DSHEA:米国サプリメント業界新規参入企業への10のアドバイス、ほか|GNGグローバルニュース2023年12月25日号

こんにちは、GNGの和泉です。
12月25日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号では、超加工食品(UPF)に関する議論、オメガ3市場の課題と今後の見通し、全卵の摂取が子供の骨の健康や成長を促進、MCTとウォーキングの組み合わせが高齢者の健康を改善する可能性が示された研究や、プロバイオティクス、シンバイオティクスに関する研究、また、Chr. Hansen社とNovozymes社の合併に関する続報や、米国サプリメント業界への新規参入企業が知っておくべきDSHEA(ダイエタリーサプリメント健康教育法)についてなど、盛りだくさんです。是非ご覧ください。

法的枠組みが不明確なCBDですが、特にEUと英国のCBD市場にとって厳しい状況が続いています。少し前に、欧州委員会はCBDをノベルフード成分とみなす決定を下したものの、安全性について結論を出す前に対処すべき知識のギャップがあることが明らかになりました。
英国については、カンナビノイド産業協会(ACI)によると、CBD製品の法的枠組みが徐々に具体化しつつあることが示唆されていますが、EUおよび英国市場における、特に食品・飲料カテゴリーでの新製品の開発は非常に難しい段階にあるようです。

このため欧州では、CBDの代替となる成分が台頭しています。例として、Gencor社の「Levagen+」は、消費者がCBDに求める、関節の不快感の緩和、健康的な睡眠、運動後の回復などのベネフィットを提供するパルミトイルエタノールアミド(PEA)製品です。同社は、「PEAはエンドカンナビノイド系と相互作用するが分子そのものはカンナビノイドではないため、合法的に世界中でCBDと同様のメリットを提供することができる」と主張しています。
この他に、一部の企業からは、メンタルウェルビーイングを促進することで知られるハーブのカバや、エンドカンナビノイド系の適切なシグナル伝達に必要で身体の恒常性を促進するEPA・DHAも、CBDの代替成分として注目されているようです。

CBD市場は規制の確立に向けて大きく変化しているものの、当面は不透明な状況が続くことが予測されます。

皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。

和泉 美弥子

この記事について

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■GNGグローバルニュース 2023年12月25日号 トピックス

Market News マーケット
●超加工食品の需要は継続するが、加工技術に関する透明性がカギ:Mintel社の考察
●オメガ3市場の最新情報:アンチョビ不足で供給問題が重くのしかかる

Products News 商品情報
●昆虫養殖市場の成長はアジアから:FlyFeed社の視点

Science News サイエンス
●未成熟アボカド成分を使用したサプリメントが肥満成人の疾患リスク低減に有効である可能性
●ショウガ抽出物が筋肉量の損失を防ぐ可能性
●全卵の長期摂取は若者の成長を促進しマイクロバイオームを改善する可能性
●コラーゲンペプチドが男性アスリートの睡眠や認知機能に有益な影響を及ぼす可能性:RCT
●中鎖脂肪酸摂取とウォーキングの組み合わせは高齢者のHRQOLを改善する可能性
●プロバイオティクス摂取はハーフマラソン後の筋肉疲労を軽減する可能性:RCT
●シンバイオティクスは精神・感情の健康に有益な影響を及ぼす可能性

Company News 企業情報
●Haleon社、パーソナライズされたヘルシーエイジングと腸内マイクロバイオーム製品に注力
●Clever Carnivore社、低コストの培養豚ソーセージ生産に向けて資金調達
●Chr. Hansen社とNovozymes社の合併後の新社名は「Novonesis社」

Regulatory News 法規制
●DSHEA:米国サプリメント業界新規参入企業への10のアドバイス

[今号のハイライト]DSHEA:米国サプリメント業界新規参入企業への10のアドバイス

[2023/12/12] [newhope.com]

米国サプリメント業界の規範となる「ダイエタリーサプリメント健康教育法(DSHEA:Dietary Supplement Health and Education Act)」は1994年に施行され、来年で30年目に突入する。

DSHEAは、サプリメントの品質、強度、成分、安全性を保証するための規制が網羅されている。また、製造に関する明確な規則を定め、サプリメントに関する現行の適正製造規範(GMP)の厳守を義務付けている。食品医薬品局(FDA)に対しては、サプリメント製造からヘルスクレームに至るすべての規制の作成と執行の権限を与え、また、連邦取引委員会(FTC)に対しては、広告におけるサプリメントのヘルスクレームを監督する権限を与えている。

ニュートリション業界専門の弁護士事務所、Amin Talati WassermanのIvan Wasserman氏と、米国栄養評議会(CRN)のMegan Olsen氏の二人が、同業界への新規参入企業に向けて、DSHEAに関して知っておくべき情報をまとめた:

・規制当局のウェブサイトを確認する
FDAおよびFTCの公式サイトはDSHEAに関する多くのガイダンス文書を掲載しており、手始めとして遵守すべき内容を把握するにはうってつけである。どちらも分かりやすく、また常に更新しているため、頻繁に訪問することが推奨される。

・成分に関する注意
ブランドはどんな成分でもサプリメントに配合できるわけではない。
DSHEAは、食品成分と「その他」成分という2種類の許容成分を規定しており、これらすべてを製品ラベルに表示しなければならない。食品成分には、食事を補完するためのビタミン、ミネラル、ハーブ、植物、アミノ酸などが含まれる。その他の成分には、賦形剤、増粘剤、保存料、甘味料、香料などが含まれる。新規食品成分(1994年以前に市販されていなかった成分)を使う場合、新規食品成分申請を提出しなければならない。また、以前に医薬品として使用された経緯のある成分はサプリメントに使用できない。サプリメント成分として認可されているかどうかの見極めは重要である。

・委託製造への監督
大多数のサプリメントブランドは、自社製品を製造せず受託製造業者に頼っている。これは全く問題ないが、ここで注意したいのは、安全でない質の悪い製品を製造した場合、あるいはラベル表示違反があった場合、DSHEAの規定では委託製造業者ではなくブランドオーナーが責任を負うことになる。つまり、委託先が原料、製造法、製造過程などに不正がないよう、厳しく監督する必要があるということだ。

・疾病低減表示は禁止
DSHEAでは、製品の表示(クレーム)に関して多くのルールが存在する。特に重要なことは、ブランドは疾病に関する表示は許されないということだ。
つまり、サプリメントで病気の予防、治療、治癒を謳うことは許可されていない。これは、普通の風邪から、感染症、心臓病、糖尿病などの慢性疾患に至るすべてが含まれる。明示的、直接的なものだけでなく、間接的、暗示的な疾病低減表示もルール違反となる。FDAは一般的な痛みも疾患とみなしているため、「痛みを軽減する」は許可されない。「コレステロール、血圧、血糖値、炎症」も同様で、「コレステロール値、血糖値を下げる」は認められず、「二日酔い予防」もアウトである。

・広範な表示ルール
前項の、「病気の治療、治癒、予防について表示してはならない」というルールは、製品パッケージだけでなく、パンフレットなどの販促材料、ウェブサイト、ソーシャルメディアなどの広告媒体にも適用される。例えば、あるブランド企業がある成分の医薬品的効能をブログで紹介したとする。企業は自社製品ではなく、その成分について紹介しているだけと考えるかもしれない。しかし自社製品にその成分が含まれている場合、FDAはその製品を医薬品とみなす可能性がある。

DSHEAが認める表示
FDAによれば、DSHEAは「人体の正常な構造または機能に影響を及ぼすことを意図した栄養素または食品成分の役割を説明することができる」構造/機能表示を認めている。「カルシウムは強い骨を作る」が良い例である。また、「栄養素または食品成分が、構造または機能を維持するために作用する手段を特徴づける」こともできる。例として、「コラーゲンは関節の健康をサポートする」などがある。また、一般的なウェルビーイングや、特定の栄養素欠乏に関連するクレームも許可される。ブランドは製品を市場に出してから30日以内にクレームをFDAに通知しなければならない。

・立証責任
ブランドは、製品に表示したクレームが真実であり、誤解を導くものではないことを実証しなければならない。つまり、FDAやFTCに対し、信頼できる科学的根拠を提出する義務がある。ただし、これには柔軟性があり、企業は個々の成分や最終製品に最も適した試験方法、研究デザイン等を使用することができる。しかし、この柔軟性がブランドを混乱させる場合もあり、検証プロセスを誤解するブランドも多い。例えば、科学的根拠となる研究で使用されたものと同じ用量、同じ製剤の製品でなければならない。また、ブランドは原料サプライヤーの成分に関する主張をそのまま鵜呑みにせず、使用する成分がDSHEAで認められているかを確認すべきである。

DSHEAに違反すると多額の罰金を科される可能性
DSHEAが刑法であることに注意が必要だ。場合によっては重い処罰が科せられる。ラベル表示違反や表示ミスに対しFDAが警告状を送付するが、ブランドが誤りを正せばそれ以上の措置を取られることはない。しかし、多大なコストや時間がかかることを理由に修正を先延ばしにした場合、ブランドにとって大きな損害を引き起こすことになる。また、警告状や483通達は公開文書のため消費者が簡単に検索できることも考慮すべきだ。その上、集団訴訟の弁護士は警告状を積極的に監視し、訴訟の機会をうかがっている。

DSHEA以外の法律
サプリメント規制はDSHEAだけではない。FTCにも、「Made in USA」ルールなど独自の規制がある。さらに、カリフォルニア州のプロポジション65など州ごとの法律があり、地方機関の細かい規制にも注意を払う必要がある。

・弁護士やコンサルタントを賢く利用
DSHEAを始めとする様々な法律を正しく解釈するのは至難の業である。サプリメント業界には規制に関する専門の弁護士やコンサルタントが数多く活躍しており、専門家と連係プレーを取ることが重要となる。また、CRNのような業界団体に加入しサポートを受けることも推奨される。Olsen氏は、「信頼できる業界団体、法律事務所、コンサルタントと協力することが重要だ」と語った。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年12月25日号」より抜粋)

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