免疫サポートにおけるプロバイオティクスの役割の認知度はわずか25%:米Danone社調査、ほか|GNGグローバルニュース2021年10月12日号

こんにちは、GNGの和泉です。
10月12日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号も様々なニュースが盛りだくさんです。

インフルエンザの季節もそう遠くない時期にさしかかってきたため、免疫にフォーカスしたニュースも増えてきました。

そして米国のCBD市場は、最盛期と比べて伸び率は大幅に低下しているものの、静かに成長を続けています。
現在もヘンプ(麻)由来CBDに関して様々な動きがあり、今号でも複数のニュースを取り上げています。

日本の規制状況も動きつつあります。現在日本では、食品としての使用が認められているのは麻の「成熟した茎および種子」から抽出された原料のみですが、現在国会で提案されている大麻取締法改正案が施行された場合、麻の部位ごとの規制ではなく、「THCの有無、含有量の検査」という成分規制に変更され、それに伴いヘンプ由来CBDの法規制も進む可能性があります。

ただし、現在はやはり規制のグレーゾーンのためか、先日東京ビッグサイトで開催された食品開発展において、CBD関連企業の出展企業で見つけることができたのは2社のみでした。昨年と比べてかなり減っている印象を受けました。

しかしながら、2020年の国内CBDサプリメント市場規模は前年比71.4%増の12億円を見込んでおり(富士経済調べ)、市場は確実に拡大しています。

さて、今号の規制関連ニュースで、米国のダイエタリーサプリメントに関する新しい議会報告について取り上げています。

この議会報告書とは、国会議員およびスタッフのためにサプリメントの規制状況、そして業界を取り巻くいくつかの課題について説明したものです。報告書ではまた、現在の業界の主な課題も取り上げています。

その課題のひとつに、FDA(米食品医薬品局)による規制ツールである、「必須製品リスト」があります。

現在、米国市場には50,000から80,000ものサプリメント製品が出回っていると推測されていますが、正確な数は把握されていないのが現状です。

必須製品リストは、米国で販売するすべてのダイエタリーサプリメントを連邦データベースに登録することを目的としたものです。
これにより、FDAはサプリメントメーカーおよび販売業者に対して行動する権限を与えられ、新製品の発売時期を把握し、違法製品を迅速に特定して行動し、業界の透明性を向上させ、規制を促進することが可能となります。

しかしながら、これは米国のサプリメントメーカーに対して、商品市販前に全情報をFDAに提供する義務を課すことになります。業界は賛否両論で、現在激しい議論が起こっているそうです。

つい最近、400以上の会員企業で構成されている業界団体のアメリカンハーブ製品協会(AHPA)が、会員企業に対して「必須製品リストを支持するか否か」のアンケート調査を実施したところ、回答者の半数以上が反対すべきだと感じていることが分かったそうです。

現在、多くの業界団体が動向を見守っている状況であり、今後の動きが非常に気になるところです。

(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

本日配信したグローバルニュースでは、 英国のプラントベースミルクの売上が上昇、中でもオーツミルクは急成長、 腸内細菌が医薬品を蓄積して医薬品と相互作用を起こす可能性 、 CBD入りのコーヒーとお茶商品で実際の含有量がラベル表示通りだったのは半数未満、MIND食が認知力改善に関連する可能性:米国の研究、など12の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2021年10月12日号 トピックス

●2020年のエルダーベリーサプリメントの売上高が3億20百万ドルに急増:米国ABCレポート
●英国のプラントベースミルクの売上が上昇、中でもオーツミルクは急成長
●免疫サポートにおけるプロバイオティクスの役割の認知度はわずか25%:米Danone社調査
●中国市場での成功を収めるための秘訣:重要なのは中国のスピードに合わせて動くこと
●腸内細菌が医薬品を蓄積して医薬品と相互作用を起こす可能性
●ダークチョコレートが腸内細菌叢を変化させ気分が改善する可能性:RTC
●CBD入りのコーヒーとお茶商品で実際の含有量がラベル表示通りだったのは半数未満
●ビタミンC補給は注意力、仕事へのモチベーションなどを改善する可能性:韓国の研究
●MIND食が認知力改善に関連する可能性:米国の研究
●サプリ販売大手The Vitamin Shoppeがアジアでのオムニチャネル拡大に着手
●ダイエタリーサプリメントに関する新しい米議会報告は必須製品リストとCBD問題に重点
●Delta-8THCの有害事象報告が急増したことから米CDC、FDAが警告

[今号のハイライト]
免疫サポートにおけるプロバイオティクスの役割の認知度はわずか25%:米Danone社調査

[2021/9/23] [nutraingredients-usa.com]

消費者の間で「腸活」といった言葉が定着し、腸の健康に有効であるというプロバイオティクスへの関心は高まるばかりだが、消費者には、プロバイオティクスに関する正しい情報や知識が浸透していないことが、Danone North America社の消費者調査で明らかになった。同社は、2021年8月、米国の18歳以上の1,004人を対象にオンライン調査を行った。

これによると、75%が何らかのサプリメントを利用しているが、「免疫維持の目的で利用しているサプリメントは何か」という質問に対し、59%がビタミンC、49%がビタミンD、同じく49%のビタミンBで、プロバイオティクスが免疫システムをサポートすることを認知している割合は25%にとどまった。

免疫細胞の70%が腸に存在すると言われるのだが、「細菌と消化系の健康との関連を理解している」という回答は半数以下で、全身の健康に及ぼす細菌の影響を知っているという割合も半分に満たない。例えば、「免疫への影響を認知している」が43%、体重管理は43%、メンタルの健康も33%だった。

また研究の場では、プロバイオティクスの他に、プレバイオティクス、ポストバイオティクスも注目度を上げてはいるが、この二つの栄養素を理解している消費者は少ない。

「プロバイオティクスは全身の健康に有益である」ことを知っている割合は67%あったが、プレバイオティクスは34%、ポストバイオティクスに至っては14%だった。実際、75%が、「ポストバイオティクスの健康効果について知らない、不確か」だと認めている。

さらに、商品のラベルによく記載される「Live and Active Cultures(生きた活発な培養菌)」についてもあまり浸透していない。Danone North America社のKristie Leigh氏は、「Live and Active Culturesはすべてのヨーグルトに含まれているが、すべてのヨーグルトに腸の健康や免疫システムのサポートといった特定の健康効果を提供するプロバイオティクス菌株が含まれているわけではない。菌の多くは発酵に使われるもので、それらの健康効果の有無は検査されてはいない。明らかに健康効果を有するとわかっている生きた微生物だけをプロバイオティクスと呼ぶ」と、説明している。

消費者の多くは、酢やピクルス、コンブチャといった発酵食品・飲料を摂取すればプロバイオティクス効果を得られると考えているが、菌は発酵過程の一部として含まれているだけで、それがプロバイオティクスであるとは限らない。さらにそのうちの多くは殺菌処理などの過程で死滅する。

最近では、様々な種類の菌株を含む商品が店頭に並んでおり、消費者を混乱させている。そのため、情報を理解しやすい形で消費者に届けることが早急に求められている。

米栄養評議会(CRN)は小売業に対し、消費者への教育の主導を要望している。CRNは4月から小売業者への教育キャンペーン、「probiotics: What’s Inside is Alive」を展開し、生菌の有用性、商品間の相違などを指導している。     CRNは、「プロバイオティクスの知識を深めることは、以前にもまして重要になっている。特に小売業者がプロバイオティクスの特徴を知ることは欠かせない」と、話した。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年10月12日号」より抜粋)

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