アストラガルス根が激しい運動による免疫抑制を防ぐ可能性、ほか|GNGグローバルニュース2021年9月10日号

こんにちは、GNGの和泉です。
9月10日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号も様々なニュースが盛りだくさんです。
その中で、中国のA2ミルク市場についての記事も取り上げています。

皆さまも良くご存知かと思いますが、牛乳を飲むと下痢をしてしまう人がおり、その主な要因として、「乳糖不耐」「カゼイン不耐」などが挙げられます。
乳糖不耐症は、牛乳の中に含まれる乳糖(ラクトース)を消化吸収するための小腸の消化酵素である、ラクターゼの分泌不足が原因です。

そして、カゼイン不耐症は牛乳に含まれるβカゼインというタンパク質が原因となって起こります。
βカゼインには、さらにタイプがあり、A1とA2という2タイプが確認され、そのうちのA1タイプのβカゼインが消化器系の不調の原因のひとつだと言われています。
乳牛は、その個体が持つ遺伝子によって、A1タイプのみを出す系統、A1とA2タイプの両方を出す系統、さらにA2のみを出す系統に分けられます。

オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)が公表したA1ミルクとA2ミルクに関するファクトシートによると、日本の乳牛の多くを占めるホルスタイン牛は、その遺伝子の特性上、A1ミルクを出す個体が非常に多い事が分かっています。
日本ではあまり馴染みのないA2ミルクですが、現在、少しずつ認識が深まりつつあります。

例として、岡山県の蒜山酪農組合所属の酪農家が飼育するジャージー牛の遺伝子検査を実施したところ、7割以上の比率でA2ミルクを出す個体がいることが判明したそうです。

蒜山酪農では、A2ミルクはジャージー乳本来が持つ有意性であると考え、この利点を生かすため、近い将来「蒜山ジャージー牛乳」を全てA2ミルクにするための取り組みを行っているそうです。
A2ミルクの日本での入手経路はまだまだ限られていますが、将来、気軽にA2ミルクを手に取ることができる日が来るかもしれません。

(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

本日配信したグローバルニュースでは、 世界のプラントベース代替食品の小売売上高は2030年までに1,620億ドルに達する可能性、 中国のA2ミルク:長期的な成長の可能性について意見が分かれる 、 アストラガルス根が激しい運動による免疫抑制を防ぐ可能性 、 Nestle社、シンガポールのR&Dセンター拡充とアクセラレータプログラム開始を発表 、など12の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2021年9月10日号 トピックス

●世界のプラントベース代替食品の小売売上高は2030年までに1,620億ドルに達する可能性
●健康および気候の危機はどちらも「プラント・フォワード」食で対処可能:Menus of Change会議報告
●中国のA2ミルク:長期的な成長の可能性について意見が分かれる
●APACの母親が乳幼児ミルクに求める健康上の利点は脳と免疫機能の健康
●ヒトコラーゲンを模倣した最先端のビーガンコラーゲンブランドVeCollal
●キノコが免疫機能の栄養および健康に重要な役割を果たす:英国・アイルランド生産者報告書
●アストラガルス根が激しい運動による免疫抑制を防ぐ可能性
●カロテノイドなどの栄養不足が認知機能低下と認知症のリスク因子に
●フラボノイドが腸内細菌叢に及ぼす変化により血圧の改善に関連する可能性
●CBD商品メーカーのCV Sciences社の収益、第2四半期は回復傾向に
●Synbio Tech社が肝臓ケアプロバイオティクス「SynForU™-HepaAid」を開発
●Nestle社、シンガポールのR&Dセンター拡充とアクセラレータプログラム開始を発表

[今号のハイライト]
アストラガルス根が激しい運動による免疫抑制を防ぐ可能性

[2021/8/19] [nutraingredients.com]

アストラガルス(キバナオウギ)の根(AMR)は激しい運動に起因する免疫抑制を防ぐ可能性が、ポーランドの研究で示唆された。

激しい運動は、免疫バランスを崩し、炎症やアレルギーを助長すると考えられる。これは、激しい運動に伴い、NK細胞やT細胞の数などが低下し、ストレスホルモン、抗炎症性サイトカインなどが分泌されることによるものと指摘されている。
ポーランドのPoznań University of Physical Education研究チームは、ポーランドのボートチームの18人を対象に、AMRの免疫機能に対する影響を二重盲検比較試験で検証した。

被験者は、参加した訓練キャンプの開始時および最後にボート漕ぎマシンを使った2000メートルの運動テストを受けた。訓練キャンプ中、10人にAMR(500mg)を、8人にはプラセボを摂取してもらった。

また、訓練完了後の1分後と運動テストの24時間後に被験者の血液サンプルを採取し、サンプルから、インターロイキン2(IL2)、4(IL4)、10(IL10)、インターフェロンɣ(IFN-ɣ)、乳酸値を測定した。また、制御性T細胞(Treg)、細胞障害性リンパ球(CTL)、ナチュラルキラー細胞(NK)、TCRδγ陽性細胞(Tδγ)の亜集団も分析した。

この結果、AMR摂取群では、訓練キャンプ後もNKおよびTreg濃度はベースラインを維持し、Tδγはプラセボ群に比べ増加した。また、激しい運動に反応したIL2濃度の低下が進み、運動後の回復で誘発されたIL2/IL10の変化は、プラセボ群の変化に比べ増大したことがわかった。
これにより、研究者は「AMRは、サイトカインIL2の調節による回復中のNKおよびTreg細胞の安定化を通して、激しい運動を行うアスリートの免疫バランスを回復させた」と、結論付けた。
本研究はJournal of the International Society of Sports Nutritionに掲載されている。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年9月10日号」より抜粋)

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