海外における健康・食・栄養に関する最新トレンドセミナーを開催
先週GNGでは、10キートレンド2020理解度アップセミナーを開催しました。
食品、飲料、サプリメント等を扱う会員企業の方々が集まり、会場はほぼ満席、セミナー本編からディスカッションタイム、延長戦にいたるまで熱気があり、大いに盛り上がりました。
ディスカッションを例にとると、セミナー会場では
ナチュラルと、ナチュラルでないもののボーダーはどこにあるのか?
脳の健康を認知症予防といったシニア世代に向けたものから、ずっと若い世代に向けた商品へと関心を向けていく訴求の仕方はあるのか?
といった質問が挙がりました。
前者に対しては、人によって「ナチュラル」とそうでないものの線引きが異なり、例えば「肉」をナチュラル、ととらえる人とそうでない人がいるように多様であること、その上で、素材を精製する過程を経ることにより「ナチュラルではなくなる」と感じる消費者が多いことを紹介。
後者に対しては、アメリカでは仕事や勉強、スポーツにおける「パフォーマンス向上」「集中力アップ」といった訴求が非常に盛んであることを話題に上げ、自社商品の開発のヒントを持ち帰っていただきました。
海外トレンドを日本に取り入れるには?
海外と日本では消費者の求めるものが違っていますので、海外トレンドすべてを取り入れようとするのは無理があります。
例えばここのところ長期的に大きなトレンドである腸の健康ひとつとっても、日本では便通がよくなることや免疫アップを期待する消費者が多いのに対し、欧米ではおなかの不快感を解消したい、という消費者が目立ちます。
違いを認識しながら、日本ではどの部分をどのように適用できそうか、定点観測を続けていくことが重要です。
今号のみどころ
今回のグローバルニュースでは、「低FODMAP(フォドマップ)食品」を提供する英国のスタート企業が大変注目されていることを取り上げました。
FODMAP(フォドマップ)とは?
FODMAP(Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides, And Polyols)とは、発酵性(F)、オリゴ糖(O)、二糖類(D)、単糖類(M)、ポリオール(P)の頭文字を取ったもので、腸で吸収されにくい物質のことです。
こうした物質が消化管に長くたまるとそのまま発酵し、腸の不快な症状を引き起こすことになるため、対処が必要になってきます。
これは元々臨床における治療での下痢、便秘、腹部の膨張などに対するソリューションでしたが、パーソナライズされた食生活を求める人々のニーズから、強い香辛料が苦手な人やグルテンフリー、ビーガンなどより幅広い消費者へアピールする商品へとシフトしている傾向にあります。
各トレンドは単独で存在しているのではなく、互いに関わりあっていることに注目してみてください。
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、腹部の不快感をもたらす物質を排除した「低FODMAP(フォドマップ)食品」で大成功を収めたイギリスのスタートアップ企業の話題、食品ロスを減らす方策に関する大学研究、肉への誘惑を断ち切る「ミートパッチ」の開発、アメリカにおける自然食品の業界団体・NPAの動向などを取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
■GNGグローバルニュース 2020年2月26日号 トピックス
- ゲームチェンジャーの動向:ブランドの成功に導く戦略ストーリー – HMT社の分析
- 「ミステリー」「伝統的」フレーバーが2020年のトレンドか
- 食品ロス低減対策の一つはスーパー店舗密度を上げること – Cornell University研究
- 赤肉・加工肉摂取で心血管系、死亡リスクが上昇する可能性
- 米国で販売されているオメガ3サプリメントは良質 – GOED分析
- Mighty Gum社、ビタミン入りガムを新発売
- Ascent社、筋肉疲労の回復を図る高プロテイン含有ドリンクウォーターを新発売
- Michroma社、糸状菌を用いた天然着色料の開発に成功
- Strong Roots社、肉の誘惑に勝てない人のため「ミートパッチ」を開発
- Bay’s Kitchen社、低FODMAP食品販売でブレイク
- NPA、破産からの脱却
- 塩化セシウム含有サプリメント摂取で心臓障害発症の危険性:FDA警告
- 欧州のウコン品質諮問機関がウコンの品質、安全性などに関するコンセンサスペーパーを発表
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[今号のハイライト]
Bay’s Kitchen社、低FODMAP食品販売でブレイク
[2020/2/10] [nutraingredients.com]
スタートアップ企業、Bay’s Kitchen社(英国)は、低FODMAP(フォドマップ)食品の提供を開始してから徐々に注目を集め、2019年の「フリーフロムフードアワード」を受賞するまでに至った。FODMAP(Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides, And Polyols)とは、発酵性(F)、オリゴ糖(O)、二糖類(D)、単糖類(M)、ポリオール(P)の頭文字を取ったもので、腸で吸収されにくい物質のことである。こうした物質が消化管に長くたまるとそのまま発酵し、腸の不快な症状を引き起こすことになる。
腸疾患で代表的なものが過敏性腸症候群(IBS)で、英国では5人に1人がこれにかかっていると言われる。Gut Education Indexが行った昨年の調査によると、女性の60%は人生のある段階で消化器系の問題を指摘され、その半数以上はIBSと診断されていることが明らかになった。そうした消化器系に問題を抱える人の3分の2は食生活を変えることになり、Bay’s Kitchen社の創立者、Hayley Burdett氏もその一人だった。腸で吸収されにくいFODMAPの少ない食生活を送ると、IBS症状が低減することは様々な研究で示唆されている。Burdett氏は主治医に低FODMAP食を勧められスーパーに買い物に行ったが、食品の多くに高FODMAPとされる玉ねぎやニンニクが含まれていることを知った。そこで同氏は自ら低FODMAP食品を開発することを思い立ち、2018年に同社を設立する。
当初の商品はトマト&バジルソース、スイート&サワーソース、ジャルフレージーソースの3種だけだったが、2019年、タイグリーンカレーとティッカマサラを加えると、一挙にブレイクした。「中でもグリーンカレーは、玉ねぎとニンニク抜きではかなり難しい料理であるため、ヒット商品となった」と同氏は述べ、グルテンフリー、ビーガン対応であるため、「強いスパイスが苦手な人やIBS患者以外の消費者にも人気がある」と自信を示した。玉ねぎ、ニンニクの代わりを様々なハーブ、スパイスがつとめるのだという。商品の数を増やす努力を続けており、3月にはスープやグレービー、チャツネなどを発表する予定にしている。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2020年2月26日号」より抜粋)
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