こんにちは、GNGの武田です。

1年間お休みしていましたメルマガ「健康食品ワールド」を今年1月から復活させました。

今後は1ヶ月に1回程度の頻度で国内外のトレンドなどについて、皆様のお役に立つと思われることをお伝えしていきたいと思います。

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低カロリー&低脂肪を追い求めた「食事代替型ダイエット」

米国でアトキンスダイエットが復調した2000年代初頭、日本は食事代替型ダイエット食品(フォーミュラ食品)が大ブレイクしました。日本人の関心はカロリーであり、低脂肪でした。2004年以降、フォーミュラ食品が各社から次々と発売されました。

フォーミュラ食品とは?

摂取エネルギーを制限する必要がある人のために開発された食品で、肥満の原因となる糖質、脂質を極力抑え、必要十分な量のたんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランス良く配合した、食事の代わりにとる代替食品のこと。

日本人と炭水化物

米国で支持された低炭水化物ダイエット(ローカーボダイエット)は、日本人にとって極めて困難なメソッドでした。

白米を主食に、主菜、副菜を食事の基本とする、時には、カツ丼、牛丼、天丼と、大量に白米を食する文化、カレーライスも大好物です。更に、うどん、そば、ソーメンという伝統的な麺に加え、ラーメンという国民的な料理は今や世界を席巻しています。その上、パスタも大好きです。それに加えて、お好み焼き、たこ焼きという粉物にも目がありません。食事としてだけでなくおやつとして食べたり、関西では、このお好み焼きをおかずに白米を食べる「お好み焼き定食」や焼きそばをおかずにした「焼きそば定食」なるいわば炭水化物オンパレードのメニューまであります。

健康的な食事と誤解されている寿司の酢飯には、酢に大量の砂糖を溶かした寿司酢をデンプンの塊の白米にたっぷりと混ぜたものです。このように、日本人から、炭水化物を取り上げる事は、文化的に困難でした。

また、当時の日本人にとって炭水化物は悪ではありませんでした。その分、カロリーや脂肪には、ことの他気をつかう傾向がありました。

当時の日本人には、炭水化物という言葉は総称であり、食物繊維と糖類・糖質という性格の異なる物質の集合体であることが理解出来ていませんでした

日本人がこの重要な事を理解するには、10年という月日が必要でした。

「ゼロ系」商品の売れ行き

ゼロ訴求飲料が登場したのは、2006年、サントリー食品インターナショナル社の「ペプシ ネックス」です。しかし、あくまで「ダイエットコーク」を意識したカロリーゼロコーラでした。コカ・コーラ社は翌年「コカ・コーラ ゼロ」を発番し、ゼロ系コーラのカテゴリーが誕生しました。レギュラーコーラの売上が停滞する中、ゼロ系コーラは順調に市場拡大をしましたが、トクホコーラの登場を境に、市場はシュリンクしていきました。また、コーラ飲料のカテゴリーそのものもシュリンクしています。

糖質ゼロ」訴求の商品が登場したのは、2009年に入ってからです。しかし、当時、あまりヒット商品は生まれませんでした。

日経ヘルスがリードする近年の日本における糖質制限の考え方

日経ヘルス』誌は20代~40代女性の読者が多く、健康情報も発信力が強く影響力も大きい雑誌です。『日経ヘルス』で取り上げられた特集が、他のメディア、例えばTVの健康情報番組等で取り上げられることも多くあります。

『日経ヘルス』の糖質制限関連の特集は、以下の通りです。

「朝ベジ・ファースト」ダイエット(2013年5月号)

朝の朝食を「ベジ・ファースト(野菜から先に食べる)」に変えると、血糖値の急な上昇を防ぐ食べ過ぎを防ぐ、その結果、太りにくい体にチェンジするという内容である。野菜(食物繊維)を先に食べるという「ベジタブル・ファースト」という食生活を提唱し、支持された。

炭水化物の正しい食べ方(2014年7月号)

糖質オフ炭水化物抜きを解説。炭水化物には、日本人の成人女性に不足しがちな「食物繊維」と「糖質」の総称であり、食後血糖値を急上昇させる「糖類」の摂り過ぎに注意喚起。「糖類」以外の「糖質」にはオリゴ糖でんぷんなどが含まれ、善玉菌のえさとなるので、摂取した方が良いことも提唱。

キレイになる!スローカロリー生活(2015年7月号)

肥満や肌老化のもと「食後血糖値」を避けて栄養補給、ベジタブル・ファーストとゆっくり吸収される糖質を推奨。「スローカロリー」とは、ゆっくり消化吸収される糖質や糖類の摂り方のこと。食べ物をエネルギー量ばかりで判断するのではなく、消化吸収のスピードという“”を考慮した考え方のこと。

“できる女性”のスローカロリー朝食(2015年10月号)

スローカロリー朝食で太りにくくなり、頭もさえる!メリットを解説。ゆっくり消化吸収される糖質食品(大麦雑穀入りご飯、玄米ご飯、全粒粉のパンなど)、ベジタブル・ファースト、よく噛んでゆっくりたべることを推奨。

害はないの?続けて大丈夫?糖質制限(2016年4月)

糖質制限食メリットデメリットを解説し、安全で効果的な方法を紹介。

50歳からの正しい糖質制限(2016年11月)

糖質の撮り過ぎによる疾病リスクを解説しつつ、ゆるやかな糖質制限ロカボを推奨。食後血糖値の急上昇を避けるため、1日三食それぞれ20~40g+おやつで10gの糖質量を推奨。続けやすく、リバウンドしにくいロカボのメリットを解説。

ゆるやかな糖質オフで太らない!24時間ロカボ生活(2017年1月号)

1日70~130gとゆるやかに糖質制限する「ロカボ」(低糖質)食が無理なくやせられると、1日の食事例を紹介。ハイカーボ食材として糖質の多い食材を紹介し、食べ過ぎに注意と注意喚起し、沢山食べてもOKとロカボ食材を紹介している。

ベジタブル・ファーストは、今や当たり前の食習慣に

『日経ヘルス』では、毎年、糖質オフ糖質制限の特集を行い、進化しつつ社会に浸透していきました。野菜を最初に食べる、というベジタブル・ファーストは今や当たり前の食べ方として多くの日本人が取り入れています。

このベジタブル・ファーストが「糖質オフ」「糖質制限」ダイエットとして普及し、多くの糖質オフ商品が登場することになりました。

「糖質オフ」を語る「ロカボ」市場が活況

2016年にはスーパーやコンビニで「糖質オフ」や「糖質0(ゼロ)」と表示した商品が散見されるようになり、外食や宅配食品にもトレンドが広がりました。

糖質制限、糖質オフ、糖質ゼロ商品の実例

紀文食品は「糖質0g麺」シリーズとして焼そばと豚骨ラーメンを発売し、江崎グリコは冷凍食品「糖質オフキッチン」シリーズから中華麺単体、焼きおにぎり、焼きそばを発売しました。また、東洋水産はチルド麺「マルちゃん 糖質30%カット」の中細麺と太麺を発売した。各社は小麦粉や米の量を減らし、おからパウダーや食物繊維、大麦を配合することによって、糖質カットを実現させています。

RIZAPやファミマに代表されるコラボ商品の事例

また、糖質制限ダイエットの先駆けとなった「RIZAP(ライザップ)」は、食品企業とのコラボレーションを展開し、ピザハットで発売した「糖質を抑えたピザ」や「チキンビッグサラダ」は、8月の発売開始から売上が予測の約1.5倍と好調を期したことで、10月には販売店舗を6店舗から32店舗に拡大しました。また、ファミリーマートは「RIZAP」とコラボレーションして、パンやケーキ、プリン、カフェラテなどを発売したほか、雑誌「dancyu(ダンチュウ)」とコラボして糖質を抑えた弁当やおむすびを発売しました。

外食チェーンでも、ラーメンやちゃんぽんから麺を抜くという注文ができるようになったり、ファミレスで「糖質0麺」を使用したメニューが登場したり、ハンバーガーのバンズを糖質オフのバンズやレタスに変更することができたりと、「ロカボゆるやかな糖質制限)」市場は拡大しました。

糖質制限ダイエットの「ツール」としての糖質ゼロ商品

2017年になってもこの流れは止まらず、流通を中心に様々な商品が発売されました。食品企業、飲料企業からも「糖質ゼロ」「糖質制限」商品が数多く発売されましたが、あまりヒット商品は見られませんでした。

糖質ゼロ」「糖質制限」商品が受け入れられるのは「糖質制限ダイエット」のツールとしてであり、このトレンドは商品ありきではなく、消費者の食生活のトレンドの変化、特に流通の与えた影響が大きいと思います。

消費者は特定の商品を使うのではなく、糖質の多い食材を避け、食後血糖値の上昇を抑える食物繊維の多い食材を積極的に選ぶことで「糖質制限ダイエット」を行っています。

食物繊維が多い「大麦(もち麦)」が大ヒット

その代表例が、大麦もち麦)の大ヒットです。2016年4月~9月の市場規模は対前年の同期間比は約225%と2倍以上に伸びました。また、2015年4月にスタートした機能性表示食品制度においても、大麦商品は、難しいと言われている農産物の中で唯一数多く届出されています(全てが食後血糖値の上昇抑制という機能性表示ではありませんが)。

食物繊維が豊富な大麦ごはん

また、この大麦(もち麦)ブームにうまく乗ることが出来、オーストラリア産のスーパー大麦バーリーマックス」が大ヒットしました。一般の大麦と比べて食物繊維量が多く、中でもレジスタントスターチの量が多いことで注目を集めました。

糖質制限ダイエットの普及に伴い、食物繊維の重要性を多くの消費者が理解をすることになり、食物繊維の多い食材を積極的に摂取することが推奨されています

「良い炭水化物」が「腸活」を後押し

「日経ヘルス」2015年12月号では「海の王者”昆布“と陸の王者”大麦“で和美人は作られる」という特集以来、腸の健康の重要性の理解が拡がり、「腸活」という言葉が定着しました。2016年6月号でも、「食物繊維+難消化性でんぷんで腸内環境を整える!スーパー大麦」という特集が組まれています。

腸の健康×良い炭水化物トレンド

腸のウェルネス」「良い炭水化物、悪い炭水化物」は、New Nutrition Business(NNB)が毎年公表する”“10 Key Trends in Food, Health and Nutrition”も中でも強力なトレンドとなっています。

そして、「ウェイトウェルネス」トレンドの要因となった「パーソナライゼーション&細分化」は、2020年には10 Key Trendsを包括するMega Trendsとなりました。まさにこのトレンドは、グローバルトレンドとなっています。

グローバルトレンドを先取りし、自分のビジネスの成功に結びつけるには、NNBの10 Key Trendsは、強力なツールになります。

良い炭水化物「イヌリン」に注目

2020 the year of inulin

2020年は「イヌリン・イヤー」?

そして、今年は「イヌリン・イヤー」としてNNBもGNGも「イヌリン」に注目しています。「良い炭水化物」の代表格としてこれからイヌリンが広がっていくと思います。

良い炭水化物の代表格「イヌリン」とは?

バナナ、タマネギ、コムギ、チコリ等、多くの植物に存在する水溶性食物繊維の一種。イヌリンは、フルクトースが多数結合してできたフルクタンで、小腸では消化されないが、下部消化管に運ばれてプレバイオティクスとして、あるいは善玉菌のエサとして機能する。イヌリンやほかのプレバイオティクスは短鎖脂肪酸に変換されて、結腸細胞に栄養を供給するなど様々なベネフィットをもたらす。

商品にイヌリンを使うと

  • 低糖質低カロリー表示ができる
  • 腸のベネフィットを訴求できる
  • クリーム状であるため、脂質保湿剤増粘剤結着剤の代わりになる

欧州では、EFSA(European Food Safety Association:欧州食品安全機構)により、少なくとも1日12gのチコリ由来イヌリンまたはフラクトオリゴ糖を摂取することで、便秘を解消する、という強調表示が認められている。

(10 Key Trends in Food, Health and Nutrition 2020 より)

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18年間の実務経験と16年間のコンサル経験を積み、34年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外600以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。