コロナ禍における目の健康|ウェルネスフード・ワールド第91回

こんにちは、会社や家の周りの木々が青々としてきて、だんだんと緑の季節に近づいているのを嬉しく感じています。4月と言えば新生活という事で、新しい仕事や部署でスタートを切ったという方もいらっしゃるかと思います。しかし新型コロナウイルスの影響で、新年度が始まっても引き続きリモートワークで働き続ける、という方々も多いのではないでしょうか。
今回は、コロナ禍による生活様式の変化で様々な影響を受けている「目」の健康に関する情報をお伝えしていきたいと思います。今後も皆さんがデスクワークやリモートワークの多い生活を続けていく上で、健康面で少しでもプラスになる情報をお届けできれば幸いです。

コロナ禍における目の不調に関する実態調査

 まずは、私たちの「目」に関するライフスタイルがどのように変化しているかを示す実態調査をご紹介します。東邦大学医学部眼科学講座(大森)堀裕一先生をはじめとする専門家の方々で構成された「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」が、2020年6月23日(火)~2020年6月25日(木)の3日間、全国の20~69歳の一般男女1000名を対象に行ったインターネット調査「コロナ禍における目の不調に関する実態調査」によると、新型コロナウイルス流行前のリモートワーク実施状況は、週1日以下のリモートワークのケースも含め全体の7.3%だったのに対し、緊急事態宣言発令中では全体の22.7%と約3倍に増えています。 

 さらに、リモートワークの経験者に聞いた体調の変化では、1位が「肩・首のこり」で27%、2位が「目の疲れ」で25%、その後は「ストレス」「目の乾き」がそれぞれ17%という結果になりました。また、「近くが見づらい」(10%)、「目の異物感」(9%)、「遠くが見づらい」(7%)など、リモートワークにより目の不快症状が増えたと回答する人がみられました

「PC/スマホを見る時間」「テレビを見る時間」が増えたという回答はそれぞれ42%、36%で、「テレワークをする時間」も10%の方が増えたと回答しています。リモートワーク導入で出社がなくなり以前よりも自由に時間が使えるようになった反面、仕事のオン・オフの両方でデジタルデバイスに触れる機会が増え、それにあわせて目の不調を訴える人も増加しています。

これらの目の不調は涙が乾きやすい上手く分泌されない涙の成分がきちんと生産されないといったことが原因で起こります。同委員会ではこれを「涙液トラブル」と呼んでおり、重症化するとドライアイや角膜の傷、目の表面の炎症などの病気を引き起こす可能性があります。

目の「涙」の働き

そもそも目の「涙」はどのような働きをしているかというと、単に目を潤わせているだけではなく、目の乾燥を防ぐ目に酸素や栄養を供給する感染を防ぐ目の表面の傷を治す目の表面を滑らかにするといった役割があります。

また、同委員会が今年1月に発表したプレスリリースによると、涙液トラブルはリモートワークによるデジタルデバイスに触れる時間の増加だけが原因で増えているわけではないそうです。カナダのウォータールー大学眼科研究・教育センター(CORE)は、マスク着用による目の状態について、プレスリリース(CORE Alerts Practioners to Mask-Associated with Dry Eye(MADE))を発表し、警鐘を鳴らしています。

 プレスリリースでは、「マスクが顔に沿う形でぴったり着用できていない場合、吐いた息がマスクの上部に向かって流れ、目の表面の涙の膜の蒸発を促すことで、涙の乾燥の原因の一つになっている」という見解がみられました。また、目の乾燥による不快感で直接目をこすってしまうことで、新型コロナウイルスに感染するリスクを高めると危惧しています。言われてみると納得しますが、コロナ禍でもはや当たり前になっていたマスクの着用まで目の不調に繋がる可能性があるということに驚きました。

対策としては、マスクがフィットするように装着するのは勿論のこと、点眼薬をこまめに使用すること、PCなどを使用する際はこまめに休息を取ること、また長時間のエアコンも目を乾燥させる要因になりうるので、使用時間が長くなり過ぎないよう注意が必要とのことです。

ブルーライトに関する調査を実施

メガネブランド「Zoff」を運営する株式会社インターメスティックは、2020年5月12日(火)~5月13日(水)の間、20代~40代のビジネスマン(男女の有職者)500名を対象にデジタルデバイスの使用状況や生活習慣・健康状態についての「ブルーライトに関する調査」を実施しました。体内時計の乱れによる身体の昼夜逆転状態を「デジタル時差ボケ」と称し、眼科医の林田康隆先生が監修した「デジタル時差ボケチェックシート」を基に現在の状態について集計したところ、実に51.6%の回答者がすでに「デジタル時差ボケ」に陥っており、また23.8%が「デジタル時差ボケ予備軍」となり、合わせると7割以上の回答者が当てはまるという結果でした。また、1日のデジタルデバイスの使用時間については、全体の49.4%の回答者が10時間以上使用しており、中には14~15時間(9. 2%)、16時間(4.4%)という回答もありました。合わせて日中の間眠くなり、仕事の集中力が低下すると感じている回答者の割合を比較したところ、デジタル時差ボケに陥っている人は91.5%、そうでない人は50.5%と、約2倍近くの違いがありました。

 さらに、デジタル時差ボケになっている人の中でテレワークを行っている人は60.5%、行っていない人は44.7%と、テレワークの実施有無で約1.5倍も差があることが判明しました。

 PCやスマホから発せられるブルーライトは、太陽光にも含まれており、「睡眠ホルモン」と呼ばれているメラトニンの分泌を抑制します。日中に太陽の光を浴びたり、スマホを少々触る程度であれば問題ないのですが、夜中でもブルーライトを浴び続けることでメラトニンの分泌のバランスが崩れてしまいます。また、前述の通りテレワーク導入によるPC・スマホを見る時間の増加も相まって、コロナ禍の生活ではデジタル時差ボケにさらに拍車がかかりやすい状況にあります。

また、ストレスも疲れ目などの目の不調の原因になり得ます。自律神経には、活動中や緊張度が高い時に優位になる交感神経と、リラックスした時に優位になる副交感神経の2種類がありますが、比較的時間の使い方が自由なリモートワークで、つい長時間のPC作業を続けてしまうと、交感神経が常に働き続けます。それにより神経や筋肉が緊張し、収縮して凝り固まり、血管を圧迫して血行が悪くなります。目の場合では、目の筋肉の緊張が続くことで目の血流が悪化し、疲れ目を招くことになります。コロナ禍でのリモートワークは、ただブルーライトに気を付けるだけではなく、常に過集中の状態にならないよう自律神経のバランスにも気を使う必要があるようです。ストレスの対策としては、夜はリラックスした状態の副交感神経が働くように照明を暗めに設定する穏やかな音楽を流す、またデジタルデバイスを見ないようにするなどゆったりくつろぐのが理想的です。

様々な要因で目の不調に陥りやすいコロナ禍ですが、原因ごとの対策に加え、日頃の食生活で目によいとされる食品を積極的に摂る事も重要です。抗酸化作用のあるビタミンを含む食品は、疲労により蓄積する目の活性酸素を抑える働きがあります。また、ほうれん草やケールに含まれるルテインも同様の働きをします。また、ルテインには目の網膜の中心である「黄斑」をブルーライトから守る働きをしてくれるので、食事に取り入れることをおすすめします。

また、食品で補えない場合は、サプリメントで栄養を補うのも大事です。

これからもまだコロナ禍は続きますが、目の健康に気を付けてお過ごしください。

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