本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて弊社代表・武田が、Natural Medicines Comprehensive Databaseの有効性に関する考え方を詳細に整理しています。
国内ニュースからは、日本初のBMIが高めの方の体脂肪を減らす茶葉製品「一番摘みのお~いお茶」発売.「食と健康アワード2021」保健機能食品部門で生鮮食品初となるスミフルジャパンの『朝のしあわせバナナ』、準グランプリ(最優秀部門賞)受賞.「笑い」が脳機能に及ぼす健康効果、キリンHDと吉本興業で研究スタートといった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
今日は、会員の皆様に是非お知らせしたいことがあります。
3月31日(水)14時~16時30分に「消費者庁・FOOCOM共催公開シンポジウム」が開催されます。
その中で、国立健康・栄養研究所食品保健機能研究部部長 千葉 剛氏が「ビタミンDや乳酸菌等に新型コロナの効果なし~健康食品を利用する際の注意点(仮)」というテーマで講演されます。
国の研究機関の方が、それも食品保健機能研究部部長という立場の方が、「効果なし」と断言されていることに驚きました。「効果なし」といえる程の科学的エビデンスがどれほどあるのか、是非お聞きしたいと思い、早速、申し込みました。
自然療法(Natural Medicine)分野において、ゴールドスタンダードレベルの科学的なエビデンスベースの情報を提供しており、医療、代替医療、統合医療に従事するその世界のリーダーたちが、最も完全で実用的な情報として頼りになるデータベースであると認識している Natural Medicines Comprehensive Database(以下、NMDB)では、「効く」「効かない」などと単純な評価をしていません。
NMDBでは、素材・成分毎にそれぞれ安全性評価、有効性評価、相互作用評価に関する情報が記載されています。これらの評価は、厳密な科学的根拠に基づいた基準によってなされ、「推奨する度合い」をレーティングとして記載しています。有効性レベルにおいては、
- EFFECTIVE(効きます)
- LIKELY EFFECTIVE(おそらく効きます)
- POSSIBLY EFFECTIVE(効くとは断言できませんが、効能の可能性が科学的に示唆されています)
- POSSIBLY INEFFECTIVE(効かないかもしれません)
- LIKELY INEFFECTIVE(おそらく効きません)
- INEFFECTIVE(効きません)
とレーティングされています。
更に重要なことは、科学的根拠が不十分な場合も「不十分」というレーティングが示されていることです。不十分というレーティングの場合、エビデンスの集積内容によっては高い有効性レベルに引き上げられる可能性があります。
つまり、「効果がない」と実証できない限り「効きません」という評価をしない、という科学的な視点を大切にしています。
因みに、NMDBで「効きません」と評価する基準は「最も評価の高い文献が特定の効能において有効でないと概ね意見の一致が見られるもの。または、複数の質の高い研究が否定的結果を出しているもの。信頼性の高いヒト試験から、その結果を覆すデータが得られていないもの。」と定められています。あくまで、科学的に質の高いエビデンスがない限り「効きません」という評価をしません。
国立栄研が、どの程度「効かない」という科学的エビデンスを示すのか、今からとても興味を持っています。
個人的に親しくさせていただいている健康医療ジャーナリストの西沢邦浩さんから、とても興味深い情報を教えて頂きました。
それは、匿名のサイエンティストたちが、ボランティアで日々、新しい研究が出るたびに、ビタミンD投与とCOVID-19の関係についてのメタアナリシスを更新するサイトです。
このサイトでは、「ビタミンDはCOVID-19に効果的です:57の研究のリアルタイムメタ分析」というタイトルの元、次のようなサマリーが示されています。
- ビタミンDはCOVID-19に効果的です。これまでの18の治療研究のランダム・エフェクト・メタアナリシスは、測定された効果の推定63%の減少、RR 0.37 [0.26-0.53]を示しています。
- 多くの研究は、ビタミンDの充足とアウトカムの間に強い関連があることを示しています。39の研究のメタアナリシスは、57%の推定削減、RR 0.43 [0.36-0.52]を示しています。
そして、解析方法などを開示したうえで、解析対象にしたすべての論文にリンクを張っています。
別のチームは、ビタミンCや薬品について同様の評価を続けているそうです。
このようなスタンスが、本当の意味で「科学的」と言えると思います。
「効果なし」と断言するだけの科学的エビデンスがどれほどのものなのか、是非、会員の皆様もこの講演をお聞きいただき、ご確認いただければと思います。フォーラムの申し込みURLはこちらです。
少しでも可能性があるのなら、その情報も公平に提供して、消費者自身の判断に任せる、というのが国の機関の在り方だと思います。「効果なし」と断言することで消費者をミスリードし、得られたかも知れないベネフィットを得る機会を損失させることが、消費者の利益になるのでしょうか。「消費者の誤認を招かない、自主的かつ合理的な商品選択」に資するのでしょうか。そして、このフォーラムの共催社が消費者庁という点も重要なポイントです。Totality of Evidenceの観点から考えて、いかがなものでしょうか。
今号では、NMDBの有効性に関する考え方を詳細に整理してみました。是非、科学的に「有効」であるという判断をすることに対する、フェアな考え方に触れていただければと思います。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2021年3月16日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
●大正製薬、Livitaの生活習慣ケアシリーズから「快眠ケア カプセル」 新発売
●キリングループ3社と雪印メグミルク、機能性表示食品「βラクトリン」シリーズを新発売
●日本ハム、植物由来原料の『NatuMeat』シリーズから新たに4商品を新発売
●UCC上島珈琲、日本初の原材料のコーヒー豆が無添加の機能性表示食品を発売開始
●日本初のBMIが高めの方の体脂肪を減らす茶葉製品「一番摘みのお~いお茶」発売
●2021年1月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比3.4%増加
●2021年1月の通販売上高、「健康食品」は対前年同期比14.2%増加
●総務省、2021年1月分の家計調査の結果を公表
●えがおの「黒酢シリーズ」、黒酢健康食品通販市場で13年連続売上日本一を達成
●「食と健康アワード2021」保健機能食品部門で生鮮食品初となるスミフルジャパンの『朝のしあわせバナナ』、準グランプリ(最優秀部門賞)受賞
●「笑い」が脳機能に及ぼす健康効果、キリンHDと吉本興業で研究スタート
●食品のリコール、6月1日より届出義務化が決定
●消費者庁、インターネットにおける虚偽・誇大表示について該当事業者に表示の改善を要請
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[今号のハイライト]
「食と健康アワード2021」保健機能食品部門で生鮮食品初となるスミフルジャパンの『朝のしあわせバナナ』、準グランプリ(最優秀部門賞)受賞
[原文:PR TIMES Inc.]
バナナの王様「甘熟王(かんじゅくおう)」を販売する、青果物輸入販売会社の株式会社スミフルジャパンは、JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)と月刊H&Bリテイル(ヘルスビジネスマガジン社)による合同企画「食と健康アワード2021」の保健機能食品部門において、「スミフル・朝のしあわせバナナ」が準グランプリ(最優秀部門賞)を受賞したことを発表した。これは、生鮮食品としては初の快挙である。 受賞理由としては、「果物がヘルスケアに役立つ」という具体的な機能表示食品により、生活者の健康意識の高まりに対応し、バナナの新しい価値を創出したことや、より食事に近しいため手軽にケアできる商品として、市場が待ち望んでいた商品を提供したことなどが評価された。また、同品により、果物・生鮮食品売り場はもちろん、「血圧が気になる人」に向けた提案の幅が生まれ、「食でケア」ひいては予防にも貢献できることが認められた。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2021年3月16日号」より抜粋)
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