本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、昨今の国内の機能性表示食品市場、ヘルスベネフィットについて解説しています。
国内ニュースからは、サントリーW、「ロコモア」刷新 機能性関与成分ケルセチンを2.2倍増量、抹茶の摂取が高齢者の睡眠の質を改善する可能性、新たな植物性発酵食品「醸豆」を展開する食品スタートアップ企業が資金調達を実施、輸入原材料GMP認証、審査体制固まるなどといった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
機能性表示食品の届出撤回が止まりません。
10月9日現在、撤回件数は、2,127件となっており、届出件数8,897件の内24.0%に相当し、届出商品の内1/4が撤回されたことになります。
届出の理由の多くが「販売見込みがないため」「販売予定がなくなったため」「終売のため」と、販売に関することに起因しているようです。
(件数はGNGの集計による)。
機能性表示をすることで直接商品のベネフィットを訴求することが出来る様にはなりましたが、期待したような業績が得られていない事例も増えてきているようです。
機能性表示食品の市場規模を正確に算出することは難しいのですが、可能な限り情報を集め、GNGのこれまでの知見を反映させて、機能性表示食品のヘルスベネフィット別市場規模を推計してみました。
今号では、この分析結果の一部をご紹介します。
但し、機能性表示食品の市場規模には注意が必要です。
それは、それまで「いわゆる健康食品」で販売されていて一定の売上のある商品でも、機能性表示食品として届出されれば、最初から一定の売上が計上されることです。
いわゆる健康食品から機能性表示食品へのリニューアルの場合、ゼロから作られた売上ではないということです。
例えば、「健胃サポート」領域の市場が対前年700%として計上されますが、これは明治さんの「LG21」が過去に築き上げた市場を最初から受け継いでいるということで、機能性表示の力だけとは言えません。
このような例が少なくありませんので、歴史をしっかり確認することも重要です。
なお、2023年までの推計値となりますので、「紅麹」事故の影響は反映されていません。
当たり前のことですが、成功事例がある一方で、上手くいっていない事例も少なくありません。
一言で「機能性表示食品市場は・・・」と断言することは出来ませんが、2024年は踊り場を迎えているのではないか、という思いが強くなっています。
これまで以上に、機能性表示食品の開発には戦略が求められるようになっていると思います。
機能性表示さえすれば売れる、という「ヘルスクレームの幻想」は、ますます現実のものとなってきたと思います。
武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2024年10月16日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
NEW PRODUCTS 新商品
●「2foods」と「カゴメ」の共同開発商品第5弾 プラントベースチーズ「Ever Cheese」発売
●サントリーW、「ロコモア」刷新 機能性関与成分ケルセチンを2.2倍増量
●ナッツ専門店 小島屋 が 一人ひとりを本気で考えた 「ナッツからだ」シリーズを販売
MARKET NEWS マーケット
●子どもを持つ人の半数近くが「和食を出すと残しがち」と感じている
●日本の研究者 栄養プロファイリング・モデルを開発
●痩せやすい体作りの方法を200名に調査
●健康維持の取り組み・毎月使用する金額について521名を対象にアンケート調査
●2024 年 8月のドラッグストア販売額、「健康食品」は前年同月比0.0%横ばい
SCIENCE NEWS サイエンス
●「にんにくが炎症を抑える!?」 健康家族、研究結果を国際的なシンポジウムで発表
●「いわゆる『健康食品』」 栄養素摂取量への寄与度
●独自コラーゲンが、成長ホルモンとの組み合わせによりコラーゲン産生を促進
●抹茶の摂取が高齢者の睡眠の質を改善する可能性
COMPANY NEWS 企業情報
●新たな植物性発酵食品「醸豆」を展開する食品スタートアップ企業が資金調達を実施
●“フルーツでスマイルを。”のDole 「もったいないフルーツアクション」始動!
REGULATORY NEWS 法規制
●輸入原材料GMP認証、審査体制固まる
●12月に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行
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[今号のハイライト]
輸入原材料GMP認証、審査体制固まる
健康食品GMP第三者認証機関の一般社団法人日本健康食品規格協会(以下JIHFS)が今夏から新たに始めた「輸入原材料GMP認証」。現在、複数の健康食品原材料輸入事業者が認証取得申請に向けた書類作成を進めている。早ければ、最初の認証取得輸入原材料が年内にも出てきそうだ。
認証審査の体制は固まった。審査員の長には、袴塚高志・日本薬科大学薬学部教授が就いた。袴塚氏は、国立医薬品食品衛生研究所生薬部長などを歴任。他の審査員には、元国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三氏、元日本漢方生薬製剤協会国際委員会長の諸田隆氏(元ツムラCMC開発研究所長)が正式に就任した。
天然物の安全性・有効性や品質保証などのエキスパートである袴塚氏と諸田氏、健康食品の安全性から機能性まで造詣が深い梅垣氏の3人が審査に当たる。他に、JIHFSの内部監査員や内部審査員を加えた総勢6~7人の体制で審査会を構成する。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2024年10月16日号」より抜粋)
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