CBDの減速:2020年、業界に悪影響を及ぼしたものとは、ほか|GNGグローバルニュース2021年8月27日号

こんにちは、GNGの和泉です。
8月27日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号ではCBD関連のニュースを5本取り上げています。
前号でも申し上げましたが、米国ではCBDに関する動きが活発になってきており、今回掲載しきれなかったニュースもあります。
そちらは次号にてご紹介しますので楽しみにお待ちください。

CBDの健康効果としてすぐに思いつくものと言えば、心身のリラックス不安感ストレス不眠(睡眠障害)の緩和、慢性痛の解消などでしょうか。

皆様もご存知の通り、世界最大のCBD市場である米国では、COVID-19パンデミックから復興しつつあり、経済活動の再開が進んでいるため、景気回復ペースが加速しています。しかしそんな中で、新たなデルタ株により再び感染者数が増加し、州によって病床は常に満床です。
つい先日放送された米国の公共放送ネットワークPBSの特集では、米国は慢性的な看護師不足に陥っており、さらに100万人の看護師が必要とされているとのことでした。その中で、非営利団体であるカイザーファミリー財団の調査によると、最前線にいる医療従事者のうち約60%が、パンデミックに関連するストレスが、彼らのメンタルヘルスに悪影響を与えていると回答した、と伝えています。
さらにフロリダ病院協会(Florida Hospital Association)は、フロリダの病院では現在8,000人以上の看護師が不足しており、昨年は4人に1人のナースが退職し、救命救急病棟では3人に1人の看護師が移動、もしくは退職したと報告しています。

6月に開催したバーチャルEXPO報告会でもご紹介していますが、ニューヨークタイムズ紙は、2021年は『幸福感の欠如、停滞と空虚に満ちた感情』に支配される可能性があるとし、睡眠、ストレス、ムード、ウエイトマネジメント市場が急上昇すると予測しました。
米国の景気回復ペースが加速していることで、ポジティブな面ばかり見てしまいがちですが、多くの国民のメンタルは疲弊しており、見えないところで不安感やストレス、不眠などの問題がじわじわと広がっているのではないかと危惧しています。
そのためにも、CBDに関する規制の動向が非常に気になるところです。

(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

本日配信したグローバルニュースでは、 CBDの減速:2020年、業界に悪影響を及ぼしたものとは、 オレンジの皮由来CBDの台頭 、 業界から期待される米議会から提出されたCBD合法化法案の成立 、 ポテトミルクはサステナブルな植物性ミルクになる可能性 、など13の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2021年8月27日号 トピックス

●CBDの減速:2020年、業界に悪影響を及ぼしたものとは
●オレンジの皮由来CBDの台頭
●消費者が最も気にするのは栄養成分よりも品質保存期限:中国の乳製品ラベル調査
●ポテトミルクはサステナブルな植物性ミルクになる可能性
●動物性たんぱく質と同等の質の植物性たんぱく質を開発:カナダ研究
●「ポストバイオティクス」のGoogle検索数が過去2年間で約1,300%増加:Lumina社調査
●FMT(腸内細菌叢移植)が脳の老化と認知機能低下に関与する可能性
●超加工食品が腸内細菌叢へ与える影響は男女で違いが出る:スペインの研究
●キノコ由来代替肉を製造するスタートアップFable Food社はシードラウンドで650万ドルを調達
●オーストリア企業のLongevity Labs、スペルミジンサプリメントを米国で初の小売店発売
●業界から期待される米議会から提出されたCBD合法化法案の成立
●シンガポールにおけるCBD規制の状況
●FDA、ヘンプ由来CBDのNDI申請2件を否認

[今号のハイライト]
CBDの減速:2020年、業界に悪影響を及ぼしたものとは

[2021/7/16] [naturalproductsinsider.com]

2019年末までに、CBDは米国の消費者市場へ印象的な参入を果たした。Euromonitor Internationalによると、CBD市場はわずか1年で40億USドル強を達成している。

しかし2020年後半になると、同業界の初期の勢いは停滞した。前年比売上成長率は約20%と成長はしているものの、業界の期待をはるかに下回っている。
この減速は、CBD製品の飽和と規制の不確実性の結果として生じたものである。
2018年に改訂された米国農業法案により、CBD製品の発売は急速に加速した。消費者はバーム(軟膏)、飲料、サプリメント、食品などさまざまな種類のCBD製品を購入できるようになり、ドラッグストアだけでなく、スーパーマーケット、オンラインショップでも販売されるようになった。
2019年末までに米国のCBDユーザーは一気に増加し1,300万人以上となった。しかし翌年2020年末までのCBDユーザー増加率は前年比13%で、1,480万人にとどまっている。

2020年、CBDメーカーは新規顧客を長期のリピーターへと定着させることに苦労している。これは、効果および用途について不正確、または誤解を招くメッセージを使用するCBD製品が市場にあふれたことが原因となった可能性がある。
CBDの有効性について消費者の疑念を引き起こす問題のひとつは、製品に表示された効果を得るには、習慣的な摂取を前提としていることに消費者が気づいていないということだ。

さらに品質の問題もある。2019年後半から、法で定められたTHC含有量(0.3%未満)以上のTHCを含むCBD製品の増加がメディアで報じられた。これがTHCを避けたい消費者からの購入を思いとどまらせた可能性がある。
オンラインで販売されているCBD製品の70%近くが、製品に表示されているCBD含有量と実際の含有量が違っていたと報告する研究もある(JAMA.2017; 318 [17]:1708-1709)。

そして規制の明確さの欠如も原因の一端を担っている可能性がある。
2018年に改訂された農場法案は産業用ヘンプを合法化したが、消費者製品におけるCBDが合法化されたわけではなく、FDAは依然として食品や飲料に含まれるCBDを違法とみなしている。また、当局が州をまたぐCBD製品の移動を禁止したことから、CBD食品および飲料セクターから大手企業が撤退している。
小売業者はCBD食品および飲料の販売に関心を示しているが、現在のところ、多くの企業がFDAにより規制が明確になるのを待っている状態だ。

CBD製品が炎症や不眠症などの状態を治癒または治療できることを直接暗示する表現は禁止されており、メーカーはメッセージの作成に注意を払ってきた。
「痛みの軽減」という用語は現在CBD製品の利点として使用できないため、痛みの軽減に役立つ可能性のある製品を探すCBDに関する知識のない消費者は、製品の選択に苦労している。多くの米国人が、自分達のニーズに合わないCBD製品を選択している可能性がある。

CBD市場の成長が完全に行き詰まることはないが、停滞する可能性は高い。FDAが効果的な規制ガイドラインを実施することで、CBDメーカーは自社製品の効果について証拠に基づいた主張を行うことができるようになり、さらにCBD製品の安全な処方と製造方法を定義することも可能となる。それと同時に、悪意のある製造業者が低品質の製品を市場にリリースすることを思いとどまらせることも可能となるのだ。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年8月27日号」より抜粋)

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