パーソナライズドニュートリションのトレンドトップ10:Qina社、ほか|GNGグローバルニュース2023年9月11日号

こんにちは、GNGの和泉です。

9月11日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号は、パーソナライズドニュートリション市場の最新トレンドTop10や、家庭用尿検査でメンタルヘルスの改善、ストレス、不安感への耐性を高めることを目的としたパーソナライズドニュートリションプラン、パーソナライズド食料品サービスのHungry root社など、消費者の好みや信念の細分化に基づいたサービスに関連する記事を多数紹介しています。

他にも、妊娠期間中に必要な栄養素に関する複数の記事、アジアの最新規制ニュースなど、様々な記事を紹介しています。是非ご覧ください。

ご存じの方も多くいらっしゃるかもしれませんが、最近、栄養素について身近に感じる研究ニュースがありましたのでご紹介します。

最近の米国の研究で、フルーツスムージーに酸化酵素であるポリフェノールオキシダーゼ(PPO)を多く含むバナナを加えると、野菜や果物に含まれるフラバノールのバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が低下することが判明したそうです。

研究者たちは、スムージーにはバナナを加えないことを勧めています。

この研究は、単盲検クロスオーバー試験で、8人の健康な男性にフラバノール含有バナナベーススムージー(PPO活性が高い)、フラバノール含有ベリースムージー(PPO活性が低い)、対照としてカプセル入りフラバノールを摂取してもらい、その後、血液と尿のサンプルを分析し、フラバノールがどのくらい含まれているかを測定しました。

その結果、バナナベーススムージーを摂取した後のフラバノール代謝物の最高血中濃度は84%も減少したということです。

研究者は、スムージーでより多くのフラバノールを摂取したい場合、ベリー類、ブドウ、ココアなどのフラバノールが豊富な果物にはPPO活性が高いバナナを組み合わせるのではなく、PPO活性が低いパイナップル、オレンジ、マンゴー、ヨーグルトなどを組み合わせることを提案しています。

食品の組み合わせは本当に難しいと感じます

皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。

和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2023年9月11日号 トピックス

Market News マーケット
●パーソナライズドニュートリションのトレンドトップ10:Qina社

Products News 商品情報
●パーソナライズド神経栄養素:メンタルヘルスに客観性をもたらすスタートアップ

Science News サイエンス
●妊婦のビタミンD不足予防にビタミンDサプリメント摂取を推奨
●血糖コントロールのために個々の血糖応答の理解が「極めて重要」
●コラーゲンペプチドの摂取は活発な中高年の疼痛、身体・精神の健康を改善する可能性
●妊産婦向けサプリメントに欠かせない4つの栄養素
●プロバイオティクスとハーブブレンドは喘息患者の肺の健康を改善する可能性
●新型コロナパンデミックは乳児の腸内細菌叢に大きく影響
●UPFの摂りすぎは重篤疾患リスクを高める可能性:欧州心臓病学会
●ジャガイモ由来のレジスタントスターチがヒスタミン低減と腸の健康増進に有効である可能性
●高頻度の片頭痛は食事の多様性が低いことに関連:横断研究

Company News 企業情報
●Arla社はNovozymes社の専門知識を活用した精密発酵乳製品分野への参入を計画?
●パーソナライズド食料品サービスのHungry root社、売上1.82億ドルを達成

Regulatory News 法規制
●中国の新たな知的財産保護政策はZespris社の違法業者との戦いの追い風となるか
●オメガ3サプリメントのラベルに疑問を呈し、規制強化を求める研究結果
●規制関連レビュー:インドの糖質とウエイトロス、台湾のアシュワガンダの消費制限など

[今号のハイライト]
パーソナライズドニュートリションのトレンドトップ10:Qina社

[2023/8/8] [nutraingredients.com]

パーソナライズドニュートリション市場に特化した調査会社であるQina社が、最新トレンドトップ10を発表した。

1.ビッグテックの関与
AppleやGoogle などの企業は医療提供者と提携し、ユーザーデータに基づくパーソナライズされた推奨事項を提供することで、パーソナライズドニュートリションにおいて大きく進化した。
例えば、Google Health Connectという新しいアプリはFitnessPal、Oura、Pelotonなどのブランドも参加しており、プライバシーを損なうことなく、ヘルスアプリとフィットネスアプリ間で簡単にデータを共有できる。
Qina社のCEO兼創設者Mariette Abrahams氏は「このようなアプリは状況を大きく変えるだろう」と述べ、パーソナライズドニュートリション企業は、競争力を維持し、より広い消費者層にリーチするため、大手テクノロジー企業と提携する必要があると警告している。

2.自宅での血液採取
DIY血液採取キットが人気を集めており、消費者は自宅から血液サンプルを提供することができる。これにより、より幅広い健康バイオマーカーの分析が可能になり、肝機能や甲状腺機能などに関する知見が得られるようになった。Abrahams氏は、「企業は採血技術の最新イノベーション情報を入手し、顧客がどのように利用しているかを理解する必要がある。血液検査結果の正確な解釈を確実にするためには、規制当局の監視が必要かもしれない」とアドバイスした。

3.医療としての食事
ポストパンデミック時代、消費者は栄養だけでなく、薬としての食事も重視するようになった。食事計画やレシピのプラットフォームが人気を博し、パーソナライズドニュートリション企業の最も付加価値の高いサービスとしてサプリメントを上回っている。Abrahams氏は、「企業は製品、栄養成分、原材料などの情報を簡単にアクセス可能にすることを優先すべき。味覚や文化的嗜好を満たすことで健康増進のツールとしてのミールキットの効果が高まる」とアドバイスした。

4.更年期障害と不妊症を超えるフェムテック
フェムテックは、更年期と不妊症にとどまらず甲状腺疾患やPCOSなどに対処するまで拡大している。スタートアップ企業は、データ主導のアプローチや医療に代わる自然療法を開発し、さまざまなライフステージにおける女性の健康ニーズに対応している。Abrahams氏は、「フェムテックに栄養学を組み込むことによって、デジタル治療、アプリ、製品に大きな機会をもたらす。女性の健康は成長市場であり、大きな可能性を秘めている」と述べた。

5.医療化されるウエイトロス
ウエイトロス業界では消費者が健康全般のための解決策を求め、世界的なメタボリックヘルスの危機が深刻化しており短期間でのウエイトロスの需要が高まっている。企業は、パーソナライズドプログラム、行動変容コーチング、医療専門家へのアクセスを一括で提供することによって対応し、以前のライフスタイルに重点を置いたサービスから、より医療的なアプローチに移行している。
Sequenceというウエイトロスオンラインプログラムを例に挙げると、臨床医はSequenceを利用し、慢性的なウエイトマネジメントに悩む患者に処方箋を含む医療的ケアを提供している。
Abrahams氏は、「業界は、アプリ、デバイス、ウェアラブル、医薬品を含めた包括的なソリューションを提供することで、代謝性疾患に対処しなければならない。消費者の多様なニーズを満たし、長期的な健康目標を達成するために、パーソナライズされたアプローチが不可欠だ」と述べた。

6.ニュートリゲノミクスの復活
DNA分野のスタートアップ企業が台頭し、この分野への関心が再び高まっていることを示すとともに、長寿と美容に焦点を当てたエピジェネティクス(一般的に、DNAの塩基配列を変えずに細胞が遺伝子の働きを制御する仕組みを指す)に基づくソリューションがこの分野を席巻している。
企業は、遺伝学と環境との相互作用や、遺伝子が時間とともにどのように変化するかを考慮するエピジェネティクスに注目しており、例えば、英国を拠点とするMudho社は、消費者にエピジェネティクスプロファイリングを提供し、高度なウェルネスツールとして定期的にエピジェネティクスをモニターできるようにしている。

7.なんでもChatGPT
いくつかのパーソナライズドニュートリションブランドは、ChatGPTテクノロジーを統合して顧客エクスペリエンスを向上させ、即座に情報を提供している。専門家の知識が身近になるこの傾向は今後も続くと予想される。Abrahams氏は、ChatGPTで生成された情報に規制がなく、消費者の信頼を失う懸念を指摘した。

8.ポストバイオティクス
ポストバイオティクスは、腸の健康と炎症抑制に効果をもたらす物質として、科学論文や投資において注目を集めている。Abrahams氏は、「科学的な不確実性は残っているが、ポストバイオティクスの腸内環境の改善との関連性は明らかだ。企業は需要に応え、腸内環境を改善する製品を開発すべきだ」と述べた。

9.メタボリックヘルス
メタボリックヘルスは業界で注目されており、Abrahams氏によると、この分野への投資が顕著に増加しているという。継続血糖モニター(Continuous Glucose Monitors; CGM)を製品やウェアラブルに統合することで、ユーザーに代謝に関する健康状態の洞察を提供している。

10.1回分のパーソナライズドサプリメント
消費者は、複数の錠剤パックの代替品を求めており、1回分のサプリメントを個人向けにカスタマイズする傾向にある。企業は、3Dプリントやパーソナライズされた粉末サプリメントなどの革新的なアプローチを模索し、消費者に1日分のサプリメントを一度に摂取できる便利な製品を提供している。
Abrahams氏によると、医療専門家は、責任あるサプリメントの使用を保証する上で重要な役割を果たしているという。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年9月11日号」より抜粋)

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