こんにちは、GNGの和泉です。
6月24日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号も多様なニュースを取り上げていますが、特にプラントベースたんぱく質に関連するニュースを多く紹介しています。さらにCBDについての最新ニュースも取り上げています。
今号では、EFSA(欧州食品安全機関)がCBD商品のノベルフード(NF/新規食品)申請評価を一時中断する意向を明らかにしたことに対する、英国のFSA(食品基準庁)の見解についてのニュースを紹介しています。
EUの法律では、CBDはノベルフードに該当するとみなされています。ただしニュースにもある通り、EFSAは現在、データのギャップとCBD摂取における潜在的な危険性に関する不確実性のために、ノベルフード(新規食品/NF)としてのカンナビジオール(CBD)の安全性を確立できないとして評価を一時中断しています。EFSAのNDAパネルは、「評価を進める前に、健康への影響に関する多くのデータギャップを埋める必要があると判断した。CBDが食品として安全でないと結論付けたわけではない」と強調しています。
EFSAによると、CBDによる肝臓、消化管、内分泌系、神経系、そしてメンタルヘルスへの影響についてのデータは不十分だとしています。動物研究では特に生殖に関する重大な悪影響が示されており、これらの影響がヒトにも見られるかどうかを判断することが重要だということです。EFSAはフォローアップの一環として、CBS製品のノベルフード申請者やノベルフードに関心を持つグループ、個人を対象とした情報セッションの開催を予定しています。
消費者が安心して手に取ることができる、安全が確立されたCBD製品がEUで上市するまでには、もう少し時間が必要なようです。
和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、Oraの新商品ライン:ブロッコリースプラウト由来スルフォラファン配合、高アミロース小麦は小児、青少年の食物繊維摂取を改善する可能性、ルテイン+ゼアキサンチンが加齢による視力障害の進行リスクを抑える可能性、Brevel社、藻類由来たんぱく質生産で事業拡大へ、Hyfe Foods社、食品産業排水のアップサイクルで菌糸体由来小麦粉代替品の生産へ 、など18の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2022年6月24日号 トピックス
MARKET NEWS マーケット
●消費者の食事サイクルは細分化、たんぱく質、砂糖削減が鍵
●ヨーロッパの間食習慣: 誰がいつ、どこで何を間食しているか
Products News 商品情報
●Oraの新商品ライン:ブロッコリースプラウト由来スルフォラファン配合
Science News サイエンス
●ウロリチンAが中高年の筋力を改善する可能性
●高アミロース小麦は小児、青少年の食物繊維摂取を改善する可能性
●ルテイン+ゼアキサンチンが加齢による視力障害の進行リスクを抑える可能性
●高齢者の高ポリフェノール摂取は神経保護抗酸化物質の産生を増大する可能性
●禁止カンナビノイドを含有するCBD含有商品は多く、アスリートは「うっかりドーピング」の危機に
●コラーゲンペプチド補給は心血管疾患マーカーに有効な影響を及ぼす可能性
●ビタミンDのサプリメント摂取が70歳以上の死亡率を低下する可能性
Company News 企業情報
●Beyond Meat社に対し2件の集団訴訟:「商品のたんぱく質含有が広告内容と異なる」として
●Brevel社、藻類由来たんぱく質生産で事業拡大へ
●Hyfe Foods社、食品産業排水のアップサイクルで菌糸体由来小麦粉代替品の生産へ
●AAK Foodservice社、「ForA:Butter」ブランドを買収
●Hershey Company社、プラントベースチョコレート生産技術の特許を出願
Regulatory News 法規制
●米上院の委員会がFDASLAのディスカッションドラフトを提出
●FDA、「mandatory product listing(製品リストへの掲載義務化)」の利点を説明
●英国のFSA、「CBD商品に対するEFSAの懸念はCBD市場を脅かすものではない」
[今号のハイライト]Hyfe Foods社、食品産業排水のアップサイクルで菌糸体由来小麦粉代替品の生産へ
[2022/5/31] [foodnavigator-usa.com]
スタートアップ企業のHyfe Foods社は、食品・飲料メーカーの産業排水を利用して、低炭水化物、高たんぱく質でグルテンフリーのミセリウム(菌糸体)粉末を生産する事業に、プレシードラウンドで200万ドルの資金を調達した。
食品・飲料、醸造企業は商品生産後、糖質やたんぱく質、搾りかすをいっぱいに含んだ水を廃棄しているが、これはそのまま廃棄すればただの廃棄物となるだけでなく、大量のメタンガスの発生源となる。同社はこのことに着目し、この排水を利用した菌糸体由来の小麦粉代替品の生産に乗り出している。このような工程で生まれる排水について、なぜこれまで微生物発酵を利用している企業が活用に乗り出さなかったのかにはいくつかの理由が考えられるが、多くの企業にとっての課題は「どの技術課題を先行して克服すべきか」といった技術的な課題が大きい。
同社の共同創業者であるMichelle Ruiz氏は、「私は化学技術者であり、排水処理に従事しているので良く分かるが、このような「綺麗な排水」を活用するには多くの専門的な知識が必要であるとともに、事業への参入へは様々な壁を乗り越えなければならない」という。
この事業を始めるにあたり、十分な食品産業排水が必要となるが、その多くを生み出しているのは、トウモロコシの製粉所やビールなどの大規模な醸造所、缶詰工場である。これらの施設から出る食品産業排水は十分な栄養素を含んでいるため、発酵のための砂糖を加える必要がないことは、大きな利点である。同社が発酵に利用する微生物は、Meati Foods社のものとは全く異なるといい、できる限り無味に近いものの生成を目指しているという。また、現状ではタンパク質50-60%、食物繊維25%の粉末が出来ており、消費者が小麦粉の代わりに使用でき、精製炭水化物をふくまない商品の製造を進めているとしている。
Ruiz氏は同社の事業について、「太古の時代から存在している菌糸体を利用することは、素晴らしいストーリーとなる。最終的には食品会社やレストランなどへの販売を目的としており、まずは試験規模での製造を始められるよう、早急に進めている」とした。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2022年6月24日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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