日本人のヘルスリテラシーは低いのか?|ウェルネスフード・ワールド第102回

こんにちは、GNG武田です。
5月31日に、一般社団法人ウェルネス総合研究所から『ウェルネストレンド白書Vol.2』が発刊されました。
昨年12月に発刊されたVol.1に続くレポートになります。

この『ウェルネストレンド白書』の特徴の一つは、プロファイリング分析により、生活者を「7つの健康セグメント」に分類し、各健康セグメントの特性を明らかにするとともに、各セグメントによる興味関心をヘルスベネフィット、素材・成分の観点から分析している点です。

「7つの健康セグメント」と特徴は次の通りです。

健康ストイック層:

「健康に良い」と言われる食品・飲料を、積極的に摂るだけでなく、不健康につながる食品・飲料は極力控える 。食事や生活習慣に気を遣ったり、適度な運動を続けることを面倒だとは思わず、意識高く習慣的に実践しているため、健康に関する知識も蓄積している

健康コンシャス層:

食品添加物や成分表示を気にして食材を選んだり、なるべく自然由来・無添加のものを食べるだけでなく、より自分にあった/続けやすい健康方法や食品がないか、ネットやSNSなどを通じて情報収集を行い、積極的に取り入れたいと考えている

コツコツ健康層:

添加物の多いものや、インスタント食品やファーストフードを控えるなど、不健康につながる食品・飲料を控えつつ、なるべく野菜を食べるといった健康的な行動を、まずできることからコツコツ積み重ねていこうという前向きな意識をもつ

ラクして健康層:

食べたいものを我慢したり、運動するよりもラクして健康を維持・増進したいと考えており、なるべく野菜を食べる、納豆やゴマなどの体に良いと言われている食品を食べるといった、手軽にできる行動に留まる

まだ大丈夫層:

不健康な生活であるという自覚があり、今のままではいけないとは思いつつも、健康のために食事に気を付けたり、定期的な運動をすることが面倒だと思っているため、「まだ大丈夫」という考えのもと、ただちに行動に移せない

トレーニング大好き層:

理想的な身体を手に入れるためには、ハードなトレーニングを行うことも苦にならないと感じている。時にはトレーナーからアドバイスを受け、運動後にはプロテインを飲むなど、トレーニング効果を高めるための行動には積極的である一方で、その他の健康意識はやや低い

健康無関心層:

不健康な生活であるという自覚はあっても、今の生活を改善しようとは思っていない。健康のために意識して行動を行うことそのものへの関心が低い

そして、各セグメントの出現率は次の通りでした。

              Vol.1       Vol.2
●健康ストイック層    9.0%      8.8%
●健康コンシャス層    7.8%      8.0%
●コツコツ健康層      17.2%     18.6%
●ラクして健康層     19.5%     19.9%
●まだ大丈夫層      27.3%     24.5%
●トレーニング大好き層  6.1%      6.6%
●健康無関心層       13.1%     13.7%

2回の調査対象者は一切重複していませんので、この割合は今の日本において、普遍性があると思います。
分類してみてわかったのは、日本人のヘルスリテラシーは決して高くないということでした。

ヘルスリテラシーとは、WHOの定義によると「健康維持、または維持に必要な情報にアクセスし、それを理解して利用していくための、個人の意欲や能力を決定する、認知・社会的なスキル」です。
もともと日本は国際的に見てヘルスリテラシーが低いと言われていましたが、それを証明した形になりました。

「健康ストイック層」「健康コンシャス層」「コツコツ健康層」がいわゆるヘルスリテラシーが高い層になりますが、Vol.1ではこれが全体の34.0%、Vol.2でも35.4%と、約3割しかいませんでした。

ここで注意しなければならないのは、ヘルスリテラシーが高い人と、低い人に同じ情報を出しても購買につながらないということです。
ターゲットとする生活者のヘルスリテラシーを見極めることが、効果的なマーケティングのためには必要ではないかと思います。
それぞれのセグメントについては、ヘルスベネフィットごとにどのような対策手段をとるかも分析されています。

例えば「美肌」というヘルスベネフィットに対して、薬を飲むのか、サプリを摂るのか、食生活を改善するのか、運動習慣や生活習慣を変えるのかといった傾向について知ることができます。
これまでは、「20代から30代の女性」と一括りにしたデモグラフィックな見方しかできなかったのが、ターゲットとする顧客が20代から30代の女性のうちの「健康ストイック層」なのか「健康コンシャス層」、そして彼女たちはこちらが提供しようとするベネフィットに対してどのような対策手段をとるのか、といったことを理解した上で、商品開発やアプローチの仕方を考えられるようになります。

パーソナライゼーションが進んだ今、「7つの健康セグメント」という考え方が有効になるのでは、と思います。

(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛

<GNG研究会について>

GNG研究会では、過去十数年にわたるニューズレターのバックナンバーを会員ページにてすべて公開しています。

そして、例えば「免疫」、「プロテイン」、「乳酸菌」、「腸内細菌叢」など特定のキーワードで過去の記事を見出し検索できるので、トレンド把握に役立ちます。

皆様のウェルネスフードビジネスに少しでもお役に立てましたら幸いです。

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18年間の実務経験と20年間のコンサル経験を積み、38年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外750以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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