こんにちは、GNGの和泉です。
6月10日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号も、サステナブルの定義、代替タンパク質開発に関する海外動向、神経変性疾患における腸と脳の関連性や、精密発酵によるアニマルフリー代替牛脂の開発、そしてインドのアーユルヴェーダ食品に関する新しい規制など、興味深いニュースが盛りだくさんです。
発酵といえば、欧米ではコンブチャが一時期大きなブームとなりましたが、現在は落ち着いているようです。
しかしながら同市場は成長し続けており、市場調査会社のSPINSによると、2022年4月17日までの52週間の米国のコンブチャ市場の成長率は2.9%、現在約6.7億ドル市場となっています。そして機能性エナジードリンク市場は51.7億ドル、26.4%増と非常に順調に成長しています。アイソトニックスポーツドリンク市場も12.9%増の44.8億ドルに達しており、機能性飲料市場は好調といえます。
飲料業界の競争は激化の一途を辿っており、混雑する市場で差別化を図るため、多くの飲料ブランドは人気の機能性素材を製品に組み込み、特にキノコ類はここ2、3年で急成長しています。一例として、米国カリフォルニア州に本拠を置くMUDWTR社は、ヤマブシタケ、冬虫夏草、霊芝等を配合した集中力、エネルギー、免疫力のためのコーヒー代替粉末飲料で注目されています。さらにLifeway Foods社は最近、自社の培養オーツ麦飲料シリーズに、10種類プロバイオティクスのほか、さまざまなキノコやアダプトゲンを配合した機能性飲料を追加しています。
ヘンプ由来CBD製品で有名なCharlotte’s Web社もまた、今年中にCBD飲料市場に参入することを明らかにしました。同社は、特許取得のヘンプ品種から抽出したフルスペクトラム・ヘンプ抽出物を配合したCBDスパークリング飲料を発売する予定です。
但し、ご存じの通り、今日の機能性飲料市場ではすべてが順調に進んでいるわけではありません。インフレ、サプライチェーンの課題、競争の激化により、多くのブランドが難しい選択を迫られています。
今号のニュースでも紹介されているように、欧米でのヘルシー・機能性飲料人気は継続していますが、その一方でストレス発散のために糖質を多く含んだ「ご褒美」飲料を求める消費者も存在します。ブランドは今後さらに消費者のニーズを分析し、他社との差別化を図る必要があるかもしれません。
和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、オーガニックトレンド:「健康」、「サステナブル」、「タンパク質」がイノベーションの原動力、ヌートロピックサプリメントが認知パフォーマンスを上げる可能性、神経変性疾患における腸と脳の関連性、代替タンパク質開発の海外動向:Umami Meatの培養魚肉、CellXの培養肉、中国のグリーンファイナンス、など18の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2022年6月10日号 トピックス
MARKET NEWS マーケット
●代替タンパク質開発の海外動向:Umami Meatの培養魚肉、CellXの培養肉、中国のグリーンファイナンスなど
●オーガニックトレンド:「健康」、「サステナブル」、「タンパク質」がイノベーションの原動力
●サステナブルの定義:ブランド、小売などの視点から:Bread & Jam Summit
●米国の乳児用粉ミルク不足の深刻化で欧州からの輸入が急増
●機能性飲料の人気が持続する中、ストレス解消に糖分を求める消費者も
Products News 商品情報
●Fonterra社、シンガポールで発酵乳「nurture」を発売
●ヌートロピックサプリメントが認知パフォーマンスを上げる可能性
Science News サイエンス
●コリン摂取でDHA値が上昇する可能性
●神経変性疾患における腸と脳の関連性
●カロリー制限と食事のタイミングが寿命の延長に関連する可能性
●ケトーシス促進サプリメントが、ケトン体濃度の急速な上昇に有効な可能性
●ビタミンE補給は低用量で筋肉損傷改善に効果を及ぼす可能性
●ピクルスをサワークリームに加えると抗酸化作用が向上する可能性
Company News 企業情報
●Melt&Marble社、精密発酵による非動物性牛脂の試作品を発表
●AIによる植物由来生物活性ペプチドの開発に従事するNuritas社が米国に本部設立へ
●Whole Foods Marketのサプライヤー賞、今年は英、米、加の30業者に
Regulatory News 法規制
●FDA、NDI申請の新ガイダンス草案発表:執行裁量の行使を盛り込み
●FFSAI、アーユルヴェーダ食品に関する新しい規制を発表
[今号のハイライト]
代替タンパク質開発の海外動向:Umami Meatの培養魚肉、CellXの培養肉、中国のグリーンファイナンスなど
[2022/5/13] [foodnavigator-asia.com]
IUCN絶滅危惧種レッドリストには、アジア地域の料理で人気が高い魚種も掲載されている。この対策としてシンガポールのUmami Meats社は、これらの魚種について培養とプラントベースのハイブリッド商品の開発を進め、2024年の商品化を目指して動いている。同社は先ごろ、国際投資家から2.4百万米ドルの資金を調達し、これを独自技術のさらなる開発と製品コストの削減、最初のサンプル商品作成に投じるという。
培養肉の開発を行う中国のCellX社はこの程、商品を市場に投入するための戦略を発表した。その中で、2023年中に同社の施設を建設し、製品コストの削減と量産に注力することを明らかにした。同社は2021年、XPRIZE財団が主催する、Feed The Next Billionというコンペ方式の培養肉開発推進プログラムでファイナルに選出され、同年後半には4.3百万米ドルの資金調達を達成したことが話題となった。同社CEOのYang氏は、「私たちは、中国の食料安全保障のためだけに培養肉を開発するのではなく、従来の食肉業界がサステナブルな改善を図るためのサポートをしていく」としている。
中国の代替肉業界は、同国の掲げる「2060年カーボンニュートラル目標」に沿った、「グリーンファイナンスシステム」がついに構築されると期待している。それは、習近平国家主席が同国14億人の国民に対する食料安全保障について、代替肉に直接言及したことが発端だ。これは消費者の認知を得るとともに、開発やマーケティング、資金調達について新たな機会が与えられるきっかけとして、代替肉業界にとっては特に大きなニュースとなった。
一方、オーストラリアの細胞農業グループのCell Ag Australia社は政府に対し、学生や研究者が同国の細胞農業、培養肉業界において現実的なキャリア形成を実現できるよう、対策の策定を求めた。同国は、これまでサイエンスやテクノロジーなどの分野で成功していることに誇りを持っているが、なかには机上の空論のような、現実的な成功と呼べないものもあった。しかし、培養技術の開発推進によって、これを覆すことができると同国の細胞農業グループは主張している。
インドでは、プラントベースのチョコレートを開発しているCARRA社が、同社初のプラントベースホワイトチョコレート商品を発売した。プラントベースのチョコレートはこれまでもインドで販売されていたが、ホワイトチョコレートはその色とミルキーな口当たりをプラントベースで出すことは難しかったため、ほとんど商品化されていなかった。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2022年6月10日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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