森下仁丹、大腸に届くカプセルで便通改善 サプリ開発へ、ほか|GNGニューズレター7月14日号

本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、FTCのHealth Products Compliance Guidanceの中から、エビデンスに関する部分を抜粋してご紹介しています。

国内ニュースからは、サントリー、「生サプリラテ」の販売開始、2023 年 5月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比5.3%増加、森下仁丹、大腸に届くカプセルで便通改善 サプリ開発へ、などといった話題を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

こんにちは、GNG武田です。

先週は、さくらフォレスト㈱の措置命令を受けて、業界は大騒ぎとなりました。研究レビュー(届出SR)の内容の不備による措置命令は、制度スタート以来、初めての事例です。過去の、広告内容が届出情報を逸脱していることによる措置命令とはインパクトが違います。

一方で、業界内には混乱も見られます。混乱の背景には、食品表示法と景品表示表を一緒くたに考えることによる誤認があると思いました。そして、未だ、届出公表が消費者庁により「認められたこと」と思っている方が少なくないことに驚きました。
一部業界新聞にも、届出資料のチェックを受け公表された機能性表示食品の機能性に関する科学的根拠が景品表示法違反になるのはおかしい、といった内容の記事もありました。(GNGでは「受理」という言葉を意識して使わないようにしていますが、未だ「受理」という言葉が使われ続けていることも、このような誤解を招いていると思います。)

私のセミナーを受講して下さった方は耳にタコが出来ていると思いますが、「届出完了したら終わり(OK)」ではありません。つまり、届け出た情報の内容に不備があれば機能性表示食品の要件を満たさず、いくら届出書類が公表されていても、それらは景品表示法上「合理的根拠」とならないということです。
そして、食品表示法違反にもなります。「届出撤回」は食品表示法違反を免れるための、言葉は悪いですが「温情」だったわけです。しかし、今回は景品表示法の「優良誤認表示」に該当すると判断されたわけです。

食品表示法と景品表示法が混在して分かりにくい、という声も聞きますが、実は米国サプリメント制度も同じような立て付けなのです。

機能性表示食品制度の参考とされた米国ダイエタリーサプリメント制度を見てみましょう。米国ダイエタリーサプリメント制度は、正確にはDietary Supplement Health and Education Act(DSHEA)ですが、この法律を所管するのがFDA(Food and Drug Administration)です。一方、ダイエタリーサプリメントの広告を取り締まるのはFTC(Federal Trade Commission)で、FTC lawで規制しています。
つまり、
FDA:DSHEA
FTC:FTC law
という関係です。

DSHEAはダイエタリーサプリメントを規制する法律、FTC lawはダイエタリーサプリメントを含む表示(広告)を規制する法律です。米国ダイエタリーサプリメントの違反事例を見てみますと、FTCによる告訴(訴訟ではありません)により解決を図っています(多くは和解金の支払い)。

そしてFTCはダイエタリーサプリメントを含む健康関連製品(Health Products)の広告規制に関するガイダンス(Health Products Compliance Guidance)の中でクレーム(主張)の立証に関する考え方を詳細に示しています。

これを日本に置き換えてみますと、
食品表示企画課:食品表示法
表示対策課:景品表示法、健康増進法(今回は景品表示法)
となります。

そして、Health Products Compliance Guidanceに該当するのが、健食留意事項(健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について)です。

また、一部メディアでは「査読付き論文」を消費者庁が認めないことは学術論文のあり方を否定するに等しい、と批判していました。

しかし、FTCのガイダンスでは「厳格な査読プロセスを経ていない研究は、FTCによってより厳しい検証が行われる。」と示されています。

「査読付き論文」なら何でも良い訳ではなく、投稿先のジャーナルの質も重要であることは、日経クロステックの記事でも指摘されていますし、検証事業でも指摘されていることです。

本号では、FTCのHealth Products Compliance Guidanceの中から、エビデンスに関する部分を抜粋してご紹介します。広告を取り締まる側であるFTCのエビデンスに対する考え方を知ることで、今回の表示対策課の対応の意味を理解することが出来ると思います。

そして、エビデンスへの向き合い方の参考になると思います。

武田 猛

GNGニューズレター(国内情報) 2023年7月14日 トピックス

<国内ニュース(要約)>

NEW PRODUCTS 新商品
●日本初、植物乳酸菌発酵飲料「マイ・フローラ」を機能性表示食品としてリニューアル発売
●日本初の機能性饅頭「金の月化粧」が新発売
●ノルウェー企業が本気で開発、子供の骨の成長に注目した栄養機能食品「BeinBein 骨+」の販売スタート
●サントリー、「生サプリラテ」の販売開始
●J-オイルミルズ、α-リノレン酸による肌に関する機能性表示食品を販売開始

MARKET NEWS マーケット
● 【重視するのは味】女性のプロテイン普及率や摂取目的を調査
●2023 年 5月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比5.3%増加

COMPANY NEWS 企業情報
●産学医により日本最適化栄養食協会が設立
●おいしさと持続可能な社会の両立へ 国内調味料初、100%再生PET樹脂ボトルをキユーピー テイスティドレッシングと機能性表示食品ドレッシングの全品に採用
●キリンホールディングスと日本ケロッグ、免疫ケアと腸内環境改善をサポートする新シリアル製品で提携
●森下仁丹、大腸に届くカプセルで便通改善 サプリ開発へ
●キリンとアサヒ、乳酸菌飲料に力 健康志向、新たな収入源に

SCIENCE NEWS サイエンス
●Hyperion FoodTech、国産牛の受精胚から多能性幹細胞を樹立
●ヤムイモ由来の生理活性物質が中高年者の筋肉の質を改善:RCT

REGULATORY NEWS 法規制
●機能性表示食品の措置命令を厳粛に受け止め、科学的根拠の再検証を求める

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[今号のハイライト]
森下仁丹、大腸に届くカプセルで便通改善 サプリ開発へ

森下仁丹は、胃や小腸では溶けず大腸まで届くカプセル技術を確立した。便通や腸内環境の改善に寄与するサプリメントなど新製品の開発に生かす。薬を効果的に患部に届けるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)にも応用できるとみており、医薬品分野を含めて用途開発を進める。日本医科大教授と共同研究を進め、主力商品のビフィズス菌サプリメント「ビフィーナ」などに採用する継ぎ目のない「シームレスカプセル」の技術を進化させた。
小腸や大腸でのカプセルの動きをコントロールするため、表面の皮膜や中身を保護する内部の層などあらゆる部位を原料から見直し、2021年2月、健常な成人10人を対象にカプセルを投与し内視鏡でその様子を観察したところ、「7人でカプセルが原型をとどめたまま大腸に到達しているのを確認した。」と発表した。
開発を進めているのが、カプセルに「短鎖脂肪酸」を入れた新製品だ。食物繊維などが腸内細菌によって発酵した時に生まれるもので、種類によって大腸の悪玉菌増殖を抑制したり免疫細胞を増やしたりする働きが報告されている。評価試験では、短鎖脂肪酸入りのカプセルを投与する前後で、腸内の腐敗で生まれるガスが低減することなどが確認できた。
ハードカプセルは長径が10~25ミリメートルなのに対し、シームレスカプセルは0.5~8ミリメートルと小さくできるため服用しやすいなどの特徴がある。同社は「医療用医薬品など様々な製品の開発、社会課題の解決につながることを期待している」と述べた。

(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2023年7月14日号」より抜粋)

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18年間の実務経験と20年間のコンサル経験を積み、38年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外750以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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