消費者の関心は、睡眠、認知、免疫に集中:Fonterra社、7カ国調査、ほか|GNGグローバルニュース2022年12月12日号

こんにちは、GNGの和泉です。
12月12日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号も、様々な市場調査結果や最新の研究等、海外業界メディアから数多くの業界最新記事を取り上げています。ぜひご覧ください。

今号では、「消費者の関心は、睡眠、認知、免疫に集中」という記事が取り上げられています。

ニュージーランドの乳業企業、Fonterra社が2021年に実施した消費者意識調査ですが、
これから風邪・インフルエンザの流行シーズンに突中し、免疫力の維持・向上に更に注目が集まることが容易に予想できます。

今年の12月6日、冬に呼吸器系疾患が増加する生物学的理由が判明した可能性を示した研究が、学術誌The Journal of Allergy and Clinical Immunologyに掲載されました。この研究は米国大手メディアCNNでも取り上げられています。

すでにご存じの方も多いとは存じますが、CNNニュースからの抜粋を含め、以下にその概要をご紹介します。

ウイルスやバクテリアは一年中存在していますが、気温が低くなると風邪やインフルエンザ等にかかりやすくなる理由のひとつとして、冷気が鼻腔の免疫反応にダメージを与えていることが分かっています。

研究チームは、ウイルス/バクテリアが鼻から侵入した際、鼻の奥ではなく、鼻の入口付近でまず感知することを発見しました。

鼻腔を覆う細胞がウイルスや細菌を感知すると、細胞は、細胞外小胞(EV)と呼ばれる何十億もの自身の複製を産生します。EVには元の細胞よりも多くの受容体があり、鼻から侵入したウイルス/バクテリアはEVに付着することで鼻水として体外に排出され、体内への侵入を防ぎます。

さらに、体内の細胞には、侵入してきた細菌を攻撃するマイクロRNAというウイルスキラーが存在していますが、この研究で、鼻腔のEVには通常の細胞の13倍ものマイクロRNA配列があることが判明したそうです。

この研究では、4 名の研究参加者を15 分間、華氏 40 度 (摂氏 4.4 度) の気温にさらし、鼻腔の状態を測定しました。

その結果、冷気にさらされた場合、鼻腔温度が華氏9度(摂氏5度)も下がる可能性があり、EVの42%が死滅することが判明しました。同様に、各EV内のマイクロRNA量もほぼ半減し、受容体数は最大で70%減少、粘着性もかなり低下するということです。

研究者は、これは呼吸器系感染症に対する免疫システム能力が半減することを意味する、と述べています。

この研究は非常に小規模なものではありますが、鼻腔環境を温かく保つことで自然免疫防御システムの機能が維持、向上される可能性が科学的に示され、研究者は改めてマスクの重要性を伝えていますが、欧米ではいまだにマスク着用が定着していません。

そのこともあり、研究者は「将来的にこの研究を基にした鼻腔外用薬の開発を期待している」と語っています。

新型コロナウィルス関連のニュースは世界的に落ち着きましたが、多くの消費者が免疫機能の重要性を学んだ今、免疫機能の維持・向上は恒久的な課題になると思われます。

和泉 美弥子

この記事について

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本日配信したグローバルニュースでは、アナリストの見解:SupplySide West 2022の主なポイント、Theo’s Plant-Based社が「BEET Jerky」を発売、プラントベース飲料は牛乳の代替にはならない:スイス研究、明治とDeNAライフサイエンス社は適切なプロテインおよび摂取量を推奨するアルゴリズムを開発、など16の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2022年12月12日号 トピックス

Market News マーケット
●アナリストの見解:SupplySide West 2022の主なポイント
●韓国、インド、日本がアジアで最も多くのオメガ3新製品を発売 – GOEDレポート
●ハイブリッド食品で味に深みを、サステナブル意識にも対応
●消費者の関心は、睡眠、認知、免疫に集中:Fonterra社、7カ国調査
●買い物客がプラントベースフードを消費する主な理由は健康のためであるという調査結果

Products News 商品情報
●Theo’s Plant-Based社が「BEET Jerky」を発売

Science News サイエンス
●プラントベース飲料は牛乳の代替にはならない:スイス研究
●冬虫夏草の発酵菌糸体がドライアイの症状を緩和する可能性
●マルチストレインシンバイオティクスが腸の病気の症状を軽減する可能性
●フラボノールが加齢に伴う記憶力低下を遅らせる可能性
●Lancet誌の研究により、栄養失調について衝撃的な結果が明らかに

Company News 企業情報
●明治とDeNAライフサイエンス社は適切なプロテインおよび摂取量を推奨するアルゴリズムを開発

Regulatory News 法規制
●NMNに対するFDAの判断変更に業界から反発
●欧州は食品サプリメント業界に対する法的支援が少ない
●CBD含有商品でFDAが5社に警告状を送付
●ブレグジット以降のEUおよび英国の食品規制、その行方は

[今号のハイライト]
消費者の関心は、睡眠、認知、免疫に集中:Fonterra社、7カ国調査

[2022/11/29] [nutraingredients-asia.com]

消費者の最大の関心は睡眠の質、認知機能、免疫であることが、ニュージーランドの乳業企業、Fonterra社が行った消費者意識調差(「The Global State of Health & Wellbeing-Volume 1」)で判明した。

同社は、2021年8月、中国、日本、韓国、ドイツ、フランス、英国、米国の7カ国の消費者、計5,000人を対象に、健康や健康関連商品に対する嗜好、考え方、購買態度を調査した。これによると、82%が、ウェルビーイングにとって重要なものとして「睡眠の質」を挙げた。続いて、79%が認知機能を、78%が免疫と回答している。細かく見ると、中国の消費者は、健康と認知機能とを関連付ける傾向にある。

また、日本および韓国の消費者は、良い健康と良質な睡眠とを関連付ける傾向がある。同社のDan Luo氏は、「中国ではヘルシーな食生活を、日本および韓国では良質な睡眠を最優先している。各国の消費者が考える健康の意味によって、優先するものも異なってくる」と分析する。日本では疾患予防、韓国は身体的パフォーマンスの維持を優先課題としている。さらに韓国では、ヘルシーエイジングのためにたんぱく質を摂取する人が増えている。回答者の88%が主要な疾患を防ぐにはバランスの取れた食事が重要だというが、健康を維持するために健康的な食事をとる人は56%だった。

16%は、健康食品のヘルスクレームが信頼できないため購入しないと回答した。中国の消費者は、特にストレスに関連したヘルスクレームの場合、既存の製品の有効性が証明されていると信じていない」と、述べた。Luo氏は、「信頼の喪失は、特定成分の有効性に関する消費者の知識や認識が不十分なことも要因の一つ」と推察した。健康商品を買い渋る理由に、31%は、健康関連商品の価格が高いことも挙げている。日本や韓国の消費者は中国の消費者以上に、価格に敏感であり、商品の購入を決定する要因の上位に価格を指摘した。さらに、ウェルビーイングをサポートするために、健康関連商品を買うよりもヘルシーな食生活を実践したいとする裏には、副作用への懸念、商品の有効性についての疑問を挙げている。

Luo氏は、ブランドが新商品を開発する際には、ホリスティックな有効性、使いやすいフォーマット、商品の効果を証明する科学的エビデンスの3つが大切になると指摘した。ホリスティックな健康は、身体的健康と精神的健康の両方を満たすことが重要だという。睡眠の質、免疫力、消化器の健康、記憶力、認知機能といった複数の健康的懸念を抱いている消費者に対して、広範囲に対応できる商品の開発が求められる。

また、調査によると、商品の形状も商品開発の要素になる。人気のある形状は、カプセル、錠剤、RTD飲料で、ストレス対応の商品の場合、消費者の好みはさまざまに分かれるという。

同氏は最後に、「消費者の信頼を構築するため、ブランドは、商品の有効性を無作為化対照試験などにより確固たるエビデンスを提供すべき」だと、結んだ。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2022年12月12日号」より抜粋)

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