結果に関連するMarket Newsを多く取り上げています。

さらに今号では、Danone社の中国、北アジア、オセアニアにおける2023年第1四半期の売上成長率が最も高い伸びを示したというニュースをご紹介しています。Danone社の株式時価総額は、2022年から2023年にかけて19.78%増加し、402.4億ドルに達すると推測されています。

一方、乳製品分野でDanone社の競合として名前が挙がるNestlé社は、2023年1月18日時点の株式時価総額は3,360億ドルという世界最大の多国籍食品・飲料企業です。190カ国以上で事業を展開し、代表的なブランドとしてNescafe(ネスカフェ)、KitKat(キットカット)、Gerberなどがあります。

そのNestlé UK & Ireland社のCEOに対し、今月16日、複数の食品団体により署名された書簡が送付されました。
これは、キットカットにインスパイアされた新しい朝食シリアルであるKitKat cerealのパッケージに表示された『栄養価が高い』という主張は不正確で、「Nestlé社は栄養に関心があると言いながら従来製品から糖質を4分の1にしただけの朝食シリアルを販売し続けている」として、「無責任」な販売方法への注意喚起を行ったものです。

KitKat cerealの栄養表示によると、シリアル100gで24.7gの砂糖に相当し、シリアル30gで7歳児の推奨糖質摂取量の30%、6歳児では40%を摂取することになるとのことです。
食品団体関係者は、実際はその2倍、3倍の量を食べる子供が多く、1日の糖質許容量を1食で摂取する可能性が高くなることを懸念しており、書簡には、消費者の反発を受け、「Nestlé社は偽りの主張をウェブサイトの一部から削除した」と記載されています。

ロンドン大学クイーン・メアリー校の「Action on Sugar」政策・広報・国際プロジェクト担当、Mhairi Brown氏は、Nutrition Insight誌に対し「世界中で販売されている多国籍食品メーカー製品の栄養プロファイルを調査したところ、Nestlé社製品の約3分の2が健康的でないことが判明した」と説明しました。
今年初め、World Obesity Federation(世界肥満連盟)は、2035年までに世界人口の51%が過体重または肥満になると予測しました。

しかし、英国政府は昨年12月、2023年1月1日の施行が予定されていたジャンクフードを含む不健康な食品広告を禁止する法律を2025年まで延期することを決定し、「食品業界に屈した」と非難されています。

これらの製品を完全に禁止することは現実的ではありませんが、消費者が体に良いものをより多く選択できるようにするため、食料システムのバランスを調整するための政策を進めていく必要性を感じています。

皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。

和泉 美弥子

この記事について

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■GNGグローバルニュース 2023年5月25日号 トピックス

Market News マーケット
●プレバイオティクス需要の増加と消費者の意識変化
●肉・乳製品の栄養価を模倣するプラントベース製品は「負け戦をしている」
●オーストラリアのサプリメント市場トレンド:市場リーダーのBlackmores社とSwisse社がメンタルヘルスと睡眠製品に注力
●超加工食品:より安全で環境に優しく、栄養価の高い食品のための解決策?
●ピル疲れ:代替フォーマットにおける主なハードル

Products News 商品情報
●Remilk社のアニマルフリー乳たんぱく質がイスラエル保健省の認可を取得

Science News サイエンス
●ニンジン由来成分、BeniCarosが健康な腸内細菌叢を強化する可能性
●多種のシンバイオティクスが肥満者の減量と腸内細菌叢をサポート:RCT

Company News 企業情報
●Danone社の2023年第1四半期の売上成長率は、中国、北アジア、オセアニアで最も高い伸び
●韓国人参公社:米国市場での成功がグローバル戦略の最終段階

Regulatory News 法規制
●USDAの新規則により、オーガニック認証製品に対する消費者の信頼を強化
●Nutri-Scoreの飲料カテゴリー更新: 乳関連飲料がAからDにランクダウンの可能性
●米FTCが健康関連製品企業約670社に罰則通知を送付
●メラトニン配合グミ製品の85%以上はラベル記載と内容量に違い
●カナダ政府、ゲノム編集作物はGMではないと判断

[今号のハイライト]
多種のシンバイオティクスが肥満者の減量と腸内細菌叢をサポート:RCT

[2023/5/4] [nutraingredients.com]

タイのチュラーロンコーン大学の研究によると、シンバイオティクスを組み合わせたサプリメント「List flora®」は、過体重および肥満の人々の体組成、抗酸化能、腸内細菌叢の改善に役立つが、体重、BMI、ウエスト周囲径、体脂肪については対照群と有意差がつかないことが明らかになった。

今回の研究は、タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)とタイ国家学術調査委員会(NRCT)の支援、および「List flora®」サプライヤーであるAbsolute Well Being Group社の協力を得て、フラクトオリゴ糖を混合した多種類のプロバイオティクスが、過体重および肥満の人の体組成、抗酸化能、および腸内細菌叢の構成に及ぼす影響を評価するために実施された。以前の研究では、特定のラクトバチルス属とビフィドバクテリウム属の種を組み合わせることで、代謝パラメータを改善し、体重減少を助けることが示されている。

本研究は、18~45歳の63名を、シンバイオティクスサプリメント摂取群(以下、シンバイオティクス群)またはプラセボ摂取群(以下、対照群)のいずれかを12週間摂取する群に割り付ける、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を採用。

シンバイオティクス群は、「List flora®」1袋(37x109CFUの7種類のプロバイオティクスブレンドおよびフラクトオリゴ糖2g)を、対照群はマルトデキストリン2gを毎日摂取した。参加者は、ベースライン時、6週目、12週目に、身体測定、採血、糞便サンプル、食事評価を受けた。

研究の結果、シンバイオティクス群では、ウエスト周囲径が2.57%、体脂肪率が4.21%減少したのに対し、対照群ではウエスト周囲径が0.92%増加し、体脂肪率に変化はなかった。研究者らは、過去の2つの研究結果を基に、2つのプロバイオティクス菌株:ビフィドバクテリウム・ブレーベB-3およびラクトバチルス・ガセリ BNR17が体重減少に大きく関与していることを明らかにし、これらの株を含めた多種類のシンバイオティクスによって、体組成を改善できる可能性があると示唆している。

肥満は酸化ストレスと密接に関連している。これまでの研究では抗酸化能の有意な変化は確認されていなかったが、本研究の血漿抗酸化能の分析で、シンバイオティクス摂取群はプラセボ摂取群と比較して、トロロックス換算抗酸化能(TEAC)の有意な上昇と、それに伴うマロンジアルデヒド(MDA)の減少が認められた。

従来の研究結果との不一致の理由について研究者らは、今回の研究では、従来の研究とは異なるプロバイオティクス菌株を使用したことが要因である可能性を示唆し、シンバイオティクスの効果はプロバイオティクス菌株の選択によって異なる可能性がある、と説明した。

腸内細菌叢の分析では、シンバイオティクス群では腸内細菌叢の多様性の増加が示されたが、対照群との間に有意な差はなかった。ただし、12週目には対照群と比較して、ウエスト周囲径と体脂肪の減少に関連しているファーミキューテス/バクテロイデス (F/B) 比と、ファーミキューテス量の大幅な減少が見られた。

これらの結果から、多種類のシンバイオティクスの摂取が、過体重および肥満の人の体組成、抗酸化能、腸内細菌叢の改善につながることが示された。ただし、シンバイオティクス群と対照群の間に体重、BMI、ウエスト周囲径、体脂肪率に有意差は見られなかった。

研究者らは、多種類のシンバイオティクスの摂取は、過体重および肥満の人々の健康全般を改善する有益な戦略であると考えられるが、長期的な効果を判断するためにはさらなる研究が必要だとしている。本研究はNutrientsに掲載されている。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年5月25日号」より抜粋)

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