米国の食品小売業者は機能性飲料の商品棚を拡大、ほか|GNGグローバルニュース2021年7月27日号

こんにちは、GNGの和泉です。
7月27日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号もサステナビリティ、機能性飲料および食品トレンドなど、消費者の健康意識への高まりに関連するニュースが盛りだくさんです。

しかしながら、英国では以前から貧しい食生活による肥満が大きな社会問題となっています。これは同国に根強く残る階級社会にも関連した非常に深刻なものです。
低所得者層の人々は、クリーンラベルなどの健康的で新鮮な食品やサステナビリティについて考える以前に、経済的な問題からファストフードなどの安価な超加工食品を購入する傾向があります。

そのため英国では先日、肥満の原因となる超加工食品への依存の削減を目的として、食品に含まれる塩と砂糖にも課税する案が示されました。
これは英国の国営メディアBBCで取り上げられたため、既にご存知の方も多いかと存じますが、英国環境・食糧・農村地域省が今月15日に公表した、国家食糧戦略(National Food Strategy)に関する調査報告書の第2部で提案されたものです。

BBCによると、同報告書の著者である実業家のヘンリー・ディンブルビー氏は、「塩・砂糖への課税は無料の学校給食の提供を拡大し、低所得者層に対しより良い食事をサポートする可能性がある」と述べています。

一方、食品業界は、新たな課税により食品の小売価格の上昇につながる可能性があるとし、低所得層の家計への影響について懸念を示しました。

ディンブルビー氏はこれに対し、小売価格が上昇する可能性はほとんど無いと説明しています。英国政府の政策顧問でありBehavioral Insights Teamを率いる心理学者のデビッド・ハルパーン氏も、例として2018年4月に英国で導入された清涼飲料水への「砂糖税」(一定量以上の砂糖を含む飲料に課税)を挙げ、同税制によって清涼飲料水への添加糖が約3分の1減少、さらに売上高も増加しており、今回の提案に関しても同様の効果がある可能性が高いことを示唆しています。

同報告書によると、現在、英国の成人の約3分の2が健康体重を上回っており、そのうちの半数は肥満とされています。また、子どもの3人に1人は小学校を卒業する時点ですでに過体重なのだそうです。

英国では2020年7月にジャンクフードや脂肪や砂糖を多く含む食品の広告を制限する措置を発表するなど、肥満問題へのさまざまな対策を行っています。

長く培われた食習慣を変えることは非常に難しいため、子どもの頃から健康的な食事を当たり前に食べることができる環境を作ることの重要性を感じました。

(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子

この記事について

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本日配信したグローバルニュースでは、ニュージーランドの食品関連企業は機能性成分・食品の輸出に注力、米国の食品小売業者は機能性飲料の商品棚を拡大、NMNがアマチュアランナーのトレーニング効果を高める可能性、Lallemand社のビタミンD高含有酵母の使用範囲が拡大可能に:EFSAなど13の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2021年7月27日号 トピックス

●ニュージーランドの食品関連企業は機能性成分・食品の輸出に注力
●米国:ビーガン向け食料品店の店舗数が最も多い州が明らかに
●米国の食品小売業者は機能性飲料の商品棚を拡大
●食品・飲料におけるサステナビリティは差別化要因ではなく必須なもの:Kerry社の消費者調査
●オメガ3およびプロバイオティクス含有ミルクチョコレートは理想的な機能性食品になる可能性
●NMNがアマチュアランナーのトレーニング効果を高める可能性
●若年米国人のマグネシウム摂取量増加が敵意の低下に関連する可能性
●Provenance Bio社が従来の動物由来ゼラチンに対抗可能なビーガンゼラチンを発表
●Nestle社、プラントベース肉とのハイブリッド肉で培養肉市場への参入を目論む
●Delta-8THCの曖昧な合法性:米国
●米国FTC、罰金の可能性を含む「Made in the USA」規則を最終決定
●Lallemand社のビタミンD高含有酵母の使用範囲が拡大可能に:EFSA
●欧州、2027年までに家畜のケージ飼育の段階的廃止を目指す

[今号のハイライト]
米国の食品小売業者は機能性飲料の商品棚を拡大

[2021/7/12] [newhope.com]

食品の小売業者はCOVID-19パンデミック以降、健康意識を高めた消費者のニーズに応え、商品棚を占める機能性飲料・ニューエイジ飲料の範囲を拡大している。

例えば、ユタ州にある高級スーパーマーケットチェーンHarmonsでは、19店舗で機能性および健康飲料の新規ディスプレイを展開している。
市場調査会社、Hartman Group社の「Functional Food and Beverage and Supplements」レポートによると、消費者の56%が特定の症状や疾患の予防、対応のために機能性飲料を求めているという。詳しく見ると、水分補給(34%)、エネルギー補給(18%)、一般的な予防(15%)、免疫(13%)、消化系(13%)、フィットネス(12%)、ダイエット(12%)となっている。

また、Mintel社の世界市場調査では、メンタルや感情に関する健康維持を目的とした機能性飲料を求める消費者が増大していることを示した。
Harmonsでは、免疫力の強化、あるいは消化器系の健康に関心を強める消費者を狙い、低糖のフレーバーウォーター、炭酸水分野の売り場確保にも力を入れている。

また、Sparkling IceやSmartwaterなどの機能性飲料およびスポーツドリンクブランドでは、シングルサーブ商品よりもマルチパック(多数包装)の売上が増加したという。

同社では、常温、冷蔵など、さまざまな飲料の適正温度に対応するため、デュアル温度ディスプレイを設置している。また、これまで扱わなかった新ブランド飲料の取り扱いも開始した。
HarmonsディレクターのMichael Arbuckle氏は、「プレバイオティクスや食物繊維などを配合し、消化器系の健康を助けるというOlipopブランドを導入したところ、ある店舗はOlipopの売上が米国内でトップとなった」と述べた。

前述のレポートによると、機能性飲料で最も多く求められる成分は食物繊維とプレバイオティクスで、消費者の26%がこの2成分に関心を示している。

米国のスーパーマーケットチェーン、Sprouts Farmers Marketでは、カリフォルニア州の50店舗で、レジ付近に新しい飲料水や機能性飲料を販売するディスプレイを展開、また、MadVine、Purely Sedona、100 Coconutsなど新しいブランド飲料の取り扱いを開始した。この夏からは全米の店舗で、Shaka Teaブランドを4フレーバーに増やして販売するという。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年7月27日号」より抜粋)

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