今週、九州地方に観測史上初の豪雨が記録されました。
このたびの豪雨で被災された皆様ならびにご家族の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
こんにちは、GNGの和泉です。
先日、速報メールでもお知らせしていますが、GNCがチャプター11(連邦破産法第11条)を申請しました。
チャプター11とは、日本の民事再生法に相当します。申請後に債権の取り立てが停止され、経営陣は債権者と協議しながら、原則120日以内に再建計画を策定し、経営の立て直しを目指します。清算型とは異なり、事業継続が前提となります。
現在米国ではこのチャプター11を申請する企業が激増しています。5月は、大手百貨店のニーマン・マーカスやJCペニー、レンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングスも破綻しました。
そしてカナダのサーカス劇団シルク・ドゥ・ソレイユは連邦破産法第15条を申請しています。第15条を申請することで、外国企業は米国以外の国で再建を進める間、米国の債権者による訴訟から保護されることになります。
その米国ですが、6月22日の大統領命令により、就労ビザの発給が年末まで停止となりました。
医療従事者および食料サプライチェーン従事者は対象外ですが、年末までにビザ発給を予定していた約52万5千人に影響が出るとのことです。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、在米日系企業だけで少なくとも1400人以上に影響がでるといいます。
ホワイトハウスでは、これにより米国人50万人分の雇用を確保できるとみているようです。
外国人労働者へのビザ発給を停止したところで、果たして米国人だけでその穴を埋められるのでしょうか。
今号ではアボカドオイルについてのニュースも取り上げています。
日本ではまだあまり浸透していないオイルですが、米国の健康志向の消費者には非常に人気だそうです。
アボカドオイルの効能として、トランス脂肪酸を含まず、不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)に分類されるオレイン酸を高含有しているため、LDL(悪玉)コレステロールの吸収を抑える働きが期待できます。さらにビタミンEやミネラルも高含有しています。味にもくせがなく、加熱しても問題ありません。人気が出るのもうなずけます。
しかし今回のニュースでは、米国で販売されているアボカドオイルに大量の偽装が発覚したとのこと。人気が出ると悪質な業者が出てくるのは世の常なのでしょうが、健康被害が心配です。
アボカドオイルは今後、オリーブオイルと同等の地位を獲得していくのでしょうか。
(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、GNC、チャプター11を申請、ビタミンK欠乏とCOVID-19重症化との関連性、など14の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
■GNGグローバルニュース 2020年7月10日号 トピックス
●食物アレルギーの消費者は未開拓の大きな市場機会:FARE
●GNC、チャプター11を申請
●2018年の米国の砂糖入り飲料広告費、2013年から26%増の10億ドル越え
●フィンランド市場のオメガ3製品に関する調査
●米国で販売されているアボカドオイルの82%が低品質または偽装品であることが判明
●高炭水化物を摂取するなら夕食より朝食で
●COVID-19感染と微量栄養素欠乏との関連性:研究レビュー
●ビタミンD補給が血圧変動を軽減する可能性
●特異的遺伝子変異が腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性
●ビタミンK欠乏とCOVID-19重症化との関連性
●Netsle UK、キットカットの原材料をフェアトレードからレインフォレスト認証へ移行
●中国がプロバイオティクス3種と植物原料を新食品原料として承認
●EFSA、セレン供給源としての亜セレン酸トリグリセリドのサプリメント使用を許可せず
●EUとベトナムの自由貿易協定(EVFTA)、7月発効の見込み
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
[今号のハイライト]
GNC、チャプター11を申請
[2020/6/24] [Pittsburgh Post-Gazette.com]
6月24日、米国ピッツバーグに本拠を置くサプリメント販売の大手企業GNC社は、10億ドル近くある債務の再編のため、チャプター11(米連邦破産法第11条)を申請した。
同社は以前から売上の減少に直面していたが、COVID-19パンデミックによる小売店舗休業命令により大きな痛手を受けた(5月12日号GNGグローバルニュース参照)。
同社の営業は継続するが、秋までの売却完了を期待しており、最大1,200店舗の閉鎖を予定している(Harbin社は今年の年末までに米国およびカナダで最大1,374店舗を閉鎖する予定であると述べている)。
米国および海外のフランチャイズパートナーと、アイルランドでのすべての企業運営は別個の法人であり、チャプター11には含まれていない。6月26日発行のFranchise Times誌によると、同社は米国で約1,000のフランチャイズ、米国以外では2019年の時点で1,949のフランチャイズを保有している。
GNC社には現在10万人以上の債権者がおり、最大の無担保債権者はピッツバーグのThe Bank of New York Mellon Trustで1億57.9百万ドルであるという。
GNC社は、パートナーであるHarbin Pharmaceutical Group Holding(以下Harbin社)に7億60百万ドルで売却することに合意し、26日に予備引受、随意契約を締結、競争入札を一緒に行う「ストーカーホース」方式での入札が行われた。
両社は2018年2月に戦略的パートナーシップを発表し、中国の製薬会社であるHarbin社は、財政的に問題のあったGNC 社へ3億ドルを投資、その最大株主となった。その結果、GNC社の理事会メンバーは11人に拡大され、GNC社とHarbin社からそれぞれ5人と、GNC社のCEOであるKen Martindale氏が加わった。
3月31日の時点で、GNC社には約7,300店舗(米国では5,200店舗)がある。2019年末の時点では、フルタイムの4,400人とパートタイムの8,000人を含む、合計12,400人の従業員を抱えていた。
関連ニュース:newhope.com
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2020年7月10日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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