ダイセル、ヒトの経口摂取でこんにゃく由来セラミドのヒト脳内アミロイドβ蓄積抑制効果を検証、ほか|GNGニューズレター7月16日号

 

本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて弊社代表・武田が機能性表示食品制度誕生に至る中で、是非、皆さんにお伝えしたい「言葉」について取り上げています。

国内ニュースからは、キューサイ、臨床試験で腰の不快感を軽減する機能を実証した機能性表示食品「腰サポート」を発売、家計調査、2021年5月度の「健康保持用摂取品」の平均支出額は前年同月比3.1%の減少、キリンビバレッジ、「キリン 脳ケアチャレンジ!」始動 第1弾モニター調査結果を報告、ユーグレナ、幼児のアトピー性皮膚炎症状を軽減させることを示唆する研究成果を確認、といった話題を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

こんにちは、GNG武田です。

弊社において、機能性表示食品届出指導員養成講座を自主企画として開催してきて約1年が経ちました。

これまでに約30名の方が熱心に受講して下さいましたが、共通の印象を受けました。それは、制度の根本的な思想、考え方について知ることがない中で、ガイドラインや質疑応答集、事後チェック指針などを読むしかなく、判断に迷われることが多いということです。

元々、「届出ガイドライン」には食品表示基準上の考え方が示されていて、曖昧な点が多く、ガイドラインだけでは制度を上手く活用することは難しいと思います。重要なことは、ガイドラインに書かれている文言が、何故書かれているのか、という原点を知ることだと思います。

例えば、機能性表示食品制度における「科学的根拠」に対する考え方、なぜ、機能性の科学的根拠に臨床試験(ヒト試験)と研究レビューを採用したのか、そもそも、システマティック・レビュー(SR)の目的とは、基本的な考え方は、などを知ることなしに、自らの責任で届出をすることの意味を理解することは難しいと思います。そして、自信をもって届出をすることも難しくなると思います。そして、その自信の無さが、消費者庁の役割に対する誤った考え方も生じてくるのだと思います。

私は、機能性表示食品制度の案が規制改革実施計画に取り上げられる前から、ほんの僅かですが制度誕生に関わることがありました。そして、2015年3月30日に「届出ガイドライン」が公表されるまで、制度成立の経緯を見てきました。

当時、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」を傍聴し、議論を見守ってきた方が、業界内でも随分少なくなったように思います。今は懐かしく思いますが、この検討会はとても人気が高く、傍聴は抽選で決められていました。幸運にも、私は申し込んだ検討会は全て傍聴することができ、その経緯を、この研究会でもリアルタイムにお伝えしてきました(とても懐かしいです)。

検討会での議論の経緯、もっと言えば、2013年6月14日に公表された日本再興戦略に「食の有する健康増進機能の活用」が盛り込まれるに至った経緯を知ることで、機能性表示食品制度の最も基本的な考え方が理解できるのではないかと思います。

特に、日本再興戦略公表前の当時の安倍首相のコメント、そして、規制改革実施計画に「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」が取り上げられ、12月20日に第1回「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」が開催されるまで、制度内容について様々な憶測が飛び交ったが、10月に業界団体AIFN(国際栄養食品協会)開催のシンポジウムで、当時の消費者庁食品表示調査官が基本的な考え方を示したことで、新制度の大原則が明確になりました。

当時、水面下で話が出ていた「第三者認証制度」が完全に否定されました。これは、消費者庁の当時の担当官の強い想いがこもっていると思います。各方面から「第三者認証制度」を取り入れるような圧力が有ったとも聞いていました。
それらをはねのけ、事業者が自らの責任で届出をする制度になったということは、本当に素晴らしいことだと思います。本日現在、届出件数3,742件(届出撤回を除く)、事業者数998社となっており、それぞれトクホの3.5倍、6.7倍となっています。
トクホでは許可されていないヘルスベネフィット、成分も数多く登場しています。もし、第三者認証制度となっていたら、全く異なる状況になっていたのではないかと思います。

また、消費者庁担当官の「各企業が、どういう考えのもと、どういった方法で適切なレビューを行い、その結果このようなエビデンスが出たからこういう表示をするというのを、きちんと社名をかけて宣言していただき販売していただく方が制度として適切でないか。」という言葉に、機能性表示食品制度の重要な考え方が凝縮されていると思います。特に「社名をかけて宣言する」という言葉には痺れます。
社名をかけるからには、言ったことには全責任を持つ、という企業姿勢を示す制度ということです。

現在、機能性表示食品制度に対して「可否の基準がよく分からない」「何が良くて何がだめかわからない」といった声を聞く事があるが、これは思い違いだと思います。

機能性表示食品制度は、あくまで企業自らが評価・判断をし、責任(自信)をもって届出、販売する制度です。これは、制度設計開始時から変わらない大原則です。
制度誕生の過程を見届けてきた数少ない者の一人として、このことは責任をもって後世に伝えていく責任を感じています。

私の「機能性表示食品届出指導員養成講座」では、技術的な事だけでなく、このような制度誕生時の健全な考え方もお伝えしています。思わず熱くなり、講義時間も大幅に超過してしまっています(笑)。

現在、日本の機能性表示食品制度は、世界でもっとも透明性の高い、世界最先端の制度となっていることは、各国のヘルスクレーム制度と比較すれば一目瞭然です。
日本企業の皆さんには、この制度を正しく活用することで「世界に先駆けて健康長寿社会を実現する」という制度誕生に至った目的を達成して頂きたいと思います。

サイエンス(科学)に対する真摯な姿勢、レギュレーション(法規制)の遵守という条件を満たしつつ、かつビジネスとしての機会を最大化できる現実的なポイントがどこにあるのかを自ら見極め、自らの責任を持って判断すること、これが今、私たちに求められていることだと思います。

業界内で機能性表示食品誕生時の状況を知らない方が増えている中、消費者庁もすでに4人目の担当者に変わっています。消費者庁内でも、制度誕生時の想いが薄まっているのかも知れません。だからこそ、尚更、制度誕生の経緯をお伝えする必要性があるのでは、と思います。

現在、いくつかの届出のお手伝いをさせて頂いていますが、目指しているのは「カッコいい」届出、です。

安全性・機能性の科学的根拠、品質管理の方法、機能性表示の内容、などを、これまでの届出とは一味違う、「カッコいい」届出をしていきたいと思っています。
今号では、時計の針を8年巻き戻し、機能性表示食品制度誕生に至る中で、是非、皆さんにお伝えしたい「言葉」を、可能な限りそのまま載せてみました。

(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛

GNGニューズレター(国内情報) 2021年7月16日 トピックス

<国内ニュース(要約)>

●キューサイ、臨床試験で腰の不快感を軽減する機能を実証した機能性表示食品「腰サポート」を発売
●2021年5月のドラッグストア販売額、「健康食品」は197億円、前年同月比12.6%の増加
●2021年5月の通販売上高、「健康食品」は対前年同期比6.9%増加
●家計調査、2021年5月度の「健康保持用摂取品」の平均支出額は前年同月比3.1%の減少
●キリンビバレッジ、「キリン 脳ケアチャレンジ!」始動 第1弾モニター調査結果を報告
●ダイセル、ヒトの経口摂取でこんにゃく由来セラミドのヒト脳内アミロイドβ蓄積抑制効果を検証
●ユーグレナ、幼児のアトピー性皮膚炎症状を軽減させることを示唆する研究成果を確認
●消費者庁、令和2年度食品表示に関する消費者意識調査の報告書を発表

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[今号のハイライト]
ダイセル、ヒトの経口摂取でこんにゃく由来セラミドのヒト脳内アミロイドβ蓄積抑制効果を検証

[原文:daicel.com

株式会社ダイセルは、北海道大学および北海道情報大学との共同研究により、同社が開発した健康食品素材であるこんにゃく由来グルコシルセラミドの摂取が、ヒト脳内アミロイドβ蓄積を予防し、アルツハイマー病などによる認知機能の低下を抑制・維持できる可能性があることを確認した。

アルツハイマー病などの認知機能の低下を引き起こす進行性の疾患は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳細胞外に蓄積することが原因と言われている。これまでの研究では、こんにゃく由来グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することで、アミロイドβクリアランス効果を保持する神経由来エクソソームが増加し、脳内アミロイドβの蓄積が抑制されることが明らかになっていた。そしてこのたび、ヒトが経口摂取した場合での効果を検証するため、試験期間を24週間とし、60歳以上80歳未満の被験者20名(平均70.1歳)を、プラセボ食品群10名と被験食品群10名に構成し、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を行った。

それぞれの群にプラセボ食品またこんにゃく由来グルコシルセラミド5.4mgを含む被験食品を摂取してもらい、0週、12週、24週に血中アミロイドβバイオマーカー値の測定を実施したところ、被験食品群において、0週目との比較で12週目に有意な低値を示した。さらに層別解析を行ったところ、アミロイドβバイオマーカー値が相対的に低めの集団においては、摂取12週後、24週後において被験食品群の変化量がプラセボ食品群より有意に低値を示した。

同社は今回の研究成果を、7月3日(土)~4日(日)に開催された「第75回日本栄養・食糧学会大会」(一般演題B-23)で発表した。

(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2021年7月16日号」より抜粋)

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18年間の実務経験と20年間のコンサル経験を積み、38年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外750以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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