2024年は多様なたんぱく質源の発見と生産が課題、ほか|GNGグローバルニュース2024年2月14日号

こんにちは、GNG武田です。今号では、代替プロテインの記事が目立ちます。

  • 2024年は多様なたんぱく質源の発見と生産が課題
  • プラントベース飲料は乳代替品としての複数の壁に直面
  • US Davisが食肉需要と生産のギャップを埋めるため代替肉研究開発の大規模センターを設立
  • 細胞培養肉が環境に与える影響とは
  • ロバミルクは栄養価の高い新代替ミルクとなり得るか
  • Imagindairy社、代替たんぱく質商品でFDA通知GRASステータスを獲得
  • イスラエルでの世界初の培養牛肉承認にEUの培養肉関係者は希望を抱く

代替プロテインというと、大豆やエンドウ豆などが由来の「プラントベースプロテイン」、細胞培養により人工的に製造する「培養プロテイン」、発酵技術を利用する「発酵プロテイン」、その他にもコオロギなどの「昆虫食」やスピルリナなどの「藻類由来プロテイン」があり、それぞれとても興味深い領域です。消費者も新しいプロテインの選択肢に興味を持っているようです。しかし、代替プロテインが成功するかどうかは、味、食感、栄養に対する期待の高さ、そして親しみやすさに大きく左右されることは、New Nutrition Businessが繰り返し指摘してきたとおりです。

また、Archer Daniels Midland(ADM)社が昨年実施した世界的な消費者調査によると、プラントベース製品の消費者 (フレキシタリアン、ベジタリアン、ビーガン)の 73%は、食品または飲料における味と栄養は同等に重要であると考えています。
さらに、昨年発行されたGlobal Protein Consumer Discovery Reportによると、「味や食感の改善」が、消費者がプラントベース製品を試す動機になっていることが示されています。また、このレポートによると、プラントベース製品の消費者の44%が、栄養が強化された植物性製品を望むと回答しており、2020年から消費者の関心が高まっています。

そして、レギュレーションの課題もあります。培養プロテイン、発酵プロテインに対する規制は厳しく、アメリカ、シンガポール、イスラエル以外の国、特にEUではハードルがまだまだ高いようです。これら代替プロテインの日本市場における将来を考えるには、定点観測が不可欠です。

さて、先般よりご案内しています「日米欧ヘルスクレームサミット(仮)」について、スピーカーとしてお招きする予定の米国UNPA(United Natural Products Alliance)会長Loren Israelsenさんより、次のようなメッセージトを頂いています。

このイベントは、3つの国の制度の下で、消費者のダイエタリーサプリメントの受容と使用に対するプラスまたは障害として、ヘルスクレームの役割を評価するまれな機会であると考えています。
これは世界的な関心を引くと思います。
今回の会議を、サプリメントの進化(さまざまな国内法の下ではそう呼ばれていますが)と、私たちの成長または潜在的な停滞におけるヘルスクレームの役割についてのグローバルな見方として使用できることを願っています。
会議の主な焦点であるヘルスクレーム制度を知ることは非常に役に立ちますので、考えの概要を練り始めることができます。 これから紹介する注目すべき記念日について考えれば考えるほど、過去30年間に日本、EU、アメリカの市場を形成してきた規制と消費者のダイナミクスを振り返るまたとない機会となります。

5月24日は、世界的なカンファレンスになりそうです。どうぞ楽しみにしていてください。

武田 猛

この記事について

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■GNGグローバルニュース 2024年2月14日号 トピックス

Market News マーケット
●女性の健康、サステナビリティ、プロモーションがSPINSの2024年CPGトレンドリストのトップ
●米国消費者の新年の目標は健康的な食事よりも運動
●2024年は多様なたんぱく質源の発見と生産が課題
●医師がサプリメント業界を盛り上げる
●米国サプリメント産業の経済効果は1,580億ドル:CRN経済効果報告書

Products & Technology News プロダクツ&テクノロジー
●プラントベース飲料は乳代替品としての複数の壁に直面
●US Davisが食肉需要と生産のギャップを埋めるため代替肉研究開発の大規模センターを設立
●細胞培養肉が環境に与える影響とは
●ロバミルクは栄養価の高い新代替ミルクとなり得るか

Science News サイエンス
●ウコン含有の栄養ドリンクがアスリートのダメージを防ぐ可能性
●キャビア抽出物が肌の健康に有益である可能性:RCT

Company News 企業情報
●Imagindairy社、代替たんぱく質商品で米国FDA通知GRASステータスを獲得
●Timeline社、シリーズDラウンドで資金調達に成功

Regulatory News 法規制
●イスラエルでの世界初の培養牛肉承認にEUの培養肉関係者は希望を抱く

[今号のハイライト]2024年は多様なたんぱく質源の発見と生産が課題

[2024/1/17] [foodnavigator.com]

食糧保障、環境問題が優先的に扱われる昨今、食品産業の目下の課題は、健康的で回復力があるサステナブルな食糧システムの構築である。増加する世界人口に対応するためにも、たんぱく質の新しい供給源の確保が早急に求められている。今、食品の研究開発現場では、たんぱく質の多様化が中心テーマであり、それに対処するテクノロジーの発展も急がれる。

EUが支援する健康的で持続可能な食糧システム構築を目指す世界最大の食品イノベーションコミュニティ、EIT FoodのLorena Savani氏は「限られた資源集約型の動物性たんぱく質から低環境負荷の多様なたんぱく質への移行を可能にするテクノロジーが必要だ。低環境負荷のたんぱく質源は食糧システムの回復力を高めるのに役立つ可能性がある」と説明する。

動物性以外の新しいたんぱく質源としてはプラントベース、細胞培養、マイコプロテイン、真菌や酵母バイオマス、高精密発酵食品などが挙がるが、一部の新しいたんぱく質源は完全に受け入れられていないのが現状だ。
その代表格が昆虫たんぱく質で、高たんぱく質で資源の豊富さからも注目されてはいるが、消費者の支持を得ることができていない。欧州でも、消費者に受け入れられるかどうかの支持において市場投入のタイミングが大きなハードルになっている。

英国食用昆虫協会(UKEIA)のGeoffrey Knott氏は「食用の昆虫食品が市場の本流になるまでまだ数年かかるだろう」と予測する。「食用昆虫のような新しいたんぱく質源にはさらに研究や、認知度を高める必要がある。食糧システムにプラスとなるという信用を確立するには、消費者や関連食品団体、そして政府のサポートが必要で、代替たんぱく質分野の成長を支援することも優先課題だ。」と付け加えた。

新しいたんぱく質源を発見、あるいは作り出すテクノロジー開発の努力の一環として、LenioBio社は真核生物無細胞たんぱく質合成システム(CFPS)であるALiCEを使用した産業規模のプラントベース無細胞たんぱく質合成の開発を続けている。また、3D食品プリンティング、藻類や海藻養殖、昆虫養殖、精密発酵、脂質源や食感再現等におけるイノベーションなどの技術も発展している。

EIT Foodが投資するスタートアップのBettaF!sh社は、プラントベースのツナ代替品「TU-NAH」を開発、「ツナの見た目、味を再現した。大豆や小麦ではなく、海藻とソラマメを原料に用いて、高たんぱく質で完全なプラントベース代替品を生み出した」と自信を見せた。

新しいたんぱく質源の製品を市場投入する際のネックとなるのが規制だが、EUのノベルフード規制により、食用昆虫およびその派生原料は市販前承認申請を行うことが可能になった。英国でも、食品基準庁(FSA)が代替たんぱく質の支持に力を入れており、食用昆虫はサステナブルで倫理的であり、高品質のたんぱく質源の可能性があると指摘している。

だが英国とEUの両市場を狙う企業は、英国とEUのノベルフード規制という2つの障壁を超えなければならない。例えば、両市場でノベルフード申請を行った牛乳のβ-ラクトグロブリンとAntrodia camphorata菌糸体フリーズドライパウダーは、EUの承認は得たが英国では承認されなかった。従って、EUでは合法的に販売できるが、英国では販売できない製品もあり、昆虫たんぱく質を両市場で販売しようとするスタートアップにとっては制約やさらなる考慮事項が生じることになる。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2024年2月14日号」より抜粋)

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