こんにちは、GNGの和泉です。
11月26日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今月18日、米国のドラッグストアチェーンCVSを展開するCVS Health社が、2022年春から3年間で年間約300店舗を閉鎖することを発表しました。
CVSは全米に9,900店舗以上を展開する米国最大の小売りドラッグストアチェーンで、900店舗の閉鎖は、10店舗に1店舗近くを閉店することになります。
CVSのライバルである業界第2位のWalgreensも、コスト削減のため2015年と2019年で合わせて約400店舗を閉鎖しています。今年に入ってからは組織的な盗難の増加により、さらに主要都市の複数店舗を閉鎖する予定だそうです。
オンラインショッピングの成長に押され、米国のドラッグストアの店舗経営は相当厳しいものであるようです。
さて、今号では、13日まで行われていた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の影響で、気候変動やサステナビリティに関連するニュースを多く取り上げています。
畜産分野における温室効果ガス排出量に関するニュースはもちろんのこと、超加工食品の摂取量増加が環境に及ぼす影響、COP26における討議内容のまとめなど、興味深いニュースが盛りだくさんです。
サステナビリティに関連して、プラントベース食品も注目を浴び続けています。
しかし、ニュートリション業界に特化した業界専門誌New Nutrition Business(NNB)のディレクターであるJulian Mellentin氏によると、プラントベース肉代替品の多くは栄養価が低く高度に加工されており、食品開発者は、「栄養素密度(食品のエネルギー100 kcalあたりに含まれる栄養素量)」の高い商品を開発、提供する責任がある、と主張しています(詳しくは今号の本編をご覧ください)。
GNGでは、研究会員企業様向けにNew Nutrition Business(NNB)の日本語要約版を毎月配信しています。NNBにご興味を持たれた方は、GNGウェブサイトもご確認下さい。
(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、科学的とはほど遠い温室効果ガス排出量の測定法、画期的なイノベーション:消費者トレンドを活用した欧州のトップ飲料ブランド、良質な間食習慣のための最適な睡眠時間が判明:新しい研究 、COP26からの食品業界ニュース、およびその見解、など12の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2021年11月26日号 トピックス
●米国調査: CBDユーザーの71%が専門家に相談せず摂取量を決定
●科学的とはほど遠い温室効果ガス排出量の測定法
●健康食品・サプリメント業界が顧客基盤を拡大するには:Nutrition Business Journalレポート
●栄養素密度が食品イノベーションの指標に:New Nutrition Business の予測
●APAC市場で成長が期待できるNDA+:新規ビジネス、商品および戦略
●画期的なイノベーション:消費者トレンドを活用した欧州のトップ飲料ブランド
●良質な間食習慣のための最適な睡眠時間が判明:新しい研究
●超加工食品の消費量増加が温室効果ガス排出量増加に関連する可能性
●サステナブルな食生活の食費は一般的な食生活の3分の1である可能性
●中国の税関登録管理規定が更新、中国向け商品メーカーは自国の監督省庁を介して登録
●ASEANでの食品安全基準の一致にはCODEX規格の採用が最善の方法
●COP26からの食品業界ニュース、およびその見解
[今号のハイライト]
栄養素密度が食品イノベーションの指標に:New Nutrition Business の予測
[2021/11/12] nutraingredients.com「栄養素密度」がこれからの食品開発の指標となるだろう、という推察が、英国の食品およびニュートリション業界に特化した業界誌を発刊するNew Nutrition Business(NNB)から発表された。
栄養素密度とは、食品のエネルギー100 kcalあたりに含まれる栄養素の量と定義されている。
NNBのディレクター、Julian Mellentin氏によると、栄養素密度という概念は新しいものではないが、最近になって業界や消費者の間に浸透し始めているという。米国の食事ガイドラインにも取り入れられており、栄養素密度の高さが、今後、マーケティング担当者の関心の的になると述べた。
NNBが行った5カ国を対象とした年次消費者意識調査によると、栄養素密度という用語を耳にしたことのある割合は全体で12%、スペインでは21%だった。
Mellentin氏は「マーケターにとって栄養素密度という用語の魅力のひとつは、統一された定義が存在していないことだ」と述べた。
消費者はソーシャルメディアから栄養素密度に関する情報を取り入れており、主に植物全般、穀類、乳製品、肉類といったものが栄養素密度の高いものと考えている可能性がある。
消費者は独自の信念に従っているが、それは科学とは関係がないものだという。例えば、現在、注目を浴びているプラントベース肉代替品の多くは栄養価が低く高度に加工されているが、一部の消費者はヘルシーだと考えており、消費者の意見は分かれている。
Mellentin氏は、このような状況において、食品開発者は本当に栄養素密度の高い商品を開発、提供する責任がある、と強調した。誠実なマーケティングと新商品の開発力が重要なカギとなる。
現在、栄養素密度と関連して注目されているトレンドが「本物の食品(リアルフード)」だ。
リアルフードとは、人工添加物などを含まない「本物の」、かつシンプルな素材を用い、殆ど加工せずに作られている食品のことで、栄養素密度が高いと考えられている。
例えば、プラントミルクブランドのElmhurst Milkedが使用する原料は4種類のみで、栄養価は他のプラントミルクの10倍だという。Mellentin氏は「ナッツやケール、種子類、穀類、野菜といった栄養素密度の高い原料を配合した商品が、消費者の目を引くことになるだろう」と推測した。
さらに乳製品分野では、ヨーグルトブランドのChobaniが提供するChobani Complete、Alexandre Family Farmのオーガニックミルクなどが栄養素密度の概念を採用している。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年11月26日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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