超高齢化社会を迎える日本
先月21日、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書が公表されました。
2020年版の特徴は、健康の保持・増進、生活習慣病の発症予防及び重症化予防に加え、 高齢者の低栄養予防やフレイル予防も視野に入れて策定されたことです。
フレイルとは?
フレイルとは、英語の「Frailty(フレイルティ)」からくる言葉で、加齢とともに心身の活力が低下した状態のことです。健康な状態と日常生活で支援が必要な介護状態の中間に位置し、家族や医療関係者などが早めに気づいて適切な対策をとることで、元の健康な状態に戻る可能性があるとされています。
世界に先駆けて、これまで誰も経験したことのない超高齢社会を迎える日本は、まさに課題解決先進国です。フレイルを経て要介護になる人をいかに減らしていくか、私たち機能性食品に関わるものの役割は大きいと自負しています。
軽度認知障害(MCI)に有効な機能性表示食品の開発に期待
そして、要介護になる最大の要因は認知症です。
この認知症も発症したら、進行を遅らせるしか対処法はありません。
アルツハイマー症に有効な医薬品の開発は難航しています。
軽度認知障害(MCI)を早期発見して適切に対応することが、 一番現実的な対処法だと思います。
消費者庁はMCIを病者とは位置付けていません。
今後、MCIに有効な機能性表示食品が開発されることが期待されます。
そんな中、キリンHDさんとファンケルさんの共同プロジェクトのニュースが飛び込んできました。 このような動きが活発になることに期待したいと思います。
グローバルニュートリション研究会主宰 武田 猛
MCIとは?
本人や家族から認知機能の低下の訴えはあるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態のことを、MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)と言う。
MCIは認知症ではないが、認知機能の低下が起きており、放置すると症状が進み認知症へと移行してしまう可能性が高い状況である。
この記事について
GNGでは、会員向けに過去2週間に発売された新製品情報やマーケット情報を纏めGNG独自の分析・洞察をし、月に2回、「GNGニューズレター」として配信しています。
本日配信したGNGニューズレターでは、高齢者の低栄養予防やフレイル予防ついて取り上げています。
国内ニュースからは、キリンHDとファンケル、「脳機能」をターゲットとした共同研究プロジェクトを開始、納豆・みその摂取量が多い女性で死亡リスクが低下といった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
GNGニューズレター(国内情報) 2020年2月17日 トピックス
●アサヒグループ食品、サプリメント「ディアナチュラスタイル ALL for WOMEN/MEN」を発売
●矢野経済研究所、健康食品市場に関する調査結果を発表
●日本分析センター、サプリのドーピング禁止物質分析サービスを開始
●昨年12月の家計調査、1世帯当たりのサプリメント支出額 前年比1.4%減に
●キリンHDとファンケル、「脳機能」をターゲットとした共同研究プロジェクトを開始
●東洋新薬、大麦若葉末による肌の保湿や、しわ・たるみ・くすみの改善に関する特許を取得
●納豆・みその摂取量が多い女性で死亡リスクが低下
●ユーグレナ、クロレラ細胞壁由来成分が免疫を介して、結腸がんを抑制することを示唆する研究結果を確認
●88商品で「ダイエット」「免疫力」などの違法表示~消費者庁
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[今号のハイライト]
キリンHDとファンケル、「脳機能」をターゲットとした共同研究プロジェクトを開始
[2020/1/30][原文: Kirin Holdings.com]
キリンホールディングス株式会社は、2019年に資本業務提携をした株式会社ファンケルと、脳機能をターゲットとした共同研究プロジェクトを 2020年1月から開始した。
認知症については、現在のところ根本的な治療法は確立されていないが、発症する 20年以上前から「βアミロイド」や「リン酸化タウタンパク質」などの異常なタンパク質が脳の中に蓄積されることで脳が病変し、認知症を引き起こすことがわかっている。
そのため、認知症は早期発見、早期予防が有効であると言われている。
このような 認識の元、以前から両社はそれぞれ脳機能研究の分野において、機能性素材のメカニズムから 臨床試験に至る「認知症予防」に向けた研究を進めてきた。
その結果、認知機能 の維持に役立つ、 毎日安心して摂取できる食品由来成分の研究を進め、「フェルラ酸」、「熟成ホップ由来苦味酸」、「βラクトリン」などの有望な機能性素材を発見した。
これらを応用して共同研究することで、従来にない効果を持つ認知機能の維持に向けた製品やサービス の 開発が期待できる。共同研究のスタートとして、 2020年内に両社の素材と技術を活用し、認知症予防に向けた臨床試験を開始する。
その結果を生かして、 3年以内に認知症予防機能を持 つ 新たな製品やサービスを開発することを目指す。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2020年2月17日号」より抜粋)
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