Fonterra社、発酵企業2社と事業提携、ほか|GNGグローバルニュース2024年9月10日号

こんにちは、GNG武田です。

今号では、ニュージーランドの大手乳業企業であるFonterra社の、代替たんぱく質への取り組みの記事が掲載されています。
代替たんぱく質への取り組みは活発ですが、ビジネスとしての成功にはもう少し時間が必要なようです。そのような中、大手乳業企業であるFonterra社がスタートアップ企業と事業提携を結んだことは注目に値します。
代替たんぱく質事業の成長阻害要因の一つが、味や食感ですが、Fonterra社は世界の消費者が求める「おいしくて、優れた食感、機能を持つ」商品開発を目指します。
代替たんぱく質スタートアップ企業の多くは、自社のシーズを中心にプロダクトアウト型の事業展開を考えがちですが、Fonterra社のように、マーケットイン型の事業展開をしてきた企業は意外と少ないと思います。

New Nutrition Business 8月号では、プラントベースたんぱく質事業(主に新興企業にとって)を5フォース分析しています。

その結果は

  • 競争は激しく、既存の大手企業でさえ黒字を達成するのに苦労している。
  • 技術を向上させるために常に新たなコストがかかるため、資金力のある既存企業が有利となる。
  • 強力なマーケティング力、顧客との関係、市場で高く評価されている技術的ノウハウは、既存企業に有利。
  • 市場シェアの開拓には時間がかかる上(10年以上)、コストがかかり、新規参入企業にはリスクが大きい。

というものです。

しかし、Fonterra社のような有力な乳業企業が、自社の強みと組み合わせて事業展開を進めていけば、スムーズに事業化が出来るのではと思います。

いきなりプラントベース代替品を狙わず、最初はハイブリッド戦略、動物たんぱくとプラントベースたんぱく質のメリットを上手く組み合わせて市場浸透させていくというプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)が可能だと思います。

代替たんぱく質は、遠くない未来、必ず必要になります。ただ、利益を上げるられるようになるには時間が必要です。たんぱく質事業は、時間軸を視野に入れたPPMにより、成功の可能性が高まるのではないでしょうか。

武田 猛

この記事について

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■GNGグローバルニュース 2024年9月10日号 トピックス

Market News マーケット
●Amazonで販売されている商品の多くに不正表示
●消費者は筋肉の健康維持に注目
●糖尿病治療薬による肌トラブルを予防 
●香港のトレンド:ブームとなったエイジングケアサプリ、NMNと地元市場向け戦略
●韓国国内の紅蔘需要は低下したが輸出は好調

Science News サイエンス
●プロテイン補給は、運動をする習慣がない人でも筋肉の健康を改善する可能性
●加工肉と未加工赤身肉の摂取は2型糖尿病リスクを上げる可能性

Company News 企業情報
●ケルプバーガー新興企業、Akua社が営業終了
●Impossible Foods社、シカゴにポップアップストアをオープン
●Fonterra社、発酵企業2社と事業提携
●アジアにおける健康な加齢:Nestle研究機関、アジアサミットで発言
●Synbio Tech社のプロバイオティクスがタイFDAに受理

Regulatory News 法規制
●中国、NMN計量に関する業界基準の草案を作成

[今号のハイライト]
Fonterra社、発酵企業2社と事業提携

[2024/8/15] [nutraingredients.com]

ニュージーランドの乳業大手、Fonterra社は、米バイオマス発酵スタートアップ企業、Superbrewed Food社、並びに精密発酵企業のNourish Ingredients社の2社と事業提携を結んだことを明らかにした。Fonterra社はこれにより、CO2排出削減目標の実現を目指し、同時にアニマルフリーのたんぱく質、脂肪、脂質の開発により力を注いでいく。

Superbrewed Food社は、その商品である細菌バイオマスたんぱく質の「Postbiotic Cultured Protein」が、食品成分として米食品医薬品局(FDA)の通知を受けたことで注目されている。同商品は、たんぱく質を85%以上含み、必須アミノ酸および分岐アミノ酸、鉄や亜鉛、リン、ビタミンB12などを豊富に含有するもので、乳製品からスポーツニュートリション、製菓など幅広い業界の関心を引いている。

また、Nourish Ingredients社との提携によりFonterra社は、アニマルフリー脂肪の開発に取り組み、従来、乳脂肪に頼っていた製菓などの分野への拡大を目指す。Nourish Ingredients社の精密発酵技術は、通常の乳製品が持つクリーミーな味わい、香りを生み出し、チーズやクリーム、バター生産に適している。

Fonterra社は「2社との提携により、世界の消費者が求める『おいしくて、優れた食感、機能を持つ』商品の誕生がさらに近づく」と期待を寄せている。さらに、事業提携は、商品開発や生産拡大ばかりでなく、同社が掲げる、脂肪・たんぱく質補正乳1トンあたり30%の温室効果ガス排出削減目標をかなえる役割が大いに期待される。もちろん、環境に負荷を与えない成分を生産しながら、同時に味や機能性を損なわず、さらに付加的効果を得ることも目的だとしている。

Superbrewed Food社 のプラットフォームを利用することで、複数の原料の発酵や代替たんぱく質ソリューションの開発を促進することが可能となる。一方、Superbrewed Food社 のCEO、Bryan Tracy氏は「今後は、乳糖を多く含む成分、パーミエイトを原料とした発酵ソリューションの開発など、次世代バージョンの高品質で持続可能な代替たんぱく質を生産し、米市場での販売にも取り組んでいく」として、事業提携を歓迎している。

 (会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2024年9月10日号」より抜粋)

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