生食からスナックまで日本人の魚食量を増やす様々な取り組み|ウェルネスフード・ワールド第92回

この1週間で、何回魚を食べましたか? 
今回のウェルネスフード・ワールドは、魚の脂の機能性と日本人の魚離れを解決し、魚食量をけん引する様々な取り組みについて取り上げます。

なんで魚を食べないの?

農林水産省統計をみると、日本人の魚食量は明らかに減少傾向にあります。
なぜ魚を食べないのか?その理由は「価格が割高である(つまり肉食の方が安くつく)」、「青臭い匂いが気になる(食べず嫌いも含む)」「調理が面倒で時間がかかる上、ごみが出る」「骨があり、食べるのに手間がかかる」といったところが挙げられます。

魚脂の持つ様々な機能性

一方で、魚の脂には、様々なヘルスベネフィットがあります。一昨年、東京ビッグサイトで行われた食品開発展2019では、米国のオメガ3業界団体・GOED(Global Organization for EPA and DHA Omega-3)の代表者が来日し、弊社代表・武田とともにオメガ3に関して講演を行いました。武田の講演では、冒頭で日本人が魚を食べなくなってきたことと、うつ病児童虐待件数の相関を考察しました。

講演の中でもご紹介した研究に、国立がん研究センターによる「魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について」という多目的コホート研究があります。この研究によると、1日に57g(中央値)魚介類を食べるグループと比較して、1日に111g(中央値)魚介類を食べるグループでうつ病リスクの低下がみられたということです。

また、機能性表示食品の届出動向をみると、2021年5月13日時点でEPA/DHAは、1位GABA、2位難消化性デキストリンに次いで3位の機能性関与成分です。そのヘルスベネフィットは、届出された表現は様々ですが「中性脂肪を抑える」「認知機能の一部である記憶力をサポート」「血糖値の上昇をゆるやかにする」などがあり、さらなる研究がなされています。

「ファストフィッシュ」と「プライドフィッシュ」

日本人の魚食を増やそうとする近年の取り組みを振り返ると、水産庁による「魚の国のしあわせ」プロジェクトに行き当たります。2012年から始まった「Fast Fish(ファストフィッシュ)」は、手軽・気軽においしく、水産物を食べること及びそれを可能にする商品や食べ方のことで、今後普及の可能性を有し、水産物の消費拡大に資するもの、と定義されています。

水産庁のHPによると、これまでに22回の選定が行われ、合計3,342品のファストフィッシュ商品があるそうです。ここには、10キートレンドのメガトレンドである「スナック化」された魚介類のおやつも多く含まれます。たまたま昨日立ち寄った地元のスーパーで、蒲鉾屋さんがつくったいわしのスナック菓子をみつけました。さっそく購入し食べてみましたが、これまた美味しく歯ごたえがあり、育ち盛りの子どもたちに食べさせたいおやつだと思いました(「カリッこいわし」新潟県・一正蒲鉾㈱)これがファストフィッシュ選定商品の一つで、栄養機能食品(カルシウム)だったことは、後から知りました。

そうした手軽さを打ち出す施策がある一方、日本の食文化を守る上で、多少手間がかかっても自分で一から魚をさばき、箸をつかって器用に骨と身を選り分けていただく魚食の醍醐味を大切にしていきたい、という声もあります。

全国漁業協同組合連合会による、おいしい魚の底力を、感動をもっと知ってほしい、という「プライドフィッシュプロジェクト」では、漁師自慢の本当に美味しい魚を選定し、紹介する取り組みが行われています。誰もが知るメジャーな魚だけでなく、まだ知られていない地元ならではの水産物も選定され、おすすめレシピによる食べ方の提案も行われています。

漁師さんと水産加工業の方々による努力の結晶

魚介類は漁獲から食卓に並ぶまでに時間がかかるため、本当に鮮度の高い天然の魚は地元でないと美味しく味わえません。そこで、最新の加工技術が開発されています。中でも、水揚げされた魚を急速冷凍する技術は、旬でないと食べられなかった魚を一年中、どこでも食べられるため注目されています。これまでは食べ物を冷凍するだけで品質が劣化する、味が落ちる、という一般認識がありましたが、冷凍技術の進歩は目覚ましく画期的な商品が生まれています。
例えば昨年10月に届出された天然魚・日本初の機能性表示食品「大トロいわしフィレ」(届出番号F512、北海道・池下産業㈱)は、漁師さんとの厚い信頼関係があり、水揚げから港まで鮮度を保ち運ばれて、十勝港にある工場で液体窒素により急速冷凍され、プロの料理人も冷凍とは思えない、というほど見事な美味しさを誇るそうです。私もそんな美味しい魚を味わってみたいです。

日本料理の花形、魚料理

和食は、2013年にユネスコの無形世界遺産に登録されています。ここでいう「和食」の4つの特徴は以下の通りです:

(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重

(2)健康的な食生活を支える栄養バランス

(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現

(4)正月などの年中行事との密接な関わり

ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」とは|農林水産省HPより

お祝いの席では「尾頭付き」を食べますし、魚食量が減っても魚は和食の主役であり、栄養面からも優れた日本の食文化の花形なのではないかと思います。

余談ですが、私は3人の子どもを持つ主婦です。夫と高齢の母親と6人家族ですので、6人分の料理を時間差なく調理して一気に食卓に上げるのにとても苦労していました。最近大型のホットプレートを日常的に使うようになり、6人分の食材を並べて煮る、焼く、あぶることができ、火加減も自在です。クッキングシートを敷けば後片付けも楽なので、魚を食べる機会がぐんと増えました。ハンバーグや肉料理が好きな子どもたちも近頃は魚の美味しさに目覚めたようで、奪い合うようにして平らげてくれるのでとても嬉しいです。ちょっとした調理法、食べ方の工夫次第で食べず嫌いをなくしていけるのか、と気づきがありました。

「スナック化」トレンドで発想の転換、商品開発のヒントに

新宿・大久保界隈を歩いていくと、大きな鯖の切り身を丸ごと挟んだ「鯖バーガー」のお店があります(MK CAFE)。以前から店頭を通りかかる際、若い女性たちが列をなしているのを度々目にしてきました。線路沿いにある私の背ほどもある大きな看板に描かれたその大胆な鯖バーガーのビジュアルに驚くとともに、発想の転換でいくらでも商品開発の余地が残されていることも感じました。

今後も、生食からスナックまで様々な形態の「おさかな食品」に注目していきたいです。

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