加速する「パーソナライゼーション」トレンド、ほか|GNGニューズレター12月2日号

2020年から「Fragmentation (細分化)」としてメガトレンドに!

先月、17日から24日の1週間、ニュージーランドに行ってきました。

ちょうど3年前、NZ政府の要請で訪問しましたが、
その時は、5日間に4つの都市で講演、相談会を開催したこともあり、ほとんど店舗を見る機会がありませんでした。

今回は、可能な限り店舗を視察してきました。

New Worldという、NZ版Whole Foods Marketのお店はワクワクする品揃えでした。

NZもプラントベースプロテインなど、グローバルトレンドの影響を強く受けていました。
グラス・フェッドケージ・フリーは当たり前で、この分野は米国より進んでいると思いました。

日米以外の市場で10キートレンドの影響を観察するのもなかなか面白かったです。

2019年まで、10キートレンドの1つであった
「Fragmentation & Personalisation(細分化&パーソナライゼーション)」ですが、 2020年から「Fragmentation 」としてメガトレンドとなりました。

各地で、パーソナライズドニュートリションがビジネスとして始まっています。

本号では、各地におけるパーソナライズドニュートリションの事例を紹介すると共に、日本における留意点を整理してみました。

このパーソナライゼーションというトレンドは、ますます加速しています。

New Nutrition Businessの Julian Mellentin氏は
「 技術の進歩により“みんなに合う”食事や健康 法は徐々に消えている 」
と述べています。

DSM社は、 「パーソナライズドニュートリション」とは 、
遺伝子型、血液測定、個人および /または家族の健康履歴などの情報を含む、個人の独自のステータスに基づいて、
個人のニーズに合わせてカスタマイズされた食事とサプリメントを提供すること
と定義しています。

栄養失調のリスクが高い患者を、
患者個人の状態に合わせてカロリーやタンパク質摂取量を設定した
パーソナライズドニュートリション群対照群(病院食群)に分け、治療結果と死亡率を比較したところ、
パーソナライズドニュートリション群が 治療結果の改善が確認され、
死亡率も低いことがわかりました。

患者の症状に合わせた個別の食事が有益であるかどうかは、
これまで明確なエビデンスが得られていなかったが、本研究で
パーソナライズニュートリション病院食に比べ、生存率などの重要臨床評価で改善が見られた
と結論付けられた 、と、スイスの病院での研究例を発表しています。

日本でも、近年、オーダーメイド・サプリメント等と呼ばれる、
遺伝子検査等とサプリメント販売を組み合わせたビジネスが広がっています。

しかし、関連法規をしっかり確認したう えで、ビジネスモデルを構築する必要があるます。
(欧米では医療に利用されている例が多い点に注意)。

厚生労働省は、遺伝子検査ビジネスについて、以下の通りの見解を示しています。

消費者向け遺伝子検査ビジネスとは
➢ 消費者自ら検体を採取。消費者に直接検査結果が返される。
➢ 統計データに基づき、疾患の罹患リスクや体質等を示すもの。
➢ 疾患リスクは、生活習慣病等の多因子疾患のみ対象(単一遺伝子疾患は対象外)
➢ 疾病の診断や治療・投薬の方針決定を目的とした医療分野の検査とは異なり、
利用者に気付きを与え、利用者自らの行動変容を促す サー ビス。

厚生労働省の検討会内における「消費者遺伝子検査ビジネス」の資料によると、消費者の遺伝子型とともに疾患リスク情報を提供する消費者向け遺伝子検査ビジネスにおいて、
以下 2つの要件を満たす場合、「診断」を行っていないとされています。
 遺伝子要因だけでなく、環境要因が疾患の発症に大きく関わる「多因子疾患」のみを 対象
 統計データと検査結果とを比較しているにすぎない場合

一方、消費者個人を特定して疾患リスクを予測・判断する行為は、
「診断」であり、医行為に該当するとされています。

現在、 遺伝子検査+サプリメント販売 というビジネスを考える上では、
以下の点に留意する必要があると考えられます。
● 検査結果をサプリメント販売会社が知ることは、事前に本人の了承が必要。
●個人の検査に基づき特定の商品に結びつけることは「診断」「予防」となり、
医行為となり、医師法に抵触する可能性が高い。
●また、「予防」のためにサプリメントを販売することは薬機法に抵触する。
●そのサプリメントが機能を発揮するという 科学的根拠がない場合は、
景品表示法、健康増進法上問題となる。

グローバルニュートリション研究会主宰  武田 猛

■GNGニューズレター 2019年12月2日号トピック

●キリンHD、機能性表示食品「iMUSE eye KW 乳酸菌(イミューズアイKW乳酸菌)」を発売
●農研機構、β-グルカンを豊富に含むもち麦の新品種を育成
●矢野経済研究所、スポーツサプリメントやボディメイクサプリメント市場に関する調査結果を発表
●いい筋肉づくりのカギは、植物性×動物性のダブルたんぱく(キューサイ調べ)
●ファミリーマートと帝人、戦略的パートナーで提携
●(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所、サトウダイコン根ジュースの運動効果を公表
●森永製菓、「酒粕と米麹」を使用した甘酒にストレス緩和作用が期待される成分が含まれることを発表
●厚労省、食薬区分の原材料リストの改正案を公表
●チラシの「お勧め商品欄」による影響、健康志向食品で顕著に~消費者庁

[今号のハイライト]
いい筋肉づくりのカギは、植物性×動物性のダブルたんぱく(キューサイ調べ)

[2019/11/22] [原文:kyusai.com]

キューサイ株式会社は、11月29日の「いい筋肉の日」に合わせて、全国に住む20代~50代の女性600名を対象に、筋肉とたんぱく質に関する意識調査を実施した。

今回は特に、筋肉に関するイメージや、筋肉づくりのための運動習慣、筋肉に欠かせない「たんぱく質」摂取への意識を調査した。


筋肉についてどのようなイメージを持っているかを聞いたところ 、「マッチョ」が73%と断トツでトップになり 、続いて2位「健康( 33.7%)」、3位「ボディメイク( 23.3%)」という結果になった。

また、筋肉でイメージする有名人について聞いたところ、 1位「武田真治(62.7%)」、 2位「なかやまきんに君(56.8%)」 、 3位「春日俊彰(オードリー)(42.2%)」という結果となった 。ここでも、筋肉=マッチョというイメージが強いことが裏付けられた。


過去2年間に、筋肉を増やすために何らかの運動を行ったかどうかを聞いたところ、「行った」と答えた人は 28.8%にとどまり、筋肉ブームと言われる割には、 実際に運動している人はそれほど多くないことが分かった。

とはいえ、 運動を継続している人に対して何らかの効果を感じたかを聞いたところ、「効果を感じた」と答えた人は約 70%と高い結果となった。
さらに、筋肉を増やすための運動により、どのような効果を感じたかを聞いたところ、 1位は「心への効果があった( 58.3%)」で、具体的には「ストレスを感じにくくなった」「充足感を得るようになった」と感じている人が多かった。次いで 2位は「身体が引き締まった( 55.8%)」、3位は「筋肉量が増えた( 38.3%)」という結果となった。


また、筋肉づくりに欠かせない「たんぱく質」を普段の食事で意識して摂るようにしているかを聞いたところ、運動を継続している人の約 70%が「意識して摂るようにしている」と回答した。


最後に、どの食品から たんぱく質を 摂るように意識しているかを聞いたところ、運動を継続している人は全体と比べて「特に意識していない」と答えた人の割合が大きく減少したほか、「植物性も動物性も、どちらのたんぱく質も積極的に摂るようにしている」と答えた人が 33.9%と、全体に比べて約2倍という高い結果となった 。

(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2019年12月2日号」より抜粋)

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18年間の実務経験と20年間のコンサル経験を積み、38年間一貫して健康食品ビジネスに携わる。国内外750以上のプロジェクトを実施。「世界全体の中で日本を位置付け、自らのビジネスを正確に位置付ける」という「グローバルセンス」のもとに先行する欧米トレンドを取り入れたコンセプトメイキングに定評がある。世界各地にネットワークを築き上げ、情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門に対して、商品開発・マーケティング・海外進出などのコンサルティングを行っている。人が幸せに生きるためには健康が第一である。健康食品産業は「幸せ創造産業」である、という信念のもと、クライアントの成功を通じ、消費者に支持される業界を目指し、業界で働く人すべてが自分の仕事に誇りと自信をもてるようにしたいという想いから、業界健全化活動にも取り組んでいる。

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