こんにちは、GNGの和泉です。
3月10日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号も、多くの市場調査結果や最新の研究、そして様々な規制の動きなど、海外業界メディアによる最新記事を紹介しています。
今号は特に、たんぱく質に関連する記事を数多く取り上げています。是非ご覧ください。
さて、そのたんぱく質についてですが、今年に入り、欧州委員会(EC)によりガイマイゴミムシダマシ(Alphitobius diaperinus)の幼虫がノベルフード(新規食品)として、様々な食品への原材料として使用されることが認可されたことは記憶に新しいと存じます。
昆虫のノベルフードとしての最初の認可は、2021年5月に認可された乾燥イエローミールワーム(Tenebrio molitor Larva)の幼虫で、その後、トノサマバッタ(Locusta migratoria)、ヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)が認められており、今回はそれに続く4番目の承認となります。
これらはナッツ類、チョコレートやスナック菓子、ピザやパスタ製品、ベーカリー製品、肉料理や肉代替品などの製品に使われる可能性がありますが、EU委員会のウェブサイトによると、アレルギーに関する警告が義務付けられています。
さらに、昆虫を使用する場合は製品の原材料リストに記載する必要があり、消費者は自分で購入するかどうかを決めることができるそうです。
欧州委員会は、食品のための昆虫飼育には、温室効果ガスの削減、水や土地の使用量の削減、食品廃棄物の削減など多くの利点があると述べています。また、国連食糧農業機関(FAO)は、昆虫は脂質、たんぱく質、ビタミン類、食物繊維、ミネラルを多く含む健康食品であると説明しています。
欧州食品安全機関(EFSA)は現在、昆虫製品に関する他の8つの申請を審査しているということです。
なお、イエコオロギについてはベトナムのCricket One社にのみ市場向け製品の生産が許可されています。欧州委員会は、今回のガイマイゴミムシダマシ(幼虫)についても天然昆虫由来の肥料やたんぱく質で世界をリードするフランスの企業、Ynsect NL BV社のみに生産を許可し、同社は1月26日よりガイマイゴミムシダマシ(幼虫)のマーケティングを開始しているとのことです。
Ynsect NL BV社は2011年に科学者および環境活動家によって設立され、French Tech Next 40(世界的なテクノロジーリーダーになる可能性がある最も成功したフランスのスタートアップ企業を対象とした政府の支援プログラム)およびB Corp認証を受けています。
日本でも昆虫食についてネット上で連日話題となっており、コオロギパウダーの危険性や、同じたんぱく質源である牛乳やおからなどの廃棄ロス問題への指摘、コオロギパウダー含有パンへの不買運動を含む過剰な反応など、様々なものがあります。
業界は冷静にファクトチェックを行った上で、正しい情報と選択肢を消費者に伝える必要があると感じています。
皆様のビジネスのお役に立てますと幸甚です。
和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、代替たんぱく質は本当に持続可能な食糧供給への最善の道なのか、HSF社が誇る発酵技術で生まれたFermtek™発酵シリーズ、健康と老化に役立つ「長寿のビタミン」エルゴチオネイン、注目を集める可能性、FDAがシリアルと穀物バーのビタミンDを強化、など10の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2023年3月10日号 トピックス
Market News マーケット
●代替たんぱく質は本当に持続可能な食糧供給への最善の道なのか
●乳製品産業の現在と今後
Products News 商品情報
●HSF社が誇る発酵技術で生まれたFermtek™発酵シリーズ
●プロバイオティクスの革新:組合せ、高精度、次世代菌株が将来を担う
●健康飲料のベンチャー企業がプロアスリートにパーソナライズされた栄養ドリンクを提供
Science News サイエンス
●食肉からマイコプロテイン食への変換はがん予防になる可能性
●プラントベースのペプチドが筋肉のコンディションを改善
●疾病に対するオメガ3:一次予防に焦点を当てたRCTの必要性を指摘
●健康と老化に役立つ「長寿のビタミン」エルゴチオネイン、注目を集める可能性
Regulatory News 法規制
●FDAがシリアルと穀物バーのビタミンDを強化
[今号のハイライト]健康と老化に役立つ「長寿のビタミン」エルゴチオネイン、注目を集める可能性
[2023/3/1] [nutraingredients.com]
エルゴチオネインは、キノコや発酵食品に含まれる天然由来のアミノ酸誘導体で、人体に必要な微量栄養素として注目されている。
発酵によってエルゴチオネインを生産するBlue California社のイノベーション担当副社長である Linda May Chan氏は、世界のエルゴチオネイン市場が急成長し、2022年から2029年の年平均成長率は36.2%と予測する。この成長の原動力は、エルゴチオネインが持つ数々の健康効果や老化における役割を裏付ける研究によって得られている。2015年、Blue California社は発酵によるL-エルゴチオネインの生産を開始し、この製品を「ErgoActive」として販売した。Leeds 大学の科学者たちは最近、エルゴチオネインが健康的な老化のための食事中の微量栄養素として十分に注目されているかどうかを調査した。彼らは、「エルゴチオネインは、多様な炎症性代謝障害や血糖値代謝障害の予防のための重要な食事微量栄養素として浮上しており、“長寿のビタミン”、およびダイエタリーサプリメントとして注目されている」と結論付けた。
エルゴチオネインは、1909年にフランスの化学者Charles Tanret氏が発見した成分で、主にキノコ類や発酵食品に含まれる。菌類や耐酸性細菌によってのみ生合成され、植物が根から取り込むため、ヒトは食事によってのみ摂取できる。ケルン大学の研究者は、エルゴチオネインがヒトの細胞に取り込まれるメカニズムを研究し、OCTN1という特定のタンパク質によって活発に輸送されることを発見した。このタンパク質は、肝臓、腎臓、脳など、全身のさまざまな組織で発現しており、エルゴチオネインが複数の器官系で重要な役割を果たしていることが明らかになっている。エルゴチオネインは加齢に伴う心臓病、糖尿病、癌、Covid-19などのウイルス性疾患に関連する慢性疾患の治療薬として使用できる可能性が示唆されている。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2023年3月10日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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