こんにちは、GNG武田です。
今号も興味深いケーススタディが取り上げられていますが、共通するメッセージは「消費者トレンド」を取り入れることの重要性です。
「論説1」では、20年前、一世を風靡したウエイトロスブランドWeight WatchersとSlimFastの衰退の歴史について解説しています。
Weight WatchersにとってはiPhoneの登場(2007年)が、SlimFastにとってはAtkins Dietの登場(2003年)がイノベーションとなり、消費者行動を大転換させるエポックメイキングな出来事になりました。
そしてその後、消費者トレンドに大きな変化が起こりました。
詳しくはケーススタディをご一読いただきたいと思いますが、大成功したブランドでも、消費者トレンドの変化によりその基盤を失うという、示唆に富む事例です。
同様なことがシリアル業界でも起こりつつあります。
消費者トレンドを取り入れた、ニッチなチャレンジャーブランドが、大手ブランドの市場シェアを侵食しています。
大手ブランドのQuakerは、「機能性食品の作り替え」戦略として、既存製品にヘルスクレームを付け加え製品リニューアルを実施しましたが、進化する消費者嗜好に対応できず失敗に終わったようです。
得られる教訓は、「消費者トレンドには敵わない」ではないでしょうか?
もう1つ興味深いのは、「伝統食品」の力強さです。
NNBは「伝統食品こそが真の破壊的イノベーションである」とまで言っています。
NNB10キートレンドやケーススタディで取りあげられている事例をみても、「伝統食品」には多くの成功事例が見られます。
「伝統食品」が支持されるのは、そこに「楽しみ」があるからではないでしょうか?
そして、その「楽しみを許容する」ためのテクノロジーがイノベーションとなって成功を生み出しています。
代替プロテインに失敗事例が多いのも「人々が既に楽しんでいるものの単なる代替品に過ぎない」と指摘しています。
これは示唆に富む言葉です。
食品と健康の分野でもっとも一貫して成功している戦略は「伝統的な食品を再発明する」というもの、というメッセージは、我々日本企業にも参考になる考え方だと思います。
今号も示唆に富む内容が満載です。
そして会員の皆さんにお知らせです。
NNBは示唆に富む参考書として活用できます。
多くの方により早く、よりわかりやすくお届けするためにフォーマットを変更することを検討しました。
現在お届けしているPower Point形式は2017年から採用し、全文翻訳ではなく要約してお届けしてきました。
この数年、NNBのボリュームが年々増加し、要約版では正確な内容をお伝えすることがボリューム的に難しくなってきました。
また、スペースの関係で文字が小さくなり、読みにくくなっています。
そこで、今後は以下の方向に改善していきます。
・要約ではなく、全文翻訳
・お届け期間を半分に
現在、英語版発行からお届けまで約1か月かかっていますが2週間に短縮。より早く最新の情報をお届けできるようになります。
・フォーマットを「A4縦」にし、文字の級数も大きく読みやすく改良
7月号から新しいフォーマットでお届けできるように準備を進めています。
今まで以上にNNBをご活用いただけるように、最善を尽くします。
楽しみにお待ちください。
武田 猛
この記事について
GNGでは、会員向けに英国発信の食品・栄養・健康分野の業界専門誌【NNBマガジン(New Nutrition Business)】を日本語に要約し、定期的にお届けしています(月1回)。
毎月、最新情報を「定点観測」することで、ブランド戦略、マーケット分析、法規制、新技術に関する世界の動向を素早くつかむことができます。
この記事では、その会員向けマガジンの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
■NNB(New Nutrition Business)5月号 トピックス
今回、会員向けにお届けしたNNB日本語要約版のタイトルは以下の通りです:
●往年のダイエットブランドの売上高低迷は時代の終わりを示唆
●シリアルの販売不振でヴィンテージ戦略を展開するPepsiCo社
●大企業はチャレンジャーブランドを簡単に拡大できるか?
●発酵乳製品が急成長
●伝統食品こそが真の破壊的イノベーションである
●さらなる成功をもたらしそうなYakult 1000の新たな健康への切り口
●Fable Food:プラントベースはスーパーマンの弱点クリプトナイト鉱石
●プラントベース食品の失速で、牛肉人気が復活
●変化のタネ:環境再生型のソバの実が米国で流行
●AI活用のペプチドライブラリー、イノベーションにかかる時間を数十年短縮
●ドバイチョコレート:伝統スイーツを再発明して大ヒット
●将来を見据えたフライ:McCain社の目標は100%環境再生型農業
●たんぱく質のリーダーは、新しいマルチフレーバー、マルチベネフィットブランドで革新
グローバルニュートリション研究会の会員企業の皆様は、会員ページで最新記事から過去10数年分のバックナンバーまですべての記事を読むことができます。
[今号のハイライト]
往年のダイエットブランドの売上高低迷は時代の終わりを示唆
かつて20世紀後半に市場を圧巻したウエイトロスブランドにとって、 2025年は終焉の年になるのだ
ろうか。Weight WatchersやSlimFastなどのブランドはここ20年間、確実に衰退してきた。さかの
ぼれば2012年の時点で、すべての警告灯が赤色に点滅していた。最近、OzempicやWegovyと
いった減量薬の人気が急上昇したことは、まさに最後の一撃となった。The Wall Street Journal紙
の報道によると、 Weight Watchersは財務立て直しのため、米連邦破産法第11条(チャプター11)
の適用を申請する準備を進めている。
(会員向けニューズレター「NNBマンスリーレポート2025年5月号」日本語要約版より抜粋)
【NNB(New Nutrition Business)】とは
「NNB(New Nutrition Business)」とは、食品・栄養・健康の分野で読者の75%が企業の経営トップである、英国発信の業界専門誌です。
ブランド戦略、マーケット分析、法規制、新技術に関する世界の動向を、日本語の要約付きでお届けしています(月1回、11月&12月は「10キートレンド」として合併号を発行)。
NNBを日本語で読めるのは、弊社が主宰するグローバルニュートリション研究会だけ。
会員は、過去10数年分のバックナンバーを英語と日本語の両方で入手可能です。
*株式会社グローバルニュートリショングループは、New Nutrition Businessの日本におけるパートナー企業です。
※ グローバルニュートリション研究会とは?
世界中のニュートリションに関する情報の洪水の中から価値ある情報を厳選し、タイムリーに提供する、日本で唯一のサービスです。
単なる情報ではなく、これまで、弊社が関わった800以上のプロジェクトから得た経験や知見もお伝えしています。
ご多忙の皆様が、業界動向を短時間で把握できますよう、お役に立てることができましたら幸甚です。
最新記事 by 武田 猛(たけだ たけし) (全て見る)
- いざExpo West、注目ポイント振り返り|ウェルネスフード・ワールド第118回 - 2025年2月20日
- NNB10キートレンドとプロテインビジネスのこれから|ウェルネスフード・ワールド第117回 - 2024年11月27日
- 機能性表示食品の届出制度変更、ポイント解説|ウェルネスフード・ワールド第116回 - 2024年10月21日