こんにちは、GNGの和泉です。
10月26日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号も様々なニュースが盛りだくさんです。
オーガニック業界についても取り上げています。2020年の米国オーガニック市場は前年比12.4%の成長を見せており非常に好調です。
記事では、2021年のトレンドなどについて専門家らが意見を交換しています。
米国のオーガニック市場については、先日のウェルネスフードワールドでも取り上げていますので、ご興味をもたれた方は研究会ウェブサイトのGNGブログも覗いてみてください。
(https://global-nutrition-lab.com/gng/u/X3NM/237/)
今号では、米国のプラントミート(プラントベース肉代替品)の売上が失速気味である、というニュースも取り上げています。
ニュースでも紹介していますが、米国のファストフード店におけるプラントベースバーガーやサンドイッチの注文数は、今年6月までの1年間で横ばい状態となっているそうです。
Yum! Brands が所有するKFC(ケンタッキーフライドチキン)は、2019年にBeyond Meat社のチキンナゲットを試験的に導入しましたが、今もまだレギュラーメニュー化には至っていません(グローバルニュース2019年9月12日号をご参照ください)。
世界中に約18,000店舗を展開しているBurger King(バーガーキング)は、Impossible Foods社のプラントミートを使用した「Impossible Whopper(インポッシブルワッパー)」を販売しています。
Impossible Foods社にとって重要な役割を担っているといえますが、Bloomberg Intelligence社は、バーガーキングの経営陣がインポッシブルワッパーのマーケティング費用を削減したことで、顧客の認知度が急落したと報告しています。
Twitterを含むソーシャルメディアを分析するCognovi Labs社のデータによると、ソーシャルメディア上でのBurger Kingのプラントミート商品に関する会話の数は、2019年から2020年にかけて67%も下落したそうです。
ただし今年2月、世界で39,000以上の店舗を展開するMcDonald’s (マクドナルド)社が、同社のプラントベースバーガー「McPlant」パティのサプライヤーとしてBeyond Meat社を採用し、これにより同社の株価は急上昇しました。
McPlantパティはマクドナルド社と共同開発したもので、Beyond Meat社が他社に提供している製品とは別物だそうです。
今のところ、この製品は欧州のいくつかの小規模な市場でのみ試験的に販売されているそうですが、11月3日から米国内8店舗でも期間限定のテスト販売が開始されます。マクドナルド社によると、パティにはエンドウ豆、コメ、ジャガイモが含まれているそうです。
ただし、前述のKFCのようにテスト販売を行ったもののレギュラーメニュー化まで辿りつけない、バーガーキングのように販売規模の縮小、本紙記事内のダンキンドーナツのようにプラントベースメニューをすべて撤廃、など、ファストフード業界におけるプラントミートは、まだまだ試行錯誤のようです。
「McPlant」が今後どう展開されていくのか、日本でも導入されるのかも含め、注目されるところです。
(株)グローバルニュートリショングループ 和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、 米国プラントベース肉代替品の減速はニッチな未来を示唆する、オーガニック商品の売上が急増:Organic at Retail: Trends and Insightsでの業界専門家の意見交換、米Whole Foods Marketが2022年のフードトレンド予測を発表、ケトンサプリメント摂取が肥満患者の脳機能を改善する可能性、米NY州連邦地方裁判所、GRAS制度に対する訴訟を棄却、など13の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2021年10月26日号 トピックス
●デンマーク政府、気候協定の一環としてプラントベース食品促進のため1億ユーロ以上の資金提供を発表
●米国プラントベース肉代替品の減速はニッチな未来を示唆する
●オーガニック商品の売上が急増:Organic at Retail: Trends and Insightsでの業界専門家の意見交換
●パンデミックによる植物・ハーブ産業の混乱は燃料不足も要因:AHPA
●英国、欧州のCBD市場は基準を上げ、統合の時代へ向かう:Tamarind Intelligence社プレゼンテーション
●中国の消費者は平均して週に2~3種類のサプリメントを摂取:Harbalife社調査
●米Whole Foods Marketが2022年のフードトレンド予測を発表
●ダイエットソーダが、特に女性や肥満の人に食物への強い欲求を促す可能性
●ケトンサプリメント摂取が肥満患者の脳機能を改善する可能性
●光に反応する遺伝子の操作により植物が日陰でも成長する可能性
●霊芝、マイタケ、ヒラタケの混合が腸内細菌叢に有益である可能性
●漢方使用は赤血球の生成を増加しドーピング違反を招く可能性
●米NY州連邦地方裁判所、GRAS制度に対する訴訟を棄却
[今号のハイライト]
米Whole Foods Marketが2022年のフードトレンド予測を発表
[2021/10/18] [newhope.com]米国の大手自然食品小売チェーンのWhole Foods Marketが「フードトレンド予測TOP10」を発表した。
Whole Foods Marketでは毎年、世界中のバイヤー、料理専門家など、50人以上のチームメンバーで構成されるTrends Council(トレンド評議会)が、長年の経験と専門知識、消費者調査、さらには新興・既存ブランドとの綿密なワークショップをもとにトレンド予測をまとめており、今回で7年目を迎える。
Whole Foodsは今回初めて、予測されたTOP10トレンドを代表する10商品を厳選して詰め合わせた「トレンド・ディスカバリー・ボックス」を提供する。50ドル以上相当の詰め合わせボックスが、期間限定で30ドルで販売され、消費者はすべてのトレンドを一度に味わうことができるという。
Whole Foods Marketが予測する2022年のフードトレンドは以下の通り。
・Ultraurban farming(超都会農業)
Whole Foodsは2013年、NY州ブルックリンに、Gotham Greensという温室システムを屋上に設置した先駆的な店舗をオープンした。Gotham Greensは太陽光と100%再生可能な電力を使用しており、サステナブルな方法でハーブやサラダ菜を栽培している。以降、水耕栽培や店舗内で栽培されたキノコ、さらにはロボットによって育てられた生鮮食品まで、屋内農業の革新が急速に進んでいる。
利用可能な土地が制限される大都市での垂直農法、屋上農園、温室は、新鮮な農産物の供給源としてますます重要になるだろう。
・You do yuzu(ユズ)
欧米ではまだあまり知られていないが、主に日本、韓国、中国で栽培されている柑橘類のユズが、現在、料理の世界を席巻している。ビネグレットドレッシング、マヨネーズなどに使用され、レストランでは、ライムやレモン、グレープフルーツに代わる香りづけとして使用されている。
・Reducitarianism(減量主義)
肉、乳製品、卵の消費を減らしたいが止めたくはない「プラントベースに興味のある」消費者向けのアプローチである。彼らはReducetarian(減量主義者、リデュースタリアン)とも呼ばれる。
動物性食品の選択において、彼らはグラスフェッドの肉や卵などのプレミアムな動物性タンパク質を選択する(さらに、Whole Foodsの肉部門で扱っている肉はすべて抗生物質不使用)。
・Hibiscus is happening(ハイビスカス)
ハイビスカスは豊富なビタミンCを含有し、お茶の世界では長い歴史がある。しかし現在では、その甘酸っぱい味やピンク色を活かし、炭酸飲料、フルーツスプレッド、ヨーグルト製品などでも使用される。
・Buzz-less spirits(ノンアルコール飲料)
Whole Foodsでは、アルコール度数の低いスピリッツ部門が記録的な成長を遂げた。ミレニアル世代やZ世代を中心に、ノンアルコールのカクテル「モクテル」等が人気を博し、低アルコール、ノンアルコール飲料やトレンドは2022年も継続すると考えられる。
・Grains that give back(土壌に優しい穀物)
2022年、土壌の健康に役立つ農法や農業プロセスを経て栽培された、環境を考えた食用穀物に注目が集まっている。特に、The Land Institute社によって開発されたKernza®は、甘いナッツのような風味と長い根を持つ多年生の穀物で、養分循環と土壌全体の生態系に一役買っている。現在、シリアルやビールに使用されている。
・Seize the sunflower seed(ヒマワリの種)
タンパク質と不飽和脂肪酸を豊富に含むヒマワリの種を使用したクラッカー、アイスクリーム、クリーミーチーズなどが増加し、21世紀のおやつ事情を一変させている。
ヒマワリの種をベースにした製品の多くは、ナッツ類を使用していないので、アレルギーをもつ子供のおやつにも適している(ただし、必ず製品ラベルを確認すること)。
・Moringa’s moment(モリンガ)
「奇跡の木」とも呼ばれるモリンガは、インドやアフリカなどで伝統的な薬草として使用されてきた。
モリンガの葉には豊富な栄養素が含まれており、成長が早く乾燥にも強いため、世界各地で栄養失調対策のための食料源として利用されている。
米国では抹茶の代替品として注目され、粉末状のモリンガは、スムージーやソース、焼き菓子に使用されている。また、フローズンデザートやプロテインバー、穀物ブレンドなど、意外な製品にも登場している。
・Functional fizz(機能的な炭酸飲料)
現在、人々は、おいしいだけでなく、甘さのバランスをとる成分を含む炭酸飲料を求めている。プロバイオティクスを配合したソーダや、プレバイオティクスや植物性成分などを加えた発泡性トニックなど、健康的で型破りな成分を加えた炭酸飲料が出てきている。
・Turmeric takes off(ターメリック/ウコン)
「黄金のスパイス」と呼ばれるターメリックは、何世紀にもわたってアーユルヴェーダや漢方薬として使用されており、米国ではダイエタリーサプリメントとして人気を集めている。
ゴールデンミルクラテやターメリックサプリメントは目新しいものではないが、最近では、シリアルやザワークラウト、はプラントベースアイスクリーム製品などの成分として定着しつつある。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2021年10月26日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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