こんにちは、GNGの和泉です。
この4連休や夏季休業などでどこかにお出かけになる方もいれば、家でのんびり、の方もいらっしゃるかと思います。
長引くCOVID-19の影響で、運動量が減ってしまった方も多いのではないでしょうか。そこで気になってくるのが体調や体重の変化です。
今回は健康に良いと言われ、なんとなく知っているようで意外と知られていない「地中海食(地中海式ダイエット)」と「DASH食(DASHダイエット)」そして「マインド食(MIND食)」をご紹介します。
地中海食(地中海式ダイエット)
1960年代から注目され始めた、クレタ島、ギリシャ、南イタリアなど地中海沿岸地域の人々の食習慣をもとにした食事法です。
ギリシャやイタリアなどの地中海諸国では、冠状動脈性心臓病による死者が米国や北欧に比べて少ないことが観察されています。
その後の研究により、地中海式の食事は心血管疾患の危険因子の減少と関連していることが判明し、ウエイトマネジメント、心臓と脳の健康、がんの予防、糖尿病の予防と管理など、多くの健康上のメリットをもたらす可能性があることが確認されました。
米国では、健康を促進し、慢性疾患を予防するために米国の食生活ガイドラインで推奨されている健康的な食事計画のひとつとなっています。
また、WHOでは健康的で持続可能な食生活パターンとして認められ、全米教育科学文化機関(the United National Educational, Scientific and Cultural Organization)により無形文化財として認められています。
さらに、米国の情報誌「U.S. News & World Report」では2019年から2年連続で「最高の食事法」に選ばれ、地中海式ダイエットはミールプランというよりライフスタイルであると言われています。
選考方法は、35種類の食事法から、実行のしやすさ、栄養価、安全面、ウエイトマネジメント、糖尿病・心臓病への影響、をもとに評価されています。
医学専門誌American Journal of Medicineに掲載されたレビューでは、地中海食は低炭水化物ダイエットと同じくらい減量に効果的であるそうです。
地中海式ダイエットの主な要素
では地中海式ダイエットとはどのようなものでしょうか。
地中海ダイエットは、地中海に接する国々の伝統的な料理に基づいた食事方法です。定義は1つではありませんが、通常、野菜、果物、全粒穀物、豆、ナッツと種子、オリーブオイルが多く含まれています。
厳格な制限などはありませんが、加工食品は認められていません。
米国を代表する医療機関メイヨ―クリニック(Mayo Clinic)によると、地中海式ダイエットの主な要素は次のとおりです。
- 毎日の、野菜、果物、全粒穀物、健康的なオイル・脂肪の摂取
- 毎週の、魚、家禽、豆、卵の摂取
- 適度な乳製品の摂取
- 赤身肉の摂取制限
- 家族や友人と食事を共にし、適量の赤ワインを楽しみ、適度な運動を含むアクティブなライフスタイルを心掛ける。
肉ベースではなく、プラントベース
野菜(特に緑黄色野菜)、果物、ハーブ、ナッツ、豆、全粒穀物などのプラントベース食品が中心の食事です。
そして適度な乳製品、シーフード、鶏肉と卵も重要です。対照的に、赤身肉の摂取量は減らします。
健康的な脂肪の摂取
オリーブオイルには、総コレステロールと(LDLまたは悪玉)コレステロールレベルを下げる一価不飽和脂肪が豊富に含まれています。ナッツや種子も同様です。
魚も重要です。サバ、ニシン、イワシ、マグロ、サーモンなどの脂肪の多い魚には、体内の炎症を軽減する可能性がある多価不飽和脂肪の一種、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。オメガ3脂肪酸はまた、脳卒中や心不全のリスクを減少させます。
食事のヒント
- 野菜や果物をたくさん食べる(豆、全粒穀物、野菜中心の食事)
- 全粒穀物を選ぶ。玄米、全粒パン、シリアル、パスタなど
- 週に1日はベジタリアン食に
- オリーブオイルを摂取する
- 魚を食べる(少なくとも週に2回)。マグロ、サケ、マス、サバ、ニシンなど。水煮缶詰でもOK。ただし揚げものは避ける
- 赤身の肉を減らす(肉の代わりに魚、鶏肉または豆を摂取する。肉を食べる場合は、脂肪が少ないことを確認する)
- 適度な乳製品を摂取する(低脂肪のギリシャまたはプレーンヨーグルト、少量のチーズなど)
- ハーブとスパイスを多用する(風味を高め、塩分摂取量を減らすことができる)。
DASH食(DASHダイエット)
米国国立心肺血液研究所(NHLBI)が、2011年に高血圧を予防し治療するために考案し、推奨しています。
DASHとは、“Dietary Approach to Stopping Hypertension”(高血圧症を抑える食事の提案)の略語で、薬を使わずに血圧を下げる目的で開発されました。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにも掲載され、医療の現場でも利用されているため、ご存知の方も多いかもしれません。
DASHダイエットは、推奨される食品を長期間摂取すれば、血圧とともに様々な健康リスクを下げることが出来ると言われ、こちらも「U.S. News & World Report」において2018年の「最高の食事法」に選ばれ、2020年では地中海式ダイエットにつづき第2位となっています。
地中海式ダイエットと同様、脂肪の少ないタンパク源、全粒穀物、食物繊維が豊富な野菜とフルーツ、低脂肪または無脂肪の乳製品、豆類、ナッツ、シードを中心に摂取します。
塩分と炭水化物を抑え、カリウム、カルシウム、マグネシウムの3つのミネラルと食物繊維を大量に摂取するという方法です。このミネラルは塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。
ナトリウムの摂取量は1日2,300mgまでに制限されています(参照:米国心臓協会は、1日のナトリウム摂取量を最大2,300mg、理想的には1,500mg以下としている)。
DASHダイエットで摂取すべき食材
- 全粒穀物(玄米、キヌア、ファッロ、フリーカなど)
- フルーツ(ベリー、リンゴ、オレンジ、梨など)
- 野菜(海藻も含む)
- 低脂肪または無脂肪の乳製品
- 脂肪分の少ない食肉と魚
- ナッツ、シード、豆類
- ヘルシーな脂質(エキストラバージンオリーブオイル、アボカド、ナッツ、シードなど)
2018年の心臓学専門誌Journal of the American College of Cardiologyが発表した研究では、412名の被験者が血圧を下げるために4週間のDASHダイエットを行ったところ、血圧だけでなく、ナトリウム摂取量も低下したそうです。
同じく2018年にAmerican Academy of Neurologyで発表された約1,000人(平均年齢81歳)の6年半にわたる予備調査では、DASHダイエットを行うと、うつ病を発症するリスクが最大11%減少したそうです。ただし、この研究は関連性のみを示しており、DASHダイエットがうつ病のリスク低下につながることを証明するものではないため、今後の研究が待たれます。
マインド食(MIND食)
前述の地中海式ダイエットとDASHダイエットを組み合わせたものがMIND食です。
シカゴのRush大学メディカルセンターが発表した食事法で、アルツハイマー病の発症リスクを低下させるといわれています。
学術誌 Alzheimer’s & Dementiaに掲載された約1000人を対象にした10年間の観察研究で、MIND食を取り入れたグループは、アルツハイマー病のリスクが53%も低減したそうです。
2020年6月に学術誌Neurology(オンライン版)に掲載された、約3,000人を対象にした観察研究でもMIND食と定期的な運動といった健康的な生活習慣を複数組み合わせることで、アルツハイマー病のリスクを60%も低減できる可能性が示唆されています。
健康に良い食品、健康に悪い食品
ではその食事方法ですが、10種類の健康に良い食品を積極的にとり、5種類の健康に悪い食品をなるべく避けるというものです。
- 毎日取り入れる食物: 野菜(特に緑黄色野菜)、ナッツ類、ベリー類、豆、玄米や全粒穀物、魚、鶏肉、オリーブオイル、ワイン(ポリフェノールを含むコーヒー・紅茶などでも可)
- 避けるべき食物: 赤身の肉、バターやマーガリン、チーズ、パン菓子やスイーツ、揚げ物やファストフード
COVID-19禍により家で食事をする回数も増えているかと思います。
DASHダイエットやMIND食は長期間継続することで効果が表れるそうですが、どの食事法も加工品を避け、できるだけ未精製な食材を選ぶことが重要だそうです。
もし興味をひかれた食事法があれば、始めてみてはいかがでしょうか。
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