シュガーレスでプロテインたっぷりで、しかもグルテンフリー…。消費者を惹きつけるトレンド活用したコンセプトメイキングの実例をご紹介します。
さて、今年も毎年恒例のNew Nutrition Business(NNB)から【10 Key Trends in Food, Nutrition & Health】が発表されました。
132ページという膨大なボリュームのため、会員向けの日本語要約版の送付は新年早々になる予定です。
一足先に英語版を読んでみたい、という方向けに会員ページにて公開したところ、1日足らずで120名以上もの人がダウンロードされていました。
このことからも、食品・栄養・健康食品業界における海外トレンドへの関心の高さがうかがえます。
今年も昨年同様、4つのメガトレンドが最初に示されていますが、昨年より更に踏み込んだ内容となっています。
4つのメガトレンド
- Mega Trend 1: Snackification at the heart of strategy
- Mega Trend 2: Naturally Functional
- Mega Trend 3: Fragmentation
- Mega Trend 4: Sustainability
メガトレンドとは、かつては独立したトレンドであったが今やカテゴリー、分野は関係なく「当たり前となっているコンセプト」のことです。
新商品開発において、これらのメガトレンドを考慮することは必須となっています。
Mega Trend 3: Fragmentationは、10 Key Trends2019までは、独立したトレンドとして取り上げられていましたが、2020からメガトレンドとなりました。思いの外早く、市場の細分化が進んでいるようです。
そして、Sustainabilityも、外すことのできないメガトレンドとなっているようです。
10 Key Trends in Food, Nutrition & Health 2020
- Key Trend 1: Digestive Wellness
- Key Trend 2: Good carbs, bad carbs
- Key Trend 3: Plant-based
- Key Trend 4: Sugar
- Key Trend 5: Protein
- Key Trend 6: Fat reborn
- Key Trend 7: Meat reimagined
- Key Trend 8: Provenance & Authenticity
- Key Trend 9: Energy 2.0
- Key Trend 10: Mood
新たに加わった3つのトレンド
Meat reimagined、Energy 2.0、Mood以外は、10 Key Trends2019と同じですが、この3つが2020から新たに加わったトレンドです。
但し、Energyは2014以来の復活、Moodは2008のMood Food以来の登場で、なかなか興味深いです。
New Nutrition Business10月号では、このトレンドを組み合わせることの重要性が紹介されています。
複数のトレンドを取入れたCatalina Crunch
Catalina Crunchは、低炭水化物訴求のシリアルですが、複数のトレンドを取り入れています。
・腸の健康(Digestive Wellness)
・良い炭水化物、悪い炭水化物(Good carbs, Bad carbs)
・シュガーレス(Less Sugar)
・プロテイン(Protein)
・プラント・ベース(Plant-based)
・本物らしさと来歴( Provenance & Authenticity)
複数のトレンドを消費者にとって魅力的になるように組み合わせて商品開発をする、この流れは益々加速していくと思われます。
10 Key Trends in Food, Nutrition & Health 2020、
日本語要約版を楽しみにお待ちください。
【NNB(New Nutrition Business)】とは、食品・栄養・健康の分野で読者の75%が企業の経営トップである、英国発信の業界専門誌です。ブランド戦略、マーケット分析、法規制、新技術に関する世界の動向を、日本語の要約付きでお届けしています(月1回)
NNBを日本語で読めるのは、弊社が主宰するグローバルニュートリション研究会だけ。詳しくはこちらをご覧ください。
*株式会社グローバルニュートリショングループは、New Nutrition Businessの日本におけるパートナー企業です。
今回、会員向けに日本語要約してお届けしたNNBのトピックは以下の通りです:
■NNB(New Nutrition Business)10月号 トピックス
●クランチをケトに替えて月商百万ドルとなった新規ビジネス
●E-コマース+消費者トレンド=イノベーションに向けた最高のステップ
●ケフィア先駆者がブランド再起をかけ、エンドウ豆たんぱく+CBDに救いを求める
●A2ミルクの概念を受け入れる、乳製品イノベーターの動向
●2019年:乳糖フリー乳がプラントミルクを追い越す年
●人気のボトルウォーターよりも更に人気のあるアルカリ水
●2つの長所の組み合わせ:ジム通いの人をターゲットにするチョコレートメーカー
●バーカテゴリーの創造的破壊を狙う北欧のチルド乳製品スナック
●ケトンブームで増大する高脂肪分含有バーのブランド
●肉と糖質に対する中国人消費者のゆるぎない愛
●「自分のために美味しいものを作るのが好き」
[今号のハイライト]
複数の消費者トレンドをうまく掛け合わせて成功したCATALINA CRUNCH
E-コマース+消費者トレンド
=イノベーションに向けた最高のステップ①
複数の消費者トレンドをうまく掛け合わせて成功したCATALINA CRUNCH
いくつものベネフィットをうまく掛け合わせることで、人によって少しずつ異なる(商品選択の)プライオリティを満たすことができる。
複数のトレンドを掛け合わせるといっても相性がある。例えば腸の健康と免疫力アップと心臓の健康、などというものを組み合わせてもうまくいかない。
というのも人は一度にひとつの特定のベネフィットを求めていて、心臓の健康といったものに人々はそれほど関心を寄せていないからだ。
しかし、「シュガーレスでプロテインが入っていて、良い炭水化物が控えめに入っている」というのは、朝食用シリアルにとってはよい組み合わせといえるだろう。
Catalina Crunchは、複数のトレンドを結び付けている
- 腸の健康:グルテンフリー、穀物フリー。チコリ繊維(イヌリン)とアカシアにより7gの食物繊維(1日摂取推奨量の25%)が摂取できる。
- 良い炭水化物:砂糖ゼロで26g中11gしか炭水化物が含まれていないほか、穀物フリー。最近話題のケトダイエットにより良い炭水化物を控えめにとりたい消費者志向に沿う。
- シュガーレス:オーガニック栽培の羅漢果で甘みをつけ、砂糖ゼロ。
- プロテイン:オーガニックのエンドウ豆由来のプロテインが26g中8~10g入っている。
- プラントベース:100%ビーガン。
- 由緒ある本物志向:1度に一窯しか生産されない、職人の手によるシリアル、と謳われている。
E-コマース+消費者トレンド
=イノベーションに向けた最高のステップ②
E-コマースがブランドにもたらす5つのベネフィット
- スーパープレミアム価格設定
高くても他のマス商品とは比較されず、健康志向で何かちょっと特別感のあるものを求めている消費者から選ばれる。
例えば、Catalina社の場合、シリアルを通常の2.5倍の価格で販売できている。 - マージンを省いて収益アップ
スーパーマーケットと利益を分け合うことなく、より多くの収益を確保できる。 - 顧客データが得られる
マス小売では得ることができない、誰が何をなぜ購入したのか、顧客データを得ることができる。(GoogleAnalyticsを侮るなかれ) - 顧客との関係構築ができる
直接顧客にコミュニケートでき、新しい製品を試してもらったり、興味深いコンテンツを通じて独自のアイデンティティを築くことができる。 - 小売店販売へのステップとして
E-コマースでテストし、基盤ができてから小売店へ持ち込めば、全く新しく何も証明されていない商品とは異なり、お願いしなくても陳列棚のベストポジションへ並べてもらえる可能性が高まる。
シニア経営層がマス流通を重んじるあまり、E-コマースに積極的でなく、やるにしてもマスとE-コマースを同時に進めようとするが、おすすめできない。
新製品は先にE-コマースで試してから、マス小売へ展開するべきだ。
スタートアップ企業・Hint社のフレーバーウォーターの事例
2005年に甘味料・保存料不使用のフルーツエキス入りフレーバーウォーターのブランドとしてスタート。
E-コマースに集中的に取り組む決断をするまではそれほどうまくいっていなかった。2012年、Amazonでの販売とともに自社サイトでの販売を開始。
消費者は、サブスクリプション(定期購入)の頻度を毎週・毎月・隔月から選ぶことができる。自社サイト限定品の販売やグッズのプレゼントなどがある。
顧客との関係を保ち「ヘルシーなライフスタイル」というふれこみで魅力的なオファーを続けている。
(会員向けニューズレター「NNBマガジン2019年10月号」より抜粋)
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