COVID-19重症化の最大の要因
こんにちは、GNGの和泉です。
今号のNew Nutrition Business4月号では、COVID-19収束後の戦略について大きく取り上げられています。
食生活の重要性
COVID-19重症化の最大の要因とされる基礎疾患が、心血管系の病気といわれています。
欧米諸国では心疾患の割合が非常に高く、米国心臓協会(AHA)によると米国の成人の約半数が高血圧を含むなんらかの心血管疾患(CVD)を有しているそうです。
さらに米国の心臓病・脳卒中・糖尿病死の約5割が食生活の問題によるものであるという論文も発表されています。
普段の食事やサプリメントで健康維持を図ることの重要性が、今後ますます高まっていきそうです。
米国の工場閉鎖で食肉不足の懸念
今号ではプラントベース肉代替品についても取り上げられていました。
米国ではSmithfieldやTysonfoodsなどの食肉工場が、集団感染により続々と閉鎖されたことで食肉不足が懸念されています(4月28日に工場再開の大統領命令が出されましたが、組合は労働者の安全について問題を提議しています)。
COVID-19、外食産業に大きな影響
COVID-19感染拡大による外食サービス産業閉鎖の煽りをうけ、プラントベース肉代替品大手Beyond Meat社の株価は2月下旬から急落しましたが、食肉工場閉鎖のニュースが広まり始めた4月初旬から再び上昇しています。
しかしながらウォールストリートでは楽観視されておらず、4月27日、スイス金融大手UBSのアナリストは、Beyond Meatの目標株価を90ドルから73ドルに大幅に引き下げました。
COVID-19による外食サービス産業ビジネスの損失は大きいとみているようです。
中国では肉代替品が続々登場
ただし中国となると話は変わり、世界経済フォーラムによればCOVID-19感染拡大が始まって以来、肉代替品に対する需要が高まっているそうです。
サプライヤーによれば、中国と香港の消費者は動物性の肉とCOVID-19の関連を懸念し、プラントベースの肉代替品に移行しているそうです。
米国コーヒーチェーン大手のスターバックスは、4月下旬から中国でBeyond Meatを使用したランチメニューの提供を開始しています。
この先消費者はどの様な選択をしていくのでしょうか。
プラントベース肉代替品の今後の行く末が気になるところです。
(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに英国発信の食品・栄養・健康分野の業界専門誌【NNBマガジン(New Nutrition Business)】を日本語に要約し、定期的にお届けしています(月1回)。
毎月、最新情報を「定点観測」することで、ブランド戦略、マーケット分析、法規制、新技術に関する世界の動向を素早くつかむことができます。
本日配信したNNBマガジンでは、肉代替品はフードサービスで急伸するも小売では下火、オーツミルクの急増は大豆、ココナッツ、カシューを減少させるなどを取り上げています。
この記事では、その会員向けマガジンの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
■NNB(New Nutrition Business)4月号 トピックス
今回、会員向けに日本語要約してお届けしたNNBの話題は以下の通りです:
●COVID-19後の貴社の戦略を特徴づけるための12の質問
●アーモンドミルクと肩を並べた乳糖フリー牛乳・プラントミルクより早い成長
●オーツミルクの急増は大豆、ココナッツ、カシューを減少させる
●肉代替品はフードサービスで急伸するも小売では下火
●消費者の冷蔵庫が物語ること
●糖尿病への低炭水化物療法は医師に受け入れられていくのか?
●ローシュガー、高たんぱくの考え方を基本とするブレインヘルスバー
●チーズをヘルシースナックに作り替えるAmazin Grazin
●Danone社は「他所ではなく地元のフルーツ」を使ったヨーグルトで来歴を伝える
●卵はローカーボのラップに改革を巻き起こす
●Mondelez社は消費者がスナッキングにおいてはサステナビリティより栄養を重視すると気付く
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[今号のハイライト]
COVID-19後の貴社の戦略を特徴づけるための12の質問
1. 食生活に関連する疾病についての議論は激化するか?
現在のところ、イタリアにおけるCOVID-19での死亡者の99%以上が、既存疾患を患った人々である(同国の保健機関による)。最も多い併存疾患には、代謝異常(高血圧、糖尿病、その他食生活に関連する健康状態)や心疾患等がある。諸外国においても、同様である。この難局の後には、食生活に注目が集まるだろう。
2. ヘルシーエイジングは再び注目されるか?
イタリアにおいて、COVID-19の死亡者の平均年齢は79.5歳である。3月17日時点で、死者2,500名中、50歳以下は17名のみだった。企業はこの25年間、ヘルシーエイジング商品に取り組んできたが、成功したのはわずかであり、ノルウェー最大の乳業Tine社のE+ブランドは、数少ない成功例である(NNB2019年8月号参照)。
3. 健康とサステナビリティは戦略上両立すべきか?
両立可能かとよく聞かれるが、難しい問題である。しかし、Mother Natureを見れば、双方が必要とされているのは明らかである。MERS、SARS、そしてCOVID-19を経て、唯一確実なのは、深刻な健康上の課題が続くということ、そしておそらく、より頻繁に起こるだろうということである。
4. 皆、アジア的になるのか?
アジアの消費者は長きにわたり、食品を薬として見ており、免疫力をサポートする食品を意識的に選んでいる。チキンブロス(チキンエキス)、プロバイオティクス、キウィフルーツのZespri(ビタミンC豊富)が成功した背景には、この事実がある。
5. 商品ラインは減るのか?
スーパーにとっては、商品数が少ないほど簡単で経済的であり、生産者にとっても複雑でない方が好ましい。例えば、フランスのパスタメーカーPanzani社は、コロナ禍前は120種を販売していたが、今は40種に絞っている。コロナ禍終息後にも、企業は商品の絞り込みによる金銭的メリットのためにスリム化を継続し、拡大には慎重になるだろう。
6. ブランドや新規ビジネスは減る?
英国のMorrisonsのようなスーパーチェーンは、既に取り扱いブランド数を減らすと発表している。それにより、多くの小ブランドは棚スペースの確保が難しくなるだろう。起業家によるスタートアップの時代は終わるのだろうか?
*会員ページでは、12の質問が参照できます。
(会員向けニューズレター「NNBマガジン2020年4月号」日本語要約版より抜粋)
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和泉 美弥子
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