本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて弊社代表・武田がキッズニュートリションについて取り上げています。
国内ニュースからは、キューサイ、My Fit、オーダーメイドプロテインの販売を開始、家計調査、「女性の健康美と食生活」をテーマにした調査結果を発表、ファンケル、社会貢献プロジェクトとしてひとり親の世帯を継続的に支援する方針、オイシックス・ラ・大地、アップサイクル商品を保育施設へ販売開始、といった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
今年から毎月開催している『NNBポイント解説セミナー』は、年内は残すところ後4回となりました。毎回、アンケートにお答え頂いていますが、ご希望が多いテーマの一つが『キッズニュートリション』ですが、なかなかNNBマンスリーでトピックスとなる事がなく、解説する機会がありませでした。
しかし、先月29日日経新聞が『巣ごもり影響? 子ども肥満進む』という記事を掲載していました。記事では、文科省やスポーツ庁の調査結果から肥満傾向児の割合の上昇や裸眼視力の低下を報じています。こんなところにもコロナの影響が出始めていたようです。
良い機会ですので、今号では『キッズニュートリション』についてまとめてみたいと思います。
キッズニュートリションの背景
乳幼児、小児(12歳くらいまで)を対象にした栄養成分等を強化した食品のことを、一般的にはキッズニュートリションと定義されています。
錠剤、カプセル、パウダーなどのいわゆるサプリメント形態以外にも、粉末飲料、スポーツプロテイン、グミやチュアブルタブレットなどの一般加工食品形態の商品も対象に考えますが、一般食品との線引きは明確ではありません。
日本国内においては、子供、特に幼児期は「栄養は、家庭でつくる3度のバランスのとれた食事から摂るべきである。」という考え方も浸透しており、子供のサプリメント摂取に関する否定的な見解が専門家の間でも主流となっています。メディアなどでも度々このような意見が紹介されていることもあり、日本国内において市場はほとんど形成されていません。しかし、子供の栄養素に関しては、鉄分、食物繊維、カルシウム、ビタミンなどに関して、栄養素が不足している児童も多い(日本スポーツ振興センター「平成19年度児童生徒の食事状況調査」等)ことから、栄養面でのサプリメントのニーズは高いと考えられます。
一方、欧米では子供の肥満や糖尿病の流行、食品の品質や安全への対処に注目が集まっています。そのため、不況の中でも子供向けのナチュラル食品、オーガニック食品、better-for-you食品やサプリメントのマーケットが拡大しています(特に、米国では子供の肥満対策が急速に進んでいます)。今からおよそ10年前、ミシェル・オバマ元米国大統領夫人がイニシアチブを取る子供の肥満に取り組む運動「Let’s Move」が注目を集めました。これは、家庭や地域社会が、より健康で活動的な生活を送ること、そして将来の世代のために健康な生活のパターンを確立することを奨励する運動であり、子供向けのスポーツや健康的な食生活の普及を目指すことが目標に掲げられました。具体的には、学校給食の改善、砂糖入りの清涼飲料水の販売規制などを盛り込んだ「Child Nutrition Bill(子ども達の栄養法案)」が連邦議会の下院を通過しました。その中でも注目されたものは、真の健康をうたう(ナチュラルヘルシー)食品や人工着色料、保存料、果糖ぶどう糖液糖、グルテンやナッツなどアレルゲンを含まない“○○フリー”な商品などがありました。
キッズニュートリション市場の発展
2013年当時、大手企業によるオーガニックのキッズ・ベビーフードブランドの買収が相次ぎました。買収されたのは、過去5~6年の間に急成長した起業家によって立ち上げられたHappy Family、Ella’s Kitchen、Plum Organicsなどのスタートアップ企業でした。
- Danone社は、ベビーフードで米国4位のHappy Family社の株式を90%余り取得することで合意したと発表
-取引額は明らかにしていない。Happy Family社は2006年の創業以来、オーガニック原材料を使用することで急成長を遂げ、米国ベビーフード市場において4%以上のシェアを占めており、年商は6千万ドル。 - 有機製品会社Hain Celestial Group, Inc(NASDAQ:HAIN)は、有機ベビーフードメーカー兼販売代理店Ella‘s Kitchen Group Limited(以下、Ella’s Kitchen)の買収を発表
-両社で協力し、グローバル ベビー&キッズ部門を創設する戦略的買収
-Ella‘s Kitchen は、英国、米国、スカンジナビアで主に80ブランドのオーガニックベビーフード製品を提供。2012年度売上高は約7千万ドル。 - 2013年5月23日米国メーカーCampbell Soup Company が幼児有機食品Plum Organicsを買収すると発表した
-Plum Organicsは、カリフォルニア州エメリービル本社の幼児有機食品ブランド。2012年の売上は9千3百万ドル。
2010年ごろまでは、キッズ向けの食品は科学的エビデンスに基づいた機能性成分を強化した食品、飲料が主流でした。例えば、オメガ3脂肪酸添加の乳製品などがありますが、魚油を強化したヨーグルトというコンセプトは母親達に受け入れられず、浸透しませんでした。しかし、2013年頃には、子供たちによりヘルシーな食品を食べさせたいという母親達のニーズを反映し、機能性成分強化ではなく、天然素材を使用し、添加物などを含まないナチュラルでシンプルな食品の人気が高まっていきました。また、キッズを対象にしたオーガニック食品も成長していました。当時の消費者調査によると母親の 20%が子供にオーガニック食品を選んでいました(自分自身がオーガニック食品を摂取する人は、12.3%に過ぎませんでした)。
これらを受け、本号では『キッズニュートリション』の近況についてまとめてみました。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2021年8月2日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
●フォーマルクライン、『フラバン 血管サポート』を7月12日(月)に新発売
●My Fit、オーダーメイドプロテインの販売を開始
●味の素、持続可能な食資源を活用した次世代ベジタブルドリンク「Mankai®」新発売
●「女性の健康美と食生活」をテーマにした調査結果を発表
●ロート製薬、ファーマフーズと資本業務提携を発表
●ファンケル、社会貢献プロジェクトとしてひとり親の世帯を継続的に支援する方針
●オイシックス・ラ・大地、アップサイクル商品を保育施設へ販売開始
●NOMON、全製品が健康食品分野で国内初の「ノーアニマル認証」取得
●サウスプロダクト、NK細胞の活性化をヒト試験で確認
●消費者庁、令和2年度下半期の食品表示法の食品表示基準に係る指示及び命令件数を発表
●農林水産省、「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」を開始
●令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
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[今号のハイライト]
味の素、持続可能な食資源を活用した次世代ベジタブルドリンク「Mankai®」新発売
[原文:https://topics.ajinomoto.co.jp](2021年7月27日 味の素株式会社 プレスリリース)
味の素株式会社は、マンカイ(ウォルフィア)を主成分とするベジタブルドリンク「Mankai®[マンカイ]」を2021年7月30日(金)より新発売した。
葉野菜マンカイ(ウォルフィア)とは、Wolffia globosa(和名:ミジンコウキクサ)というウキクサの一種で、世界最小(葉の直径が約0.5mm)の野菜である。たんぱく質やビタミン・ミネラルなど60種類もの栄養素を豊富に含んでおり、たんぱく質含有量は「ケール青汁」(13.8g)の約3倍(40.7g)というデータもある。
同品を摂取する事で、ビタミン、ミネラル、食物繊維だけでなく、植物性たんぱく質を含む60種類の栄養素と、1日の野菜摂取目標量の1/3以上を同時にチャージすることが可能である。味は抹茶風味で、水や牛乳に混ぜて飲むことが可能だ。また、マンカイは水、光、肥料を用いた水耕栽培で、栽培開始3日後には収穫できる。比較的短期間での収穫が可能なため、環境への負荷が少ないサステナブルなたんぱく源として注目されている。
内容量は30本入り(1本5.4g/30日分)で、価格は4,500円(税込)となっている。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2021年8月2日号」より抜粋)
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