【プレスリリース】【調査レポート】主要国の食品のポジティブリスト・ネガティブリスト制度比較調査~日本は医薬品の法律で規制?~

【調査レポート】主要国の食品のポジティブリスト・ネガティブリスト制度比較調査~日本は医薬品の法律で規制?~

健康食品業界に特化したコンサルティング会社である株式会社グローバルニュートリショングループ(本社:東京都豊島区西池袋5-17-11、代表取締役:武田 猛)は、紅麹問題で混乱している社会、不安を感じている消費者に対して客観的な判断に役立ててもらうために、主要国の食品のポジティブリスト・ネガティブリスト制度を比較、分析を行いました。その結果、主要国では食品のポジティブリスト制度が導入されており、新規食品制度等と補完関係にあることがわかりました。

調査の背景

紅麹問題で混乱している社会、不安を感じている消費者に対して客観的な判断に役立ててもらうために、これまで蓄積した知見を基に「機能性表示食品制度自体の問題」と、「食品全般にかかわる問題」を分けて整理・分析を実施しました。今回は、諸外国の食品のポジティブリスト・ネガティブリストト制度について分析するとともに、本制度のない日本の食薬区分リストを比較しました。

主要国のサプリメント制度の国際比較調査の主な結果

■■3つのグループに分類できる。
諸外国は、食品原料についてポジティブリスト、ネガティブリスト、或いはその両方で規制しています。また、そのどちらもない国もあります。ポジティブリストは、国によりその安全性が確認され、食品、又はサプリメントの原料として使用して良い素材や成分をリスト化したものです。一方、ネガティブリストとは、安全性が担保できないため、食品、又はサプリメントの原料として使用できない素材や成分をリスト化したものです。ポジティブリストに掲載されていない素材、成分は「新規原料」として扱われ、安全性の評価が必要になります(米国以外は国による許可が必要)。
                                                                                 *Self-GRAS とは、結果を FDA に通知していない GRAS のこと

⚫ 米国
・ダイエタリーサプリメント:ポジティブリスト(但し、1994 年以前のリストはない)
・ 食品:ポジティブリスト(但し、Self-GRAS*はリスト化されていない)
⚫ EU
・フードサプリメント:ポジティブリスト
・ 食品:ポジティブリスト
⚫ タイ
・ヘルスサプリメント:ポジティブリスト(ビタミン、ミネラル、アミノ酸のみ)
・ 食品:ポジティブリスト
⚫ シンガポール
・ヘルスサプリメント:ネガティブリスト
・ 食品:なし(ノベルフード制度あり)
⚫ インドネシア
・ サプリメント:ポジティブリスト、植物性原料はネガティブリスト(伝統薬に区分)
・ 食品:同上
⚫ 中国
・ 保健食品、食品:ポジティブリスト、ネガティブリスト
⚫ 台湾
・ 健康食品、食品:ポジティブリスト
⚫ 韓国
・健康機能食品、食品:ポジティブリスト、ネガティブリスト

■日本には、食品のポジティブリスト、ネガティブリストが無い?
日本には、食品のポジティブリストもネガティブリストもありません。それに近いものが、昭和 46 年の厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締役について」(通称「46 通知」)に添付されていた「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」と「医薬品的効能効果を標榜しない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(両方合わせて、通称「食薬区分リスト」)があります。しかし、このリストは医薬品かどうかを判断するためのリストであり、食品としての安全性を評価したものではありません。つまり、食品のポジティブリストでもネガティブリストでもありません。医薬品の法律で食品を規制するという、海外では見られない珍しい構造です。
そして、どちらのリストにも掲載されていない原材料はどう扱われるか、も重要です。「46 通知」には「(どちらにも収載されていない成分本質(原材料)を含む製品を販売する事業者は)厚生労働省に判断を求めることができる」と書かれています。現状は、事業者の判断、責任で販売されています。
また、厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」に関する Q&A について(平成 31 年 3 月 15 日)」には、医薬品成分を元から含有する生鮮食品は、その成分を含むからと言って直ちに医薬品とは判断しない、その加工食品も、その成分を抽出・濃縮・純化を目的としていなければ、直ちに医薬品とは判断しない、という内容が示されています(別添1参照) 

■「紅麹」は?
伝統的な製造方法による紅麹は、多くの国では新規食品には該当しません(EU では、フードサプリメントのみに使用可)。また、台湾「健康食品」には、個別評価型と規格基準型がありますが、「紅麹」は規格基準型の成分として台湾行政院衛生署が許可しています(別添2参照)。一方、米国ではダイエタリーサプリメントに紅麹を使用することは出来ますが、モナコリン K(ロバスタチン)の含有量が高い製品は FDA が警告文を出しています。いずれの場合も、国の関与が見られます。日本では、食薬区分リストの「専ら医薬品」リストには、モナコリン K もロバスタチンも掲載されていません。しかし、「46 通知」の「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」に、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」の考え方として、「専ら医薬品として使用実態のある物」と示されています。つまり、モナコリン K(ロバスタチン)は「専ら医薬品リスト」に収載されるべき成分となります(なぜ収載されていないのかはわかりません)。先の Q&A によれば、伝統的な製造方法であれば直ちに医薬品とは判断されません。

■今回の調査を通じて
主要国には、食品、サプリメントのポジティブリストがあります。国によって、サプリメントには使用できるが食品に使用出来ない原材料があります(その逆もあります)。ポジティブリストに掲載のない原材料は新規食品(ノベルフード)として、国による安全性の審査、許可が必要になります。医薬品成分についてもネガティブリスト等で食品やサプリメントに使用されないように制限がかかっています。一方、日本には「食品」のポジティブリスト、ネガティブリストがなく、医薬品の制度で医薬品の範囲が規定されているだけでした。保健機能食品を含む食品全体の安全性確保の観点から、「食品」のポジティブリスト、場合によってはネガティブリストの作成も課題の 1 つと考えられます。

調査の詳細

株式会社グローバルニュートリショングループが過去に調査した、主要国のサプリメント制度を再度確認し、保健機能食品制度等、国内の関連法規、通知等を参考に考察しました。

株式会社グローバルニュートリショングループ について

株式会社グローバルニュートリショングループは、グローバルなネットワークを有する、健康食品業界に特化したコンサルティングファームです。現在まで、海外20か国とのビジネスを経験し、国内外合わせて750件以上のプロジェクトを実施してきました。
世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」を設立、コンサルティング業務として食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発、マーケティング、海外進出などのコンサルティングを行っています。
【会社概要】
社 名: 株式会社グローバルニュートリショングループ
本社所在地: 東京都豊島区西池袋 5-17-11
代表者取締役:武田 猛
創立:2004年1月5日
HP: https://global-nutrition.co.jp/
事業内容:
・健康食品(サプリメント、機能性食品)に関するコンサルティング業務
・健康食品(サプリメント、機能性食品)の市場調査・分析
・健康食品(サプリメント、機能性食品)の新商品開発、マーケティング支援
・機能性表示食品届出サポート
ニューズレター、レポートの販売
・海外企業の日本市場参入の支援
・日本企業の海外市場進出の支援

【報道機関からの問い合わせ先】
TEL:03-5944-9813   広報担当:鈴木、有松
e-mail:info@global-nutrition.co.jp

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