スペルミジンは加齢の影響を抑制する可能性、ほか|GNGグローバルニュース2021年7月12日号

こんにちは、GNGの和泉です。
7月12日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号もトレンドや法規等、様々な最新ニュースが盛りだくさんです。

今号のニュースの一部でも取り上げていますが、すでにサステナビリティは世界的なトレンドとなっています。そのサステナビリティ問題ですぐに思いつくものとして、牛から排出されるメタン(温室効果ガス)があるのではないでしょうか。

世界最大の牛肉サプライヤーであるCargill社は、この問題に対処しようとしています。同社は、英国のスタートアップ企業Zelp社と提携し、牛から放出されるメタンを吸収するために乳牛の鼻にかぶせるウェアラブルデバイスである、通称カウマスク(Cow mask)を開発しました。現在欧州で試用段階だということです。

カウマスクは牛用のハーネスに取り付けられ、窓の庇のように鼻先を覆います。そのマスクが牛から放出されるメタンを吸収し、二酸化炭素に変換するのだそうです。

メタンは、気候変動において二酸化炭素に比べて25倍もの影響があると言われています。牛の温室効果ガス問題が話題になり始めた当初、問題は牛の放屁であると信じられていました。しかし研究が進むにつれ、現在では牛のメタン排出量の90~95%が、牛の口から排出されるゲップであることが分かっています。Zelp社によると、カウマスクは、牛が排出するメタンの半分以上を吸収することが示唆され、さらに病気の初期兆候などのデータも収集することが可能だそうです。

Cargill社の食肉部門におけるこれまでのサステナビリティへの取り組みは、主に再生農業と呼ばれる土壌の改善に重点を置くもので、カウマスクは新たな試みとなるとのことです。
カウマスクの価格はまだ決定しておらず、専門家は、同製品の成功において最も重要な要素はコストになるだろうと考えています。

なお、Cargill社は現時点でカウマスクの使用を乳牛に限定しているそうですが、この試みが成功し、地球温暖化に対する畜産への風当たりが少しでも弱まっていくことを願っています。

(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

本日配信したグローバルニュースでは、2021年を支配すると予測される5つのサプリメント成分トレンド、COVID-19パンデミック前後で健康・フードシステムに対する消費者の意識に変化:Danoneレポート、
「ビーガンおよびベジタリアンのためのスポーツニュートリションガイド」発刊、脳の健康をサポートする栄養素、など12の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2021年7月12日号 トピックス

・APACのEコマースサプリメント市場を促進する主要トレンド4つ:Unilever社洞察
・2021年を支配すると予測される5つのサプリメント成分トレンド
・COVID-19パンデミック前後で健康・フードシステムに対する消費者の意識に変化:Danoneレポート
・「ビーガンおよびベジタリアンのためのスポーツニュートリションガイド」発刊
・オメガ3脂肪酸濃度の低さは喫煙と同等に早期死亡の要因となる可能性
・スペルミジンは加齢の影響を抑制する可能性
・脳の健康をサポートする栄養素
・ビタミンKはCOVID-19感染患者に有用:その重要な役割にスポットを当てる
・Medly Pharmacy社がPharmaca社を買収
・ダイエタリーサプリメントのラベル表記はボトルの内容と必ずしも一致しない:The Wall Street Journal
・高麗人参など8つの機能性成分に対する注意事項の変更、追加を提案:韓国MFDS
・NDIドラフトガイダンス改訂版を来年度のガイダンス発行優先リストに:FDA

[今号のハイライト]
スペルミジンは加齢の影響を抑制する可能性

[2021/6/14] [nutraingredients-usa.com]

ポリアミンの一種、スペルミジンは認知機能や脳の健康維持に有効であることが示唆されているが、加えて加齢による影響を抑える可能性が続々と報告されている。

ポリアミンは1600年代に精液から発見されたもので、その後盛んに研究が行われ、健康寿命を延ばすとして話題になっている。その一種であるスペルミジンも精液中に存在するが、動植物の組織にも含まれている。食品で言うと、大豆、チェダーチーズ、キノコ類、マンゴー、小麦胚芽などが挙げられる。

2018年、学術誌Cortexに掲載された研究は、スペルミジン補給を3カ月間続けたところ、認知機能が低下している高齢者の記憶力が改善したことを示唆した。Kaiviti Consulting社のMark Miller博士によると、複数の研究でオートファジー(*)を刺激する作用が指摘された。スペルミジンにはダメージを受け機能不全となったミトコンドリアを取り除く働きがあるのだという。機能不全のミトコンドリアは体内で酸化ストレスを引き起こす原因となることが分かっている。

また、Miller博士はAmerican Journal of Clinical Nutrition誌で発表された、829人(45~84歳)を対象としたスペルミジン摂取と死亡率との関係を検証した研究を紹介し、「スペルミジンを高摂取すると死亡率が低下する」と説明した。スペルミジン高摂取群と低摂取群を比較して、約5.7年の老化の差があったという。

スペルミジンは若年層の器官には高濃度に含まれているが、加齢とともに減少する。Miller博士は、「スペルミジンを始めとするポリアミンは、加齢による影響を抑制する点において高い能力を有していると考えざるを得ない。ダイエタリーサプリメントなどへの効果的な使用が期待される」との見解を示した。

*GNG注:オートファジーとは、細胞が自らの一部を分解する作用(自食作用)のこと。細胞内の古い、もしくは壊れたたんぱく質を分解し、新しいたんぱく質を作り出すメカニズム。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年7月12日号」より抜粋)

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