韓国:依然として体脂肪減少が最大の需要で景気後退でもサプリメント市場は成長、ほか|GNGグローバルニュース2023年6月26日号

こんにちは、GNGの和泉です。

6月26日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号では、韓国市場やアジアの規制に関する最新情報、増加するハゲタカジャーナルに対する警告についての記事も取り上げていますので、是非ご確認ください。

さて、Journal of the American College of Cardiologyに掲載された最新の研究で、少量のアルコール摂取が脳のストレスを軽減し、心臓に良い影響を与えることが研究で示され、話題になりました。CNNやTIME誌で取り上げられたためご存じの方も多いと思いますが、以下、ご紹介させていただきます。

これまでの大規模疫学研究で、適量のアルコール摂取(女性で1日1杯未満、男性で1日1〜2杯)は、その他の摂取量に比べて心臓発作や脳卒中などの主要な心血管疾患発症リスクが低いことが示されていますが、いまだ正確な理由を解明できていません。

今回行われたマサチューセッツ総合病院の研究によると、軽度から中等度の飲酒が、脳内のストレスシグナルを減少させ、その結果、心血管疾患のリスクを低下させることが分かりました。

研究チームは、同病院が作成した大規模な研究データベースMass General Brigham Biobankに登録されている数千人の飲酒習慣を分析し、遺伝的要因や生活習慣などの危険因子を調整した後でも、飲酒が週に1〜14杯の人は、週に1杯未満の人よりも心臓発作や脳卒中になる確率が低いことが判明しました。

さらに数百人の登録者の脳スキャンを分析したところ、軽~中程度の飲酒をする人は、恐怖や脅威を処理する脳の部分である扁桃体のストレス反応が減少したことが分かりました。

但し研究者らは「アルコールの安全な摂取量は存在しない」として、お酒に手を伸ばす前に、どんな量の飲酒でもがんのリスクを高めることが判明していることも念頭に置き、ストレスを軽減する別の方法を見つけることが重要だと述べています。

ちなみに、軽い飲酒に代わるストレス軽減の有力候補は、瞑想と運動だそうです。

この研究に対し、「問題は、摂取量にかかわらずアルコールが様々な疾病に起因する死亡の増加につながることだ。軽度から中等度のアルコールで心臓の健康が向上するという論文タイトルは誤解を招く」、「軽度~中等度の飲酒者と禁酒者では、多くの個人的特徴が異なっている。アルコールが原因であることを証明することはできない」などといった批判的な意見もあります。

アルコール摂取については多くの議論がありますが、軽度の飲酒者としては、リスクを念頭に置いた上で今後もほどほどに楽しみたいと思います。

皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。

和泉 美弥子

この記事について

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■GNGグローバルニュース 2023年6月26日号 トピックス

Market News マーケット
●増加するハゲタカジャーナルが研究の信頼性を脅かす
●韓国:依然として体脂肪減少が最大の需要で景気後退でもサプリメント市場は成長

Products News 商品情報
●大豆輸入削減を目的とした英国のエンドウ豆たんぱく質プロジェクト
●葉から代替たんぱく質?大豆やエンドウ豆への依存を減らす「業界初」の開発

Science News サイエンス
●ココアとレッドベリーが高齢者の心血管系の健康を改善する可能性
●研究者らはブドウが腸内細菌叢に与える影響を探る
●乳児へのビタミンD投与量増加により、子どもの精神的健康リスクが軽減される可能性
●研究:ビタミンEは自己免疫を抑制しインスリン抵抗性を予防する可能性
●地中海食は脳年齢を下げ、認知機能の健康を改善する可能性
●腸内細菌叢が心臓の健康に及ぼす影響を示す研究結果
●プロバイオティクス/ハーブサプリメントは肺機能改善に有効であることが明らかに

Regulatory News 法規制
●ニューヨーク州議会、減量サプリメント販売を制限する法案を可決
●イノベーションの朗報か、食品ナショナリズムへの後退か。「メイド・イン・イタリー」法案を検証
●アジアの規制最新レビュー:マレーシアのサプリメント登録動向、シンガポールのビタミンB6警告など
●FDAの臨床試験ガイドライン更新:サプリメントへの影響は?

[今号のハイライト]
韓国:依然として体脂肪減少が最大の需要で景気後退でもサプリメント市場は成長、ほか

[2023/6/6] [nutraingredients-asia.com]

インフレーションや景気後退の波を受けながらも、韓国のサプリメント市場は繁栄を続けている。

韓国ではサプリメントは健康機能食品(HFF)として分類されている。韓国のHFF市場は、アジア太平洋地域において最も堅実な市場の一つと考えられているが、食品医薬品安全処(MFDS)が発表した1月のデータでも、国内に輸入されたサプリメントおよび機能性原料の輸入量が、2021年から2022年で20%成長し、27,045トンに達したことを示した。

小売市場でも2020年から2021年で10%の伸びを示しており、一般食品や医療機器、化粧品などの他部門と比較しても、HFF市場は好調である。その理由として、体脂肪低減や免疫サポートへの消費者の関心の高まりによるものであるとAceBiome社やAmway Korea社が論じている。

NutraIngredients-Asiaは、韓国市場の現状、トレンド、消費者意識、新商品などについて、業界をけん引する両社の見解を以下にまとめた。

●体脂肪低減と関節の健康
韓国の消費者の最大の関心は体脂肪低減で、それに続く、関節・骨、眼、認知、皮膚、肝臓の健康、血糖値低減が、目下の消費者の主要な懸念材料だと考えられる。
実際、体脂肪低減とウエイトコントロールは長くトレンドとなっており、消費者は毎年のように新しい機能性原料を探している。そのため、一つの成分がヒットしてもそのサイクルは短い。
ウエイトコントロールを訴求するプロバイオティクス「BNRThin」で知られるAceBiome社は、関節カテゴリーにも目を向け、サンビロート葉、ビタミンD3、Nアセチルグルコサミン(NAG)などを配合し関節の健康維持に特化した「AnaParactin」を発売した。
同社のMyeong Hee Kim氏は、「MFDSが関節の健康に関連する8成分を認可してから、このカテゴリーの成長は目覚ましい。また、高齢人口の増加もこの市場の成長に拍車をかけている」と語った。
Amway Korea社は、腸内細菌叢に関心を持つ消費者に照準を合わせている。COVID-19パンデミック以降、特に腸内細菌叢や免疫サポートに注目が集まり売上を伸ばしているという。さらに同社は、中高年から関心の高いプロテイン、骨・関節の健康分野、血液循環、血糖値管理、眼の健康維持、認知力維持分野等への事業展開を図り、最近、血糖値管理に特化したサプリメント「Glyco Down」を発売した。

●紅蔘、ビタミン、プロバイオティクス
HFF市場における生産額の面から見ると、紅蔘がトップを独走し、市場全体の22.7%を占めている。次にプロバイオティクスとビタミンが続く。
紅蔘とビタミンは免疫機能の維持・向上を求める消費者に人気が高く、プロバイオティクスは今や、類似品が市場に溢れているという。従って、差別化を図った商品の売れ行きは好調を続けるが、その他の多くは苦戦を強いられる。プロバイオティクス市場でも、ウエイトコントロールおよび腸の健康といった、機能性を併せ持つ商品が売れ続けている。
体脂肪低減を謳う、乳酸、ラクトバチルスガセリ BNR17を配合したAceBiome社の「BNRThin」は記録的なヒットを遂げ、2022年の売上高は前年比60%以上の成長を示した。
一方のAmway Korea社は、プロバイオティクス商品と診断およびライフスタイルコンサルテーションを統合したサービスを発表した。例えば、2020年に開始した「my Lab by Nutrilite」は、ユーザーの糞便サンプルの分析を基に、腸内細菌叢の改善を目的とした適切なプロバイオティクスを勧めるというものである。同社によると、このサービスは、単に商品を提供するのではなく、「人がより健康に生きるためにどうすべきか」という基礎的な疑問に焦点を絞り、総合診断、ライフスタイル指導、商品を統合したホリスティックなソリューションを提供するものである。
韓国の検索エンジンNaverが発行したレポートによると、「BNRThin」は40、50代の消費者によるリピート購入が最も多かった。また、2022年1月から2月の間で最も多く検索されたサプリメント成分は、オメガ3脂肪酸、ビタミンD、ビオチンだった。

●人気の購入チャネル
50代の消費者は、HFFをテレビショッピングで購入するが、20代から40代は概ね、オンラインから入手する。インスタグラムなどSNSチャネルでの購入は、20~30代の間で特に人気である。
Kim氏は、「テレビショッピングは人気だが、ショッピングプログラムへの参入には莫大なコストがかかるため、企業がこのチャネルで利益を上げるのは簡単ではないだろう」と推測する。見逃せないところでは、ライブショッピング、あるいはライブストリーミングショッピングの急激な成長で、Naver Shopping Live、Kakao、CoupangといったライブショッピングからHFFを購入する若い消費者の動きが目立つ。
パンデミックから3年ほど過ぎ、消費者の大量買い傾向は薄まってきたと、Kim氏は考える。インフレの波に押され消費者は財布のひもを締めるようになり、AceBiome社でも、「BNRThin Pro」の12カ月分パッケージから9カ月分パッケージに乗り換える動きが目立つという。

●新規の海外ブランド
HFF市場は、国内のKorea Ginseng社やCKD Bio社が優位だが、海外ブランド、特に直販業者の奮闘が目立ってきている。

Amway Korea社、Nuskin社、Usana社 Health Science社といった企業が、越境EC取引(CBEC)を介して韓国市場にじわじわと参入している。Kim氏によると、CBECを支えるのは個人売買を行う消費者で、その市場は年々増大している。他の世界的な大手企業もCBECに参入しつつあるという。理由として、彼らは韓国の輸入業者と違い、検疫や通関に時間を取られないため参入が容易なことが挙げられる。Kim氏は「今後2、3年で、多くの海外企業がCBECを介して韓国市場に参入するだろう」と推測した。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年6月26日号」より抜粋)

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