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進む食のパーソナライゼーション
今号のグローバルニュースでも、パーソナライズド・ニュートリションについての記事を取り上げました。
New Nutrition Business誌が毎年公表する
“10 Key Trends in Food, Health and Nutrition”では、2017年から「パーソナライゼーション」が
10 Key Trendsの1つに取り上げられ、その後、「パーソナライゼーション&細分化」になり、
2020年からは「細分化」は、10 Key Trendsを包括する4つのMega Trendsの1つとなりました。
技術の進歩により、消費者は、簡単に食や健康に関する情報を
入手することが出来るようになり、食のパーソナライゼーションが進んでいます。
パーソナライゼーションが進むと市場の細分化が進み、
これまでと同じ方法でマスブランドを作ることが難しくなっていることを意味しています。
パーソナライズド・ニュートリションは、検査と食事やサプリメントを組み合わせたビジネスモデルが多いようです。
個人の健康・栄養状態を把握し、最適な栄養成分を補給することは合理的であると思います。
パーソナライゼーションにおける3つの課題
- 科学的エビデンスが不足していること
- 小ロット生産となるため、高価格帯になること
- 遺伝子情報など個人情報の扱い
そして、日本でこのビジネスを行う場合は、多くの関連法規をクリアしたビジネスモデルの開発が必要となります。
P.ドラッカーは「イノベーションのための7つの機会」として、次の7つを挙げています。
1.予期せぬ成功と失敗を利用する
2.ギャップ を探す
3.ニーズを見つける
4.産業構造の変化を知る
5.人口構造の変化に着目する
6.認識の変化をとらえる
7.新しい知識を活用する
パーソナライズド・ニュートリションにおいても、必ずブレイクスルーが起こると思います。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
■GNGグローバルニュース 2020年2月12日号 トピックス
●低糖・無糖を求める消費者に食品・飲料産業はどう対応するか
●米国消費者の多くはCBD商品に関心が無い – CivicScience社調査
●パーソナライズド・ニュートリションはプラントベース肉に匹敵、UBS
●ヘルシー、サステナブル、パーソナライズドニュートリションがカギ – EY社の分析
●デンマークの大学が植物由来乳酸菌を用いたビーガンヨーグルトを開発
●マイクロバイオームが疾患発症リスクと寿命を予測する可能性
●Zand社、免疫促進に特化したサプリメント「Immune Fast」の販売を開始
●救急医が設立したDare社、独自の高栄養プラントベースプロテインパウダーを販売
●食品・飲料産業、2019年はM&Aの当たり年、原料部門が最多の65件
●Evonik社、フィトケミカルサプライヤーのWilshire Technologies Inc社を買収
●英国の食品産業、EU離脱後の食品基準に不安を示す
●EFSA、ヘンプ成分THCのヒトに対する急性暴露を評価
●EU離脱後の英国新規食品認可プロセスの行方を不安視する声
[今号のハイライト]
ヘルシー、サステナブル、パーソナライズドニュートリションがカギ -EY社の分析
[2020/1/24] [foodnavigator .com]
これからの食品産業に 必要なものは何か。
監査、税務などのアドバイザリーとして世界規模の業務を提供する、 Ernst & Young 社のアドバイザリーリーダー、
Rob Holston 氏に話を聞いた。
現在の消費者トレンドのキーワードは、「健康」と「サステナビリティ」だという。例えば、英国では健康、ウエルネス市場が急激に拡大しており、市場調査会社 Statista 社によると、同部門の小売バリューは、 2015年の205億ユーロから2018年の230億ユーロへと成長を遂げた。
また、Ethical Consumer 市場リ ポート( 2018年)では、消費者の倫理的配慮が購買決定の核となっていることを示した。 1999年以来、消費者の態度を追跡してきたリポートでは、環境的にサステナブルな方法で生産された食品かどうかが重要で、倫理的に生産された食品・飲料商品の売上は 16.3 %増を示している 2017 年)。
つまり、今後業界で生き残るには、「健康」と「サステナブル」を無視できないということである。「人にとっても地球にとっても健康」という考えは、「食品原料の生産地明示」と「反プラスチック包装」の動きに現れている。この二つが、商品生産の上で最優先されるべき課題になるだろう。
Nestle社は、食品包装用のバージン(未使用)プラスチックから再生プラスチックへの移行を決定し、その技術革新に最大20億スイスフランを投入する。
Coca Cola European Partnersは西欧を中心に、 2025 年までにペッボトルに使用するプラスチックの50%を再生プラスチックにする。
PepsiCo 社も同じく2030年までにEU内で再生プラスチック使用を 50 %に増やす目標を示した。
「健康」の点では、「砂糖との戦い」は続き、消費者は依然として糖分摂取を減らす方法、または代替となる糖分を求めている 。例えば、チョコレートの甘味を強くするため、これまで廃棄物として扱われてきたカカオの果肉を使用する方法などが推進されている。
また、パーソナライズドニュートリションも可能性を秘める新しい分野として注目されている。消費者一人ひとりにとっての「ヘルシー」は一様ではないという考えで、個人のDNAに基づいて食生活や商品を勧めるビジネスである。
こうした先進技術の発展は、他にも機能性食品の開発を推し進め、そうした食品によって、消費者は骨、関節、脳の健康維持を行っていくだろう。実際、消費 者の求めるものをいち早くつかみ、それ を新しい技術開発に応用できる新興企業やスタートアップ企業に勢いがある 。
その点、ビッグブランドはコスト調整などの問題により、消費者の需要に素早く応えていけるフットワークの軽さは無い。それが徐々に、ビッグブランドへのプレッシャーとなる。さらに今後は、技術革新もさることながら、意思決定を迅速にするためにもビッグデータの活用が重要だという。
AI 、データ分析、 IoT 、マシンラーニングなどのネットワークを構築し、必要であれば外部の専門機関と手を結び、イノベーションを推し進 めていく必要がある。また、「トレーサビリティ」と 「トランスペアレンシー (透明化 )」を求める消費者に対応するブロックチェーンの活用も勧められる。
信頼できる情報が消費者の購買決定に繋がっていく。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2020年2月12日号」より抜粋)
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