こんにちは、GNG武田です。
NNB3月号日本語要約版をお送りします。
NNB10キートレンド2022年版に「Key Trend 9:脚光を浴びる栄養素密度」が入った影響か、最近、栄養プロファイリングシステム(Nutrient Profiling System)に関するご質問が増えています。
先月、GNGニューズレターでご紹介したFSANZのHealth Star Rating Systemや、今号のNNBマンスリーで取り上げられている欧州のNutri-Scoreシステムなどが有名ですね。
日本はどうなのか、というと、残念ながら現在、国などが推進しているプログラムはありません。
しかし、実は、2015年に、とても素晴らしいプログラムが始まる予定でしたが、残念ながら見送られてしまった経緯があります。
2014 年、機能性表示食品制度の議論が進むのと同時期に「健康な食事」制度の議論が進んでいました(日本人の長寿を支える「健康な食事」に関する検討 会)。個人的に素晴らしい 制度だと思い、施行を楽しみにしていた一人でしたが、 2015 年 3 月に自民党から待ったがかかり、 4 月 1 日からのスタートが見送られました。
概要は、以下の通りです。
●「健康な食事」の基準を国が策定し、基準を満たしているかを企業が自ら判断し、マークを表示して販売できる。
コンビニエンスストアやスーパー等で販売される惣菜・弁当、外食メニューなどが対象。
●料理Ⅰ:主に炭水化物と食物繊維の摂取を期待する「主食」
●料理Ⅱ:主にたんぱく質と脂質の適切な摂取(量と質)を期待する「主菜」
●料理Ⅲ:主に食物繊維、ビタミンやカリウムなどのミネラルの適切な摂取を期待する「副菜」
素晴らしいのは、単一の食品ではなく、「主食」「主菜」「副菜」という食事パターンで考えられているという点です。
そして、「主食」で炭水化物、「主菜」でたんぱく質、「副菜」で野菜の量の基準を設け、基準を達成しているかどうかが、マークの色で分かりやすく示され、消費者の商品選択にとても有効だと思いました。
この制度は、「健康な食事・食環境」 コンソーシアムに引き継がれ、現在は「スマートミール制度」として運用されています。
ただし、あまり普及していないようです。
制度運営には費用が掛かります。
国が予算を出してくれなければ、民間でまかなうしかありません。
制度の定着には、まだまだ課題はありそうです。
今月号は、
●プラントベース肉代替品市場
●良い炭水化物
●サスティナビリティ
●来歴
●Nutri-Score
がフォーカスされています。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
■NNB(New Nutrition Business)3月号 トピックス
今回、会員向けにお届けしたNNB日本語要約版のタイトルは以下の通りです:
●Beyond Meat: 見込みがない?
●プラントベース肉の売上は失速、そして減少
●肉のスナック化現象に気付く
●サステナビリティは最も高リスクなベネフィット
●盛んに自身の信頼性を損なわせる欧州の公衆衛生専門家
●将来の消費者をターゲットにするプラントミルクの新規ビジネス
●オーガニックシリアルのパイオニアが「より良い炭水化物」の道を進む
●より良い血糖値をターゲットにしたマメ科植物由来のパンケーキミックス
●本物にこだわり続ける:アイルランド乳製品の天然性を売り込むプロテインバー
●超加工食品の研究が国民性のアイデンティティ・クライシスの引き金となる
●Nutri-Scoreをマーケティングの中心に据える欧州の小売店
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[今号のハイライト]
プラントベース肉の売上は失速、そして減少
プラントベース肉代替品に対する消費者の需要はピークに達したのだろうか? IRI社のスーパーマーケット売上データによると、昨年8月以降、米国の代替肉分野は、予測成長率ならびに動物由来肉との比較において、低い売上高にとどまっている。2022年2月に、1週だけ代替肉の売上が増加した週があるが、これは強力な価格プロモーションによるものであった。
(会員向けニューズレター「NNBマンスリーレポート2022年3月号」日本語要約版より抜粋)
【NNB(New Nutrition Business)】とは
「NNB(New Nutrition Business)」とは、食品・栄養・健康の分野で読者の75%が企業の経営トップである、英国発信の業界専門誌です。
ブランド戦略、マーケット分析、法規制、新技術に関する世界の動向を、日本語の要約付きでお届けしています(月1回、11月&12月は「10キートレンド」として合併号を発行)。
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