こんにちは、GNGの和泉です。
3月24日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号も、多くの市場調査結果や最新の研究、そして様々な規制の動きなど、海外業界メディアによる最新記事を紹介しています。
今号では、大規模なメタ分析によりパレオダイエットが最も健康的な食事法であることが示されたニュースを取り上げています。同記事によると、パレオダイエットの次にDASH食、地中海食が続くとのことです。研究者らは今後、単なる流行の食事法と括られているパレオダイエットの位置づけを再評価する必要がある、と述べています。
ご存じの通り、パレオとは、パレオリシック=旧石器時代の略で、パレオダイエットは農耕が始まる約1万年前までの狩猟採集型の食生活を取り入れた食事法のことを言います。推奨される食材は古来より自然にあった果物や野菜、ナッツ、肉(グラスフェッド)、魚、卵、種子等です。米や穀物、豆類といった農業革命以後の食材や炭水化物、砂糖、加工食品、調味料は避けるべき食材とされ、乳製品も避けるべき食材に含まれています。
しかしながら、代表的な乳製品のひとつであるチーズの人気は衰えていないようです。
イタリアのミラノではParmigiano Reggiano Consortium(パルミジャーノ・レッジャーノ・コンソーシアム)は、2022年のパルミジャーノ・レッジャーノチーズの売上高が、2021年の27億ユーロに対し29億ユーロと史上最高額を記録し、6.9%増加したことを発表しました。
輸出シェアは47%で、最大の海外市場は米国です。前年比8.7%増(2021年の12,867トンに対し2022年は13,981トン)となりました。数量は少ないものの日本への輸出も大幅に増加し、2021年の728トンに対し1,010トンと、38.8%増となりました。その他海外市場への輸出も増加しています。
乳製品への評価は未だに分かれており、消費者トレンドの細分化は今後も加速することが感じられます。
皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。
和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、動植物性タンパク質の制限を超えた次世代タンパク質「AngeoPro」、食事パターンとNCDリスク要因に関するシステマティックレビュー、パレオダイエットがトップに、ワイルドブルーベリー、アスリートの運動能力向上に関する可能性を示唆、FDAのガイドライン案に乳製品業界と植物性ミルク生産業者の両方が反発、など9の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2023年3月24日号 トピックス
Products News 商品情報
●動植物性タンパク質の制限を超えた次世代タンパク質「AngeoPro」
Science News サイエンス
●ビフィドバクテリウム属がサルコペニアのマーカーになる可能性:中国
●食事パターンとNCDリスク要因に関するシステマティックレビュー、パレオダイエットがトップに
●90%以上のトライアスリートがスポーツサプリメントを使用:スペイン
●ワイルドブルーベリー、アスリートの運動能力向上に関する可能性を示唆
Regulatory News 法規制
●ANHとNPAがFDAにNMNサプリメントの承認を要請
●香港でカンナビジオール(CBD)を禁止、THC濃度の制御が困難なため
●FDAがBiden政権への予算提案でDSHEAの現代化を提案
●FDAのガイドライン案に乳製品業界と植物性ミルク生産業者の両方が反発
[今号のハイライト]
FDAのガイドライン案に乳製品業界と植物性ミルク生産業者の両方が反発
[2023/3/10] [foodbeverageinsider.com]
アメリカ食品医薬品局(FDA)が提案した「ミルク」の定義についてのガイドライン案が、乳製品と植物性ミルク生産者の双方から批判を受けた。FDAは、穀物、ナッツ、植物から抽出された飲料を「ミルク」と呼ぶことができると提案したが、これには「乳製品業界の主張にもかかわらず、消費者が植物性ミルクに乳製品を含むことに混乱していない」と結論づけた。しかし、このガイドライン案には「乳製品と比較して、どのように製品が違うかを示す自発的栄養表示」を含めるように求められた。これにより、両業界の生産者が不満を持っている。
Maple Hill Creamery社のCEOであるJim Hau氏は、FDAが植物性飲料に「ミルク」という言葉を使用することを認めたことは驚くべきことではないと述べ、栄養表示を通じて消費者に透明性を提供することが重要であると語った。一方、Plant Based Foods AssociationのNicole Negowetti副社長は、消費者が植物性ミルクを選択する理由は、牛乳と異なる製品であるためであると述べ、自発的栄養表示に対して反発している。Oatly社のBrendan P. Lewis執行副社長は、自発的栄養表示によって、植物性ミルクが劣っていると誤解を与えるとして、FDAの提案を批判している。
2021年の小売販売データによると、売上高26億ドルで、ミルクは植物性食品の中で最も人気のあるカテゴリーであった。FDAは、このような需要の増加を受けて、ガイドライン案を作成した。2023 年4月23日まで電子コメントを受け付けている。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年3月24日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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