プラントベーストレンドを読み解く｜ウェルネスフード・ワールド第106回

こんにちは、GNG武田です。

先週、東京ビッグサイトで『食品開発展2022（Hi Japan）』が開催されました。会場では、昨年以上に「プラントベース」製品が目立ちました。まるで、今から5年半前の2017年3月に開催された” Natural Products Expo West”を彷彿とさせました。
2017年のNatural Products Expo Westを視察した際のGNGの注目トレンドは以下の通りでした。

1.プロテイン
・植物性プロテインの増加
・ブロススープの台頭
2.ナチュラルヘルシー・〇〇フリー
・グルテンフリー、他
・グラスフェッド、ケージフリー
3.スーパーフード、ローフード、ホールフード
4.Non-dairy, dairy-free(非乳製品)の一般化
5.ナチュラルヘルシードリンク
・コールドブリュー飲料
6.ヘルシースナック
・ミートスナック
・豆スナック
・野菜・果物スナック
7.サプリメントのトレンド
・プロバイオティクス
・美容
・脳の健康
・プラントベーストニュートリション（植物由来）

■10 Key Trends in Food, Nutrition & Healthの変遷

そして、この注目トレンドの裏づけとなるのが、New Nutrition Business誌の”10 Key Trends in Food, Nutrition & Health 2017”なのです。

Key Trend 1：腸の健康 2.0
Key Trend 2：プラントフード（植物性食品）
Key Trend 3：食品、飲料のスポーツ化
Key Trend 4：パーソナライゼーション
Key Trend 5：炎症
Key Trend 6：プロテイン
Key Trend 7：スナック化　
Key Trend 8：脂肪は追い風、砂糖は向かい風
Key Trend 9：良い炭水化物、悪い炭水化物。嵐の前の静けさ
Key Trend10：細分化

2017年当時、欧米では「ナチュラルヘルシー」と「ウエイトウェルネス」が2大トレンドとなっていました。
そして、この２つのトレンドのキーワードが「高プロテイン」「低GI」「満腹感持続」でした。

全てのトレンドは、この2大トレンドの影響を受けていました。

ナチュラル・オーガニック食品市場の成長を加速させたのは、2005年頃から始まる「スーパーフルーツ」「ミラクルグレイン」、2009年頃から始まる「グルテンフリー」食品、そして近年の「グリーンフード」「スーパーシード」といった、消費者にとって分かりやすいコンセプトであり、そしてこれらのコンセプトが消費者に受け入れられたことです。

2017年当時、プラントベーストレンドには、大きく分けて2つの流れがありました。１つは、プラントベースプロテイン、そしてもう1つは、プラントベースニュートリションです。プラントベースプロテインは、更に、乳代替品と肉代替品とに分けられます。そしてそれぞれ、異なるニーズに基づいて発展してきたことを忘れてはなりません。

乳代替品は、「腸の健康」トレンドと密接に関係しています。
乳糖不耐症、乳たんぱくアレルギーによる腸の不快感解消のため、豆乳、アーモンドミルクなどのプラントベース乳代替品が受け入れられました。

一方、肉代替品の歴史は古く、2000年頃から主に大豆ミートを中心とした「健康的な肉」を用いた食品が普及していました。この背景には、肉や飽和脂肪酸に対する不健康な情報が多く、肉を避ける食生活を求める人が増えていました。そして、「高プロテイン」「低炭水化物」を中心とした「ウエイトウェルネス」トレンドと、「サステナビリティ」トレンドによりプラントベース肉代替品への注目が再び高まりました。
一方で、乳製品は「高プロテイン」トレンドにより好調であり、飽和脂肪酸の見直しにより、肉そのものも見直されてきました。

2017年から5年半たった今、欧米のプラントベーストレンドは大きな変化をしています。今後の日本におけるプラントベーストレンドを考える際に、欧米の歴史を研究することはとても重要です。

特に、”10 Key Trends in Food, Nutrition & Health 2022”の１つである「プラントプロテインパラドクス」には、大きな示唆があると思います。そして、プラントベーストレンドは単独で動いている訳でなく、他のトレンドの影響を受けながら進化してきています。

これら多くのケーススタディから得られる学びは少なくありません。

■最新トレンドセミナー開催のお知らせ

先週からご紹介を開始しました、New Nutrition BusinessのJulian Mellentin氏を招いての最新トレンドセミナーの開催が、いよいよ再来週の金曜日に迫ってきました。
“10 Key Trends in Food, Nutrition & Health 2023”の先取りが出来るだけでなく、欧米と日本の違いも意識しながら、トレンドの先取りが出来る内容になると思います。お席もどんどん埋まりつつあります。ご興味のある方は、お早めにお申し込みください。

プロフェッショナルの通訳2名体制による高品質な講演体制となりますので、英語が得意でない方も、ストレスなくお聞きいただけると思います。もちろん、テキストも日本語対応しています。
質疑応答も日本語で対応しますので、この機会に、直接Julianに質問してください。

（株）グローバルニュートリショングループ　武田　猛

＜GNG研究会について＞

GNG研究会では、過去十数年にわたるニューズレターのバックナンバーを会員ページにてすべて公開しています。

そして、例えば「免疫」、「プロテイン」、「乳酸菌」、「腸内細菌叢」など特定のキーワードで過去の記事を見出し検索できるので、トレンド把握に役立ちます。

皆様のウェルネスフードビジネスに少しでもお役に立てましたら幸いです。

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武田 猛（たけだ　たけし）

代表取締役 ： 株式会社グローバルニュートリショングループ

18年間の実務経験と20年間のコンサル経験を積み、38年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外750以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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