研究により睡眠サプリメントにおけるパーソナライゼーションの重要性が判明、ほか|GNGグローバルニュース2023年6月12日号

こんにちは、GNGの和泉です。
6月12日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号も、培養肉の生産法によるCo2ガス排出量に関するニュースや睡眠や脳機能、そして腸内細菌叢に関するニュースなど、さまざまな情報をお届けしています。特に今号ではScience Newsを多く取り上げていますので是非ご覧ください。

さて、ご存じの方も多いと思いますが、国際糖尿病連合によると、現在、成人の10人に1人に相当する5億3,700万人以上が糖尿病を患っており、この数は2030年までに6億4,300万人、2045年までに7億8,300万人に増加すると予測されています。
糖尿病患者の4人に3人以上は低・中所得国に住んでおり、中でもアジアは最も影響を受けている地域です。

市場調査会社Mintelの調査によると、世界中で2型糖尿病の発症率が上昇しており、血糖値コントロールなど、2型糖尿病に関連する健康面をサポートする製品がより求められるようになる可能性があるということです。
食品大手のNestlé社もマレーシア市場で、血糖値の上昇を抑えることが臨床的に証明されている桑の葉エキスReducoseを含むフードサプリメント「Nutren GlucoSmart」、そして中国市場でもReducose配合粉末ミルク飲料「TangLv」を発売しています。

さらにNestlé USA社は今年4月、Lean Cuisineブランドで、米国糖尿病協会(ADA)による「Better Choices for Life Program」の冷凍食品栄養ガイドラインを満たす新商品を発売し、欧米でも血糖値コントロールが注目されていることがわかります。

私自身、米国アナハイムで今年3月に開催されたNatural Product Expo Westでも、ニッチではありますが血糖コントロールを謳う商品が確実に増えたことを感じました。

Mintel社は、血糖値コントロールに役立つ成分として微量ミネラルのクロムに注目し、食物繊維のような満腹感を与える成分と組み合わせることで、ウエイトコントロールサプリメントや食品・飲料製品市場で成長する可能性があると述べています。
同社によると、現在、世界で販売されている食品、飲料、サプリメント原料でクロムが占める割合は1%未満とのことです。今後の動きを観察していきたいと思います。

皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。

和泉 美弥子

この記事について

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この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2023年6月12日号 トピックス

Market News マーケット
●培養肉生産によるCO2排出量は牛肉の最大25倍となる可能性
●ストレス管理サプリメント市場で脚光を浴びる腸脳相関研究

Products News 商品情報
●アップサイクル発酵海藻および菜種粕を組み合わせた新しい代替たんぱく質の開発

Science News サイエンス
●テーブルオリーブは腸内細菌叢に有益なプロバイオティクス効果を発揮する可能性
●研究により睡眠サプリメントにおけるパーソナライゼーションの重要性が判明
●オメガ3脂肪酸の脳への運搬役であるMfsd2aがミエリン鞘形成を保護する可能性
●研究レビュー:高齢者の腸内細菌叢と骨格筋の関連性を解明
●EstroG-100が更年期症状緩和に有効である可能性:RCT
●腸内ヴァイロームの多様性が長寿のカギとなる可能性:研究
●RCT:ブルーベリーが機能性胃腸障害の症状緩和に役立つ可能性

Company News 企業情報
●Viome社、パーソナライズドニュートリション事業をカナダに展開
●Fonterra社の新しいスポーツニュートリションブランドはメンタルヘルスをコンセプトに

Regulatory News 法規制
●EUの認知機能サポート市場を取り巻く規制の現状
●シンガポールのNutri Gradeラベルが飲料の改質を促進

[今号のハイライト]研究により睡眠サプリメントにおけるパーソナライゼーションの重要性が判明

[2023/5/22] [nutraingredients.com]

新しい介入研究で、L-テアニン、GABA、L-セリンなどの睡眠サプリメント成分の有効性は、PC(Pre-condition/生活習慣や睡眠に関連する問題などの前提条件)に依存することが報告された。
現代では世界人口の 20%が不眠症に苦しんでいると推定され、不眠症は高血圧や 2 型糖尿病などの発症リスク上昇に関連している。薬物療法は一部の不眠症患者の症状改善に役立つことが示されているが、この治療法は依存症や記憶喪失などの副作用を引き起こすことが分かっており、自然な睡眠サポートへの需要が高まっている。
過去の研究により、L-テアニン、γアミノ酪酸(GABA)、キョウチクトウ葉抽出物(AVLE)、L-セリンが睡眠障害の軽減に有効であることが示されているが、睡眠障害やライフスタイルの違いによって睡眠サポートサプリメントの有効性に個人差があることが注目されている。そのため、本研究では、睡眠サポートサプリメントの効果を推定するための新たな基準を明確にするため、サプリメント、PC、被験者の睡眠障害との関連性が検証された。
本研究は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)により選定された睡眠に問題を抱える健康な被験者160 人を対象としたランダム化クロスオーバー介入試験である。使用したサプリメントには、L-テアニン(200mg/日)、GABA として大麦乳酸発酵抽出物(111.1mg/日)、AVLE(50mg/日)、L-セリン(300mg/日)、およびプラセボとしてマルトデキストリン 3,300mg/日が含まれていた。
試験は 9 日間の事前観察期間、その後、6 回(各 7 日間)の介入期間、少なくとも 5 回(各 7 日間)のウォッシュアウト期間で構成された。。6 回の介入期間中、各被験者はそれぞれ 4 種類のサプリメント(L-テアニン、GABA、AVLE、L-セリン)のうち 1 種類またはプラセボを摂取するか、マインドフルネスを実施した。

第 1 回目の介入期間前に各被験者の PC を特定し、サプリメントと睡眠障害の組み合わせごとに、サプリメントによって睡眠障害が改善された被験者と、改善されなかった被験者間で PC を比較した。
その結果、すべてのサプリメントが睡眠障害を大幅に改善することが認められた。
さらに、サプリメントおよび睡眠障害の違いにより、改善した被験者特有の PC が異なることが判明した。例として、乳製品をよく摂取する被験者は、摂取したすべての対象サプリメントにおいて睡眠障害の改善が見られた。研究者らは、これは特定の乳製品に福有れる機能性化合物に起因する可能性があると理論づけている。

研究者らは、「この研究は、睡眠サポートサプリメントの有効性を確認することで主要な PC を明らかにし、睡眠サポート成分の既知の効果に加え、個人のライフスタイル、睡眠状態、睡眠障害に基づいた睡眠サポートサプリメントのパーソナライズ化実装の可能性を示唆している」と強調した。
この研究は学術誌 Nutrients に掲載されている。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年6月12日号」より抜粋)

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