プレバイオティクス、そして食物繊維の重要性|ウェルネスフード・ワールド第110回

こんにちは、グローバルニュートリショングループ(GNG)の和泉です。

COVID-19をきっかけに、ここ数年、私たちは自身の健康についてより意識するようになりました。

IFIC(国際食品情報評議会)が、2021年5月に公表したFood & Health Survey(食品&健康調査)によると、米国の消費者は、健康な腸内細菌叢をサポートするプロバイオティクスだけでなく、腸内にいる善玉菌のエサとなるプレバイオティクスにも一層の関心を寄せていることが分かりました。

プレバイオティクス市場の動向

米国の市場調査会社、Grand view researchによると、プレバイオティクスの世界市場規模は2021年に60.5億米ドルと評価され、2022年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)14.9%で成長すると予測されています。成分別で見ると、イヌリンのシェアが最も大きく、37%以上を占めています。

日本市場については、富士経済社のプレスリリースによると、2023年のプレバイオティクス【最終商品】(※)の市場規模は前年比2.7%増の4,616億円が見込まれています。

富士経済社によると、食品、ドリンク類、サプリメントのいずれも続伸し、機能性表示食品の積極的な商品展開によって、整腸効果だけでなく、腸活を通じた脂肪・コレステロール値改善やストレス緩和、免疫対策なども訴求することから、新規需要の開拓が進んでいることが大きな要因と言えます。

※プレバイオティクス【最終商品】の定義:食物繊維や乳酸菌(死菌)などを含有し、それら成分を訴求している食品、ドリンク類、サプリメントを対象とする。また、乳酸菌を含有する場合も対象とする。

消費者の認知が高まりつつあるプレバイオティクス

プレバイオティクスの研究は近年急速に進んでおり、研究者や業界関係者の間では、多くの可能性を秘めていることが分かっています。

さらに、市場調査会社FMCG Gurusが2022年に実施した、10カ国の消費者10,000人を対象に行った消費者調査によると、回答者の半数以上(54%)がプレバイオティクスを知っており、そのうち3人に1人近くが「チコリ根由来食物繊維」と「イヌリン」がプレバイオティクスであることを知っていると回答したそうです。

アジアの一般消費者の間ではさらに認知が広がっており、たんぱく質およびプレバイオティクス企業のFrieslandCampina Ingredients社がNielsen社と共同で実施した2022年の調査では、インドネシアの消費者の71%がプレバイオティクスを知っていると回答し、さらに、インドの消費者の30%、日本の消費者の46%が、ガラクトオリゴ糖(GOS)をプレバイオティクスとして認識しているという調査結果もあります。

ただし、欧米の一般消費者における認知度は十分とは言えず、プレバイオティクスがどのようなもので、どのような働きをするのかについてのさらなる啓蒙が必要である可能性があります。

2023年7月時点で、インスタグラムで#probiotics (#プロバイオティクス)とタグ付けされた投稿を検索すると200万件近くヒットしました。その一方で、#prebiotics (#プレバイオティクス)では約40万件でした。

プレバイオティクスの定義

プレバイオティクスは、腸内の乳酸菌・ビフィズス菌のエサとなり増殖を促進、整腸作用、ミネラル吸収促進などの働きがある食品を指します。

プレバイオティクスという用語は、1995年、英国の微生物学者Gibsonらによって提唱されました。

プロバイオティクスが生きた微生物を指すのに対し、オリゴ糖や水溶性食物繊維に代表されるプレバイオティクスは、「有用細菌の増殖を促進、あるいは、有害菌を抑制することによって、宿主の健康に有利に働く非消化性食成分」と定義されたのが始まりです。

プレバイオティクスの定義は、その後も多くの科学者によって提案されており、2017年には、同じくGibsonらによって「宿主微生物によって選択的に利用され、健康上の利益をもたらす基質」とする更新が提唱されました。選択的な微生物のエサという意味では1995年の定義と共通していますが、2017年の定義では宿主がヒトに限るものではないとしている点や宿主の消化管内に共生している微生物に限るものではないとしている点において、プレバイオティクスの概念が拡張されています。

プレバイオティクスとしての要件を満たす食品成分

オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ヒトミルクオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸など)、一部の水溶性食物繊維(イヌリン、グァーガム、アルギン酸、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど)。

腸内細菌学会が定めた、プレバイオティクスに要求される条件は以下の通りです。

1.消化管上部で加水分解、吸収されない。
2.大腸に共生する一種または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌等)の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化する。
3.大腸の腸内細菌叢(フローラ)を健康的な構成に都合の良いように改変できる。
4.宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導する。

プレバイオティクスの主な機能性

プレバイオティクスの機能性については、整腸作用(便通改善)、抗脂血作用、インスリン抵抗性の改善、ミネラル吸収促進作用、尿中窒素低減作用、大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善、アレルギー抑制作用、腸管免疫の増強等が報告されています。 また、オリゴ糖類のプレバイオティクスの多くは難消化性糖質であることから低カロリーでもあります。(出典:公益財団法人 腸内細菌学会HP

米国の食生活は食物繊維が不足

米国では、多くの消費者が不健康な食事やバランスの悪い食事を止めることができていません。便利さ、快適さ、あるいは行動パターンなど、様々な理由から、米国人はこのパターンに陥っています。

米国の食事で最も不足しているもののひとつは食物繊維であるとされています。

食物繊維は大きく分けて、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれに異なる働きがあります。

水溶性食物繊維: 文字通り水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があり、また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるため、高血圧を予防する効果もあります。

不溶性食物繊維: 水分を吸収して便の容積を増やし、大腸が刺激されることで排便がスムーズになります。また、有害物質を便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らす働きもあります。

また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されますが、不溶性食物繊維は、腸内細菌のエサになるというプレバイオティクス作用を発揮することは難しいとされています。

研究によると、多くの米国人は必要とされる食物繊維の摂取量に達していないようです。American Journal of Lifestyle Medicine誌に掲載された総説では、大人も子供も含む米国人の95%が、健康のために推奨される食物繊維量を摂取できていないと結論づけられ、これは、消費者に食物繊維の必要性および食物繊維不足の食事から生じる健康上の問題が広く認識されていないことを意味しています。

ご存じの通り、食物繊維が不足すると、消化器系の不調を引き起こす可能性があります。近年では「健康は腸から始まる」と言われており、食物繊維が不足した食生活は、短期的にも長期的にも健康上の問題を引き起こす可能性があるのです。

健康寿命を延ばす重要なポイントとして注目されているのが腸の健康です。

水溶性食物繊維に代表されるプレバイオティクス、そして不溶性食物繊維の両方をバランスよく摂取することで、腸の健康を維持し、健康寿命をも延ばすことができる可能性があるのです。

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(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子

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