本日配信の2023年新年特別号では、毎年恒例、前年の健康食品業界の10大トピックスをセレクトしてご紹介しています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
新年あけましておめでとうございます。GNG武田です。
GNGニューズレターでも度々取り上げてきました『未来の年表』の著者である河合雅司氏が、
昨年末に新著『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本でおきること』を上梓されました。
早速読んでみました。
本書では、人口減少日本で各業種・職種や公共サービスに何が起こるのか、について詳細に述べられていました。
繰り返し述べられているのは、「実人数が減り消費量が落ち込む「ダブルの縮小」」という言葉でした。
ドラッカーも『創造する経営』の中で「人口の変化は、労働力、市場、社会、経済にとって最も基本となる動きである。
すでに起こった人口の変化は逆転しない。しかも、その変化は早くその影響を現す」と述べており、人口の動向が数年後、数十年後の市場に大きな影響を及ぼすことを指摘しています。
COVID-19パンデミックによる移動の制限も少なくなったこともあり、各企業の海外進出への意欲が高まっているようです。
弊社へのご相談も一気に増加し、昨年は1昨年の4.5倍の海外調査案件を頂きました。
この傾向は今年も続くと思われます。
ウェルネスフードの場合は、サイエンスとレギュレーションとマーケティングの3つの観点から海外進出の検討、準備が必要になります。
そのような方のお役に立てる企画が始まります。
㈱アイメックRDさん、CPCC㈱さんとの業務提携の一環として「健康食品事業の海外展開に向けて」というシリーズセミナーを開催します。
【1月※オンライン・1月25日(水)16時~】
・初めての海外展開(サプリメント・食品編)
・機能性評価の重要性(臨床+エビデンス)
【2月※オンライン・2月22日(水)16時~】
・ヘルスクレームの国際比較
・研究倫理の重要性
【3月※オンライン・3月22日(水)16時~】
・US①
・試験デザインの在り方
【4月※オンライン・4月19日(水)16時~】
・US②
・論文の読み方
【5月※オンライン・5月24日(水)16時~】
・EU①
・統計解析①)
【6月※オンライン・6月21日(水)16時~】
・EU②
・統計解析②
【7月※オンライン・7月19日(水)16時~】
・台湾
・事後チェック指針
そして8月には、ウェルネスライフジャパン、国際発酵・醸造食品産業展においてリアルでシンポジウムを開催する予定です(テーマは「腸脳相関と免疫」の予定です)。
詳細はこちら
9月以降も継続し、主にアジア諸国を中心にワンポイント解説をします。
「ダブルの縮小」をする国内市場を本格的に迎える前に、海外展開の準備を検討されている方には、
きっとお役に立つと思います。
本号では、海外展開について整理してみました。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2023年1月5日 新年特別号 トピックス
<国内ニュース(要約)>
Ⅰ GNGが選ぶ2022年の健康食品業界注目の10大トピックス
●腸脳相関
●メンタルヘルス(ストレス・睡眠)
●認知機能
●パーソナライゼーション
●代替プロテイン
●発酵
●免疫
●機能性表示食品
●大型買収の増加(業務提携、協業含む)
●日本の大手企業、海外展開活発化に
Ⅱ マーケット・業界動向
Ⅲ 行政動向
Ⅳ 企業動向
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
[今号のハイライト]
腸脳相関
[2023/01/05]
腸脳相関への注目が高まっている。「腸活」という言葉もしっかり定着した。免疫から、認知機能、睡眠、炎症、体力回復、寿命まで、体や心の健康はすべて腸に通ずる、と言われ、プロバイオティクス、プレバイオティクスなどの研究も盛んである。さらに新しい分野として、プロバイオティクス、プレバイオティクスの代謝産物を研究するポストバイオティクスというものも消費者の関心を引くようになった。人の体の微生物への関心は、当分続くものとみられる。
株式会社 CCA は、医師を対象として「睡眠と脳腸相関」に関する調査を実施し、その結果概要を 2022年 9 月 1 日に発表した。調査では、腸内環境を整えることで睡眠の質が変化するかどうかも訊ねられた。結果は、医師の 28.7%が「とても変化する」、57.5%が「やや変化する」と回答している。
アトラス日本合同会社は 2022 年 7 月 15 日、「サイコバイオティクス:腸内細菌が原因となる不安やうつ病からの回復を支援する有用菌」と題する考察レポートの抄訳を発表した。
同社の親会社である Atlas Biomed 社は、世界で唯一、遺伝子と腸内フローラの検査結果を統合したレポートを提供しているパーソナライズドヘルスソリューション企業である。Atlas Biomed 社で人と微生物の関係を研究しているロス・カーヴァー・カーター氏が 6 月 10 日に執筆したレポートが「サイコバイオティクス:腸内細菌が原因となる不安やうつ病からの回復を支援する有用菌」である。
人体内の腸内細菌は、免疫機能の支援や神経系とのコミュニケーションなどを通じて、健康と深い関係を持つ。カーター氏はこの関係に着目し、腸内細菌が精神的な健康を向上させる可能性を検証した。
同レポート内で注目されているのは、腸内フローラと気分との相互作用を通じて精神的健康に寄与する細菌培養物、「サイコバイオティクス」だ。最近実施された 15 の試験を分析した結果、サイコバイオティクスは臨床的うつ病患者に対して有意な抗うつ剤様効果を発揮することが明らかとなった。しかし研究は未だ初期段階であり、固有の腸内フローラを持つ個人に対応した治療への活用には多くの時間と費用が必要だと考えられる。
海外ではまず、神経変性疾患における腸と脳の関連性に関する研究が行われた。プロバイオティクスとプレバイオティクスが、神経保護作用の働きを持つという研究である。研究者らは、「様々な要因が絡む神経変性疾患を解明するには、腸内細菌の役割の理解を深めることが 重要で、新しい治療方法を発見する上でも必須である」と、結論付けた。
また、Seed Health 社と Axial Therapeutics 社は、不安、うつ、メンタルヘルスのサポートを目的とし、腸内細菌叢を調整するための次世代プロバイオティクスおよび治療薬開発プログラムを開始すると発表した。「プログラムの初期段階は研究と開発に重点を置き、コンシューマーヘルスと治療への応用を並行して探究していく。得られたデータを将来的に新薬の治験に役立てたい。研究で使用する種や菌株は、現在すでに脳腸相関で関連付けされ市販されているもの以外で実施していく」としている。
そして、腸内細菌が痛みの耐性と感覚に影響を与えることを示唆した研究が、アイルランドの研究者によって発表された。
APC マイクロバイオーム・アイルランド科学財団 (SFI)研究センターの研究によると、女性では、プレボテラ属とメガスフェラ属のレベルと痛みの感覚とで正の相関が示された。
研究チームは、健康で肥満でない男性 15 名と女性 16 名(うち 9 名はホルモン避妊薬を使用中)を被験者として選択し、男性被験者には 1 回、女性被験者には月経周期をまたいで 3 回検査を受けた。検査では右足首に電気刺激を与え、午前中に唾液中のコルチゾール濃度を測定、血漿中のリポ多糖結合タンパク質(LBP)、可溶性 CD14(sCD14)および炎症性サイトカインレベル、さらに、糞便サンプル中の微生物組成と短鎖脂肪酸(SCFAs)レベルを測定した。その結果、ホルモン避妊薬は女性における腸内細菌 Erysipelatoclostridium の相対的存在量の増加と関連しており、また、Anaerofustis のレベルは、コルチゾールの覚醒反応と正の相関があった。そして、女性は男性に比べコルチゾール反応、痛覚感受性、短鎖脂肪酸の間に強い関連性を示した。
腸に関しては、国内外で非常に多くの研究が行われた。プロバイオティクス・プレバイオティクス、腸脳相関を含め様々な研究が今後も行われることが予測される。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2023年1月5日号」より抜粋)
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