こんにちは、GNGの和泉です。
11月11日号のグローバルニュースをお届けいたします。
年末の恒例となっている、2022年を予測する食品、飲料業界を促進するトップトレンドに関するニュースが増えてきました。前号の米国Whole Foods Marketによる2022年のフードトレンド予測に続き、今号でもInnova社、ADM社によるトレンド予測を取り上げています。
さらに今号ではサステナビリティ、パーソナライズドニュートリションに関するニュースも多く取り上げています。
パーソナライズドニュートリショントレンドについては、市場調査会社FMCG Gurusによる2020年の調査で、消費者は個々の健康に対してより積極的なアプローチを取り、自身のライフスタイルに合った解決策を探していることが分かりました。カスタマイズ可能なニュートリションまたは機能性飲料は、この市場に参入するための鍵となります。
消費者の63%が個々のニーズに合わせてパーソナライズされた飲料に関心を持っているのだそうです。
そしてこの傾向は今後もさらに続いていくようです(今号のニュースをご参照下さい)。
パーソナライゼーションの一例として、健康志向の高まりとともに急速に普及している「プロテイン+」というトレンドがあります。これはADM社が2020年に発表した「2020年に注目すべき7つのプラントベースたんぱく質トレンド」でも記されています。
高たんぱく質を謳った商品が増える中、プロテイン+は、ビタミンやプレバイオティクスなどの健康効果を付加することで、ブランドの差別化を図る手段となっています。例えば、プロテインシェイクに健康効果を追加することで、従来のスポーツニュートリションの消費者だけでなく、より多くの人にアピールすることが可能で、さらにプレミア価格で販売することができます。
パーソナライズドニュートリションは今後、さらに大きなビジネス機会をもたらすものになるかもしれません。
(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、Innova社が2022年のTOP10トレンドを発表:地球の健康は個人の健康を上回る、代替たんぱく質の「次の大企業」はアジアから生まれる可能性、Fi Europe 2021イノベーションファイナリストは、プラントベースおよびサステナビリティのメガトレンドを反映 、など15の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2021年11月11日号 トピックス
●腸内細菌叢と全身の健康に対する消費者の認識:NMI調査
●Innova社の2022年のTOP10トレンドを発表:地球の健康は個人の健康を上回る
●パーソナライズドニュートリションおよび原料の未来:Mintelインタビュー
●食品の栄養成分表示が消費者の購買選択に影響を及ぼす
●代替たんぱく質の「次の大企業」はアジアから生まれる可能性
●ADMが2022年消費者トレンドのトップ8を予測
●牛乳: Bill Gates氏の気候変動に関する最新の投資先
●Fi Europe 2021イノベーションファイナリストは、プラントベースおよびサステナビリティのメガトレンドを反映
●USDA認証オーガニックオーツ麦を使用した7つの乳代替品を紹介
●カロリー制限食が腫瘍の増殖に影響を与える可能性
●腸内環境とCOVID-19における免疫、高齢者の骨、関節、代謝の健康との関わり:Probiota Asia
●Gryphon社が医療用ニュートリション企業Metagenics社を買収
●米FDAが食品関連産業に向けナトリウムの自主削減に関する最終ガイダンスを発行
●EFSAがEat Just社の緑豆たんぱく質成分をノベルフードとして承認
●英国の新規制はCBDセクターにどのように影響するのか?
[今号のハイライト]
ADMが2022年消費者トレンドのトップ8を予測
[2021/10/13] nutritioninsight.com 農産物加工・食品原料の大手サプライヤーである米ADM社が、世界の消費者トレンドを分析する調査「Outside Voice」を行ったところ、消費者の意識はますます、マイクロバイオーム、サステナブル、プラントベースに向いていくことが明らかになった。
この傾向はCOVID-19パンデミックによって強まり、個人の心身の健康から地球全体の健康へと、消費者の関心は拡大している。
以下、ADMのイノベーション、リノベーション、開発プラットフォームへの道を示す、8つの主要な消費者トレンドを紹介する:
●体や心の健康を全体的にとらえる
メンタルを含めた健康への関心は以前から強まっていたが、パンデミック以降は特に、ホリスティック(全体的な)ウェルビーイングという考え方に関心が集まる。
調査結果では、37%が、精神的なウェルビーイングを向上させるスナックを求めているという。食品トレンドの分析を提供するInnova Market Insights社の調査でも、北米市場では脳や気分の健康改善を表示した商品が大きな割合を占め、現在も急速に成長していることが分かった。大手フレーバー企業のGivaudan社は最近、気分の安定に有益だというアシュワガンダ商品を発表している。
●プラントベースのライフスタイル
環境に優しいライフスタイルを目指す消費者の関心は、機能性、ホールサム(健全性)、プラントベースに集中している。
2035年には、たんぱく質市場の11%を代替たんぱく質が占めることになると予測されている。特に現在は、プラントベースが健康志向の強い消費者をとらえている。最近ドイツで開かれたトレードショー、Anuga 2021では、中近東、アジア、地中海ダイエット関連の商品が人気を博した。
●マイクロバイオーム
ウェルネスの中心となるマイクロバイオームについての認識は、時代とともに高まっている。
ADMのOutside Voiceデータによると、世界の消費者の58%が、消化器系のバクテリアが健康全般にもたらす潜在的なメリットを認識している。
腸の健康を維持する食品・飲料、サプリメント商品の急増がそれを物語る。消費行動も、不調を軽減する食品を探すことから専門家を介して自分に見合ったプレバイオティクス、プロバイオティクス商品を探すまで、多様である。特に、中国市場ではプロバイオティクスが急成長しているという。
●クリーンラベルと透明性
クリーンラベル商品への需要が急増している。商品の原産地や製造工程、梱包に至るまで、商品のすべてに対して透明性が求められている。
消費者の58%が、パンデミック以降、地域性を押し出すラベル表示に対し、これまで以上に注意を払うようになると回答している。
Innova Market Insights社による「Top Trend for 2021」でも、「Transparency Triumphs(すべてにおいて透明)」がトップになっており、原料から始まりすべての情報を開示することが、消費者の信頼を勝ち得ることとなる。最近では、AI、ブロックチェーン、マシンラーニングなど先進テクノロジーの開発が進み、スマートラベルやデジタルトレーシングといった手段が急速に普及、迅速な追跡が可能となっている。
●ペットの健康
今や家族の一員としての扱いになっているペットだが、飼い主はこれまで以上にペットの健康に関心を高めている。世界市場における「オールナチュラル」のペットフード商品は41%増加した。
昨年、飼い主の30%は、最良のペットフードを求めて検索に膨大な時間を費やしているという。特に、最高品質の成分を用いたペットフードが好まれ、バイオテック企業のVeramaris社(オランダ)は、天然海洋藻由来のオメガ3脂肪酸を豊富に含有した「Veramaris Pets」を発売した。
●家畜飼料
天然成分を用いたペットフードが注目を浴びる中、家畜飼料の最適なソリューションへの需要も高まっている。
動物飼育に関するデジタル資料が多く手に入るようになり、特に、抗生物質や成長ホルモンの使用に関する消費者の知識が豊富になった。消費者の49%は、高額であろうと、高品質保証や安全基準合格といった商品を求めている。
●サステナブル
消費者の47%は、商品のサステナビリティ表示に注意を払うようになった。倫理的な商品生産やサステナブルな資源開発を求める声も高まっている。例えば、未来の食糧供給を守るため、再生型農業やCO2削減に沿った生産を行う企業に関心が集まっている。
●先進的再生可能システムとバイオソリューション
食品システム、中でも、食品廃棄や限りある資源の使用に消費者は敏感になっている。消費者の38%は、高くてもサステナブルな素材の商品に対価を払いたいとしている。
アップサイクル(廃物利用)という考えが広まり、最近ではNutriLeads社が、従来捨てていたニンジンジュースの搾りかすを利用して、免疫促進作用を持つ食品成分「BeniCaros」を新発売した。
また、カナダのアップサイクル食品企業、Outcast Foods社は、食品廃棄物から粉末状のサプリメントを開発、さらに、EUでは、オリーブオイルの生産工程で廃棄されていたオリーブの葉を利用するプロジェクトが展開されている。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年11月11日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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