「コロナと共に生きる」とは?食品の未来はどう変化するのか?、ほか|GNGグローバルニュース2022年2月10日号

こんにちは、GNGの和泉です。
2月10日号のグローバルニュースをお届けいたします。

新型コロナウイルスの感染拡大から約2年が経過した今もオミクロン株が蔓延し、なかなか収束とはいきません。
但し、既にご存知とは思いますが、欧州諸国では新型コロナウイルスの危機水準をパンデミック(世界的流行)からエンデミック(地域的流行)に引き下げようとする動きが強まっています。
Bloombergから引用すると、デンマークは新型コロナウイルスがもはや「重大な脅威」ではないとして制限をほぼ全て解除しました。
スペイン首相はオミクロン株の流行がこれまでのような入院・死者数の急増をもたらしていないことを踏まえ、新たな生活の在り方を考える時だと発言し、英国は南部イングランドで公共交通機関や映画館などでのマスク着用義務を撤廃しています。
フランスも今月2日、屋外でのマスク着用や在宅勤務の義務化を解除しました。
しかし、WHO(世界保健機関)や一部の研究者らは、急速な制限解除が感染者増加につながる懸念を警告しており、予断を許さない状況です。

今号では、「ウィズコロナ(コロナと共に生きる)」時代の、食品の未来予測がまとめられています。
それによると、消費者の健康志向はますます加速し、サステナビリティに関してもますます関心を高めていくことが予測されています。

健康志向は高まっているものの、英国の財政研究所が昨年7月に発表したデータによると、COVID-19パンデミックは消費者のカロリー消費量の大幅な増加につながったことを示しました。
分析によると、2020年5月までの間、総摂取カロリーはパンデミック以前の15%上回り、2020年後半でも平均して10%上回っていたそうです。
興味深いことにその原因は、すぐ食べられる食事やスナックではなく調理が必要な食材による摂取カロリーが増加したためだということが判明しました。
パンデミック中、消費者は健康を懸念し家庭で調理することが増えましたが、それにより総摂取カロリーも増加してしまったそうです。
この調査では消費者の運動レベルは考慮されていませんが、研究者らは、在宅勤務の増加により摂取カロリーが増加し、この先、肥満レベルを悪化させる可能性が高いと警告しています。

これは、家で調理する加工されていない食材として英国の国民食の肉類が増加した可能性があります。
英国の肥満人口の割合は非常に高いため、摂取カロリーに関しても警告する必要があるかもしれません。

ただし、当然ながらカロリーだけではなく、栄養バランスが非常に重要です。
NNBでは以前から、食物繊維豊富で栄養価の高い野菜や果物の摂取を増やすことを提唱しています。
そしてたとえ低カロリーでも加工度の高い食品は身体に害を及ぼす可能性があります。
一見簡単なことに思えますが、これらのバランスをとることが今後大きな課題になるかもしれません。

和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

本日配信したグローバルニュースでは、欧州消費者がプラントベース食品に求めるもの:調査、乳代替品の改善に役立つ新しい原料と技術、バオバブ果実が血糖反応をコントロールする可能性、など13の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2022年2月10日号 トピックス

MARKET NEWS マーケット
●欧州消費者がプラントベース食品に求めるもの:調査
●「コロナと共に生きる」とは?食品の未来はどう変化するのか?
●乳代替品の改善に役立つ新しい原料と技術

SCIENCE NEWS サイエンス
●バオバブ果実が血糖反応をコントロールする可能性
●ポストバイオティクス成分、ウロリチンAがミトコンドリアの健全性を維持する可能性
●コーヒーの高摂取が子宮内膜がんの発症リスク低下につながる可能性:メタ分析
●ビタミン・ミネラルサプリメント市場は依然として安定、研究も進展

COMPANY NEWS 企業情報
●NutriLeads社、ニンジン由来の免疫促進成分「BeniCaros」で米市場に参入
●Shaklee社の独自研究に裏打ちされたベータグルカン、オメガ3などの免疫強化系商品
●Spero社、世界初のひまわりクリームチーズとチーズスプレッドを開発:プレスリリース

REGULATORY NEWS 法規制
●CODEXがステビオール配糖体の生産技術を承認する枠組みを採用
●欧州の食品戦略案におけるスポーツニュートリションの規制や課題
●米国ACCPがダイエタリーサプリメントと機能性食品に関する公式見解を発表

[今号のハイライト]
「コロナと共に生きる」とは?食品の未来はどう変化するのか?

[2022/1/19] [beveragedaily.com]

COVID-19パンデミックは、消費者の食品購買や食生活に多大な影響を与えた。まだ感染拡大が続き、パンデミックの終息がいまだはっきり見えてこない中、「コロナと共に生きる」暮らしが話題に上り始めている。

パンデミックにより、消費者の意識や生活も変化を遂げているが、それはある意味、商品のイノベーションと成長戦略を進める大きな機会だという。2022年以降、社会はどのように変化していくのか、各市場調査会社が考えをまとめている。

  • 健康な心、健康な体

COVID-19パンデミックは、人々の身体はもちろん、感情面にも大きな影響を及ぼした。消費者は、「ヘルスとウエルネス」を最優先、また目標として、機能性食品・飲料に目を向けるようになった。特に、腸の健康が体全体の健康につながるという考えはすでに定着しており、Kerry’s Global Taste Charts社の調査でも、2022年も腸関連商品のイノベーションは続いていくとみている。

英国の食品メーカー、St Pierre Groupe社も、パン類のような日常食における消費者のヘルシー志向はさらに高まるとみている。これは、食品への添加に関する英国の規制が変更され、健康に有効な成分を食品に加える規制が緩やかになったことも原因の一つだと考える。

すでに、パン・菓子類の小麦への葉酸添加は行われているが、こうした栄養強化戦略は、近年問題になっている栄養素不足の解消に繋がることが期待されている。例えば、英国では、大人の5人に1人、子どもの6人に1人がビタミンD欠乏と言われ、この他にも、鉄、ヨウ素、ビタミンB12、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などの不足が問題視されている。実際、Food and Drink Federationは、高食物繊維食品の生産を食品産業に呼び掛けるキャンペーンを展開している。

  • 超加工食品とクリーンラベル

栄養強化を目的とした食品添加は歓迎されるだろうが、その一方で多くの物質を添加した超加工食品を嫌う傾向が強くなっている。超加工食品を多く摂取することは「予防できた死」の原因の一つと考えられ、たばこパッケージの警告表示のようなものを超加工食品にも貼ることを求める健康専門家もいる。健康関連NPO団体、Vital Strategiesは超加工食品への警告表示に賛成する立場を示し、「多くのグローバル食品企業が販売している超加工食品は、本物の食品でも、本物の栄養源でもない。そのことに消費者はもっと気づくべきだ」と訴えている。市場調査会社、NelsonIQ社のデータによると、消費者は商品後面の原材料表示をよく見ている。消費者の60%が食品アレルギーを持つことから、商品内容の信頼できる情報には並々ならぬ関心を示しているという。つまり、クリーンラベルトレンドは今後も継続すると、推察している。

  • プラントベース食品

プラントベース食品の大きな波が食品業界に押し寄せているという。確かに、プラントベース肉代替品や乳代替品をスーパーでも多く見かけるようになった。だが、調査会社のデータでは、複雑な状況が浮かび上がっている。ウエブサイト、finder.comのUK Diet Trends調査によると、2020年、英国の650万人が動物性たんぱく質を制限するという考えを示しているが、その考えを実践したのは2%未満だという。

  • サステナビリティとエコラベル

この数年でサステナビリティというコンセプトは定着した感がある。消費者も、温室効果ガス排出量や食品廃棄、プラスチック包装の削減を、食品メーカーに求めている。2021年、消費者の67%が、日常の行動を通してプラスの影響を与えたいと考えており、Euromonitor International社も、サステナブルな消費は2022年の主要なトレンドになると予測する。Kerry社の最近の調査では、消費者の49%が、食品・飲料の購入時にサステナビリティを意識しているという。消費者は、地球の健康と同時に人の健康に良い影響を与える成分、クリーンラベル、地産地消を優先した商品を求めている。

  • 商品価格

パンデミックは物流にダメージを与え、サプライチェーンを崩壊させた。燃料不足や人材不足をもたらし、それによって商品の値段が上がることとなった。この結果、今後も、食料品の備蓄や自社ブランド商品への関心が高まると予測される。価格の上昇を注意深く見守る必要があると、アナリストは警告している。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2022年2月10日号」より抜粋)

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