こんにちは、GNGの武田です。
1年間お休みしていましたメルマガ「健康食品ワールド」を今日から復活させます。
今後は、1ヶ月に1回程度の頻度で、国内外のトレンドなどについて皆様のお役に立つと思われることをお伝えしていきたいと思います。
これまでご要望の多かった過去のメルマガバックナンバーも、新たなブログ記事としてリライトしていく予定です。
海外トレンドが日本市場にもたらす影響
健康食品ビジネスにとって、情報、特に海外情報はとても重要です。
特に欧米のトレンドが数年後に日本の市場に影響を与えることは、多くの事例を見れば明らかです。
「エナジードリンク」「ギリシャヨーグルト」「アーモンドミルク」「スーパーフード」「植物由来(プラントベース)プロテイン」など、豊富な事例があります。
トレンドは情報の「定点観測から」みえてくる
情報には「フロー情報」と「ストック情報」があります。
日常的なフロー情報だけでは記憶に残りにくく、活用することが出来ません。
何故なら、毎日膨大な情報が次から次へと通り過ぎていきますので、どれが重要で大切な情報なのか、見失ってしまう可能性があります。
しかし、ストック情報であれば、必要な時にいつでも何度でも見直し、関連付けることで新しい発見ができるなど、自分のビジネスに活用できます。
「質の高い情報を定点観測する」
これが情報を自分のビジネスに取り入れて活用するために必要なことだと思います。
GNGお薦めの海外情報源:欧米の経営トップ御用達マガジン「NNB」
欧米発の質の高い情報でお薦めが、英国を拠点としグローバルにニュートリションビジネスの調査、分析を行う The Center For Foods & Health Studies社が発行している業界専門誌「New Nutrition Business」(以下、NNBマガジン)です。
NNBマガジンは、世界のニュートリションビジネスを分析・洞察し、実用的な情報を世界へ発信しています。
1995年に創刊され、現在42カ国、1,000社以上のニュートリション産業のエグゼクティブが読んでいる、クオリティの高い雑誌です。
読者の約75%が経営トップ(CEO・社長・副社長・取締役)となっており、企業の戦略立案時などに使用されています。
NNBマガジンは、2005年から毎年、ニュートリションビジネスのトレンドとして「Ten Key Trends in Food, Nutrition & health」(以下、10キートレンド」)というレポートを発刊しています。
今日はこの10キートレンドの内容に少し触れ、その活用方法をお伝えしたいと思います。
5年前の「10キートレンド」からわかること
今から約5年前、2014年11月にNNBマガジンは「10キートレンド2015」を以下の通り発表しました。
10キートレンド2015
- キートレンド1:ナチュラルな機能性、成功のための強力な基盤
~トレンドの王様。特に欧米では最大のトレンドであり、強力な影響力を持つトレンド~ - キートレンド2:食の軽食化(スナック化)
~美味しいスナックを罪悪感なく楽しめることが、最も効果的なマーケティング戦略~ - キートレンド3:ウェイトウェルネス
~2014年はウエイトマネジメント市場にとって転機の年となった~ - キートレンド4:プロテイン
~スポーツニュートリションから定番商品へ~ - キートレンド5:良い炭水化物、悪い炭水化物
~炭水化物の消費形態の変化は消費者行動の変化により持続する~ - キートレンド6:乳製品2.0
~サイエンスにより、ネガティブからポジティブに~ - キートレンド7:〇〇フリー
~15年前の超ニッチから注目すべきキートレンドに成長~ - キートレンド8:糖類
~究極の「悪い炭水化物」~ - キートレンド9:低脂肪は徐々に終焉?
~脂肪が健康の敵ではないことが明らかに。そしてマーケティングの変化~ - キートレンド10:腸の健康
~最も重要なトレンドで、他のトレンドを密かにけん引?~
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こうしてみてみると、5年後の現在の日本においても大きなトレンドとなっているものが少なくないことに気づかれると思います。
ナチュラルヘルシー&ウェイトウェルネスが2大トレンドに
現在、日本を含めたニュートリション産業において、「ナチュラルヘルシー」と「ウェイトウェルネス」が【2大トレンド】となっています。
そしてこのトレンドから他のトレンドが派生して、それらも互いに関わり合っています。
NNBマガジンは、2005年の段階ですでに
「『ナチュラルな機能性』が最強にして継続性のあるカテゴリーである」
ということを明言し、
さらに
「栄養科学の発展によって、素材そのものがもつ『健康効果』が明らかにになり、そのベネフィットが今後重要なコミュニケーションの手段となるであろう」
とも言及していました。
厳格なヘルスクレーム規制がある欧州でさえ、素材そのものが持つベネフィットを使ったコミュニケーションは減少することはなく、むしろ近年は「ナチュラルな機能性」をベースにした食品の売上は、多くの消費者に支持され増加しています。
米国のナチュラル・オーガニック食品カテゴリー市場は、ダイエタリーサプリメント市場よりも市場規模が大きく、高い成長をみせています。
成功する「ナチュラル」とは?
「ナチュラルな機能性」は、消費者が望むコンセプトですが、「ナチュラル」のすべてが成功しているわけではありません。
消費者市場は高度に細分化されており、ニッチな市場の集合体となっています。
NNBマガジンは、自社のナチュラル訴求が市場で通用するかどうか、次の視点から自社の戦略を評価してみると良いであろう、と述べています。
「ナチュラル訴求」チェックリスト
- 素材の「ナチュラル」に科学的な根拠はあるか?
- マーケティングマッスル:メディアにアピールできるか?
- 利便性があり、ヘルシースナックであるか?
- 食品技術、包装技術に創造性があるか?
- プレミアム価格で販売できるか?
- サプライチェーンは盤石か?
- 主要な消費者トレンドとの相互関係
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2014年はウェイトマネジメント市場にとり、転機の年となりました。というのも、それまでウェイトマネジメント市場をけん引してきたビッグブランドの低迷が目立つようになったのです。
その発端は、ダイエットカウンセリングと低カロリー食品のJenny Craig社、食事代替型シェイクのSlim Fastでした。そして、2014年はポイントシステムを使ったダイエットセンターを展開するWeight Watchersや、朝食シリアルのSpecial Kにまでその影響が及びました。
単なるダイエットやウェイトマネジメント商品は選ばれない時代になったのです。
現在、多くの人々が、広い意味でのヘルシーなライフスタイルの一環として体重管理に取り組むようになっていますので、ウェイトマネジメントは、食品業界における「特別なカテゴリー」ではなくなったのです。
体重管理を行う消費者は、低糖、サラダ、ヨーグルト、ヘルシー志向のレストランなどで、2~3kgの体重を調節しながら、毎日の普通の食生活の中で体重を管理する傾向にあります。
このウェイトとウエルネスの融合が商品開発に影響を与えたのでした。
彼らは日常の食事を調整することの方が、特別なプログラムや食事制限よりも適していると考えています。
そのような消費者層も含め、ダイエットやウェイトマネジメントに関心を持つ消費者市場では、次の5点が重要なキーワードとなっています。
ダイエット&ウェイトマネジメント 消費者市場キーワード
- 消費者がメソッドを決める
消費者が自らの食生活を変え、健康的な毎日を送るウェイトウェルネスのマインドが拡がる - テクノロジー
利便性が高く、いつでもどこでも利用できるサービスが注目されている。 - 日常におけるウェイトウェルネス
罪悪感を持たずに食べられる食品が、特におやつ市場において注目されている。 - プロテイン強化食品
もはやスポーツニュートリションだけではなく、ウェイトマネジメントでも重要な成分となっている。 - 良い炭水化物、悪い炭水化物
Lizanne Falsetto社は、ウェイトウェルネスを「体が健康でハッピーだと思う最適体重」と位置付けています。
つまり、美的なもの、体型、体重、サイズなどを気にするのではなく、心地よく、活力を感じる、 自信を持って楽しく暮らせるような、感情的なものを大切にするという感覚です。
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10キートレンドは商品開発の強力な武器
今から5年前にあたる2015年の10キートレンドを振り返ってみると、毎年10キートレンドを確認し、その変化の背景にあるものを洞察することで、今後のトレンドを予測することが可能となることがわかります。
10キートレンドを定点観測して、深く分析・洞察することは、時代を先取りした商品開発の強力な武器となると思います。
時々過去の10キートレンドを振り返ってみるのも、新しいアイデアを出す際の役に立つと思います。
単なる情報収集だけではなく、分析、洞察を加えて、自社の知恵に変えていく、そのような習慣を持っている企業のみが、今後の市場において生き残れる時代ではないかと思います。
そうした視点で読み解くとき、NNBマガジンや10キートレンドはまさに強力な参考書になると思います。
10キートレンドは羅針盤、向かう方向を示してくれます。
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