こんにちは、GNGの和泉です。
7月12日号のグローバルニュースをお届けいたします。
今号もバラエティに富んだ海外の最新ニュースを取り上げています。ぜひご覧ください。
皆様もご存じの通り、近年、日本で承認されていない食欲抑制剤である医薬品成分のシブトラミンやフェンフルラミンが輸入サプリメント製品から検出されており、複数の健康被害事例が報告されています。
米国ではさらに顕著で、最近Journal of Clinical Pharmacology誌に発表された研究によると、米食品医薬品局(FDA)のヘルスサプリメント製品データベースを調査したところ、2007年から2021年の間に販売されたサプリメント製品のうち、1,068種類に処方薬に含まれる有効成分や人体に使用するには危険と判断される成分が含まれていることが判明しました。
調査で汚染されていることが判明したサプリメントの54%は精力増強、35%はウエイトロスを訴求したもので、その多くには主にシルデナフィル、シブトラミンが含まれていたとのことです。シブトラミンは米国でも心臓発作や脳卒中のリスクを高めるという研究結果を受け、2010年に米国市場からの撤去が勧告されている成分です。
現在、米国成人の58%がダイエタリーサプリメントを利用していると言われています。
業界団体のCouncil for Responsible Nutrition(栄養評議会)による最近の調査によると、米国の消費者は、サプリメントの品質と安全性に中程度の信頼感を持っていることがわかりました。
しかしながら前述の調査でもわかるように、これは誤った信頼感であるといえます。
米国ではすでに29,000を超えるダイエタリーサプリメントが販売されており、さらにサプリメント製品の市販前承認は不要とされています。
FDAは、米国で病気の治癒、緩和、治療、予防を謳い販売されたサプリメント製品から未申告の新規成分を使用したものまで、違反の対象となった製品をリスト化したHealth Fraud Product Database(健康詐欺データベース)を公表しています。
しかし公表されているのはたったの1,888製品です。
データベースから漏れている適正でない製品が他にも数多くあることが想像できるため、消費者を健康被害から守るために更なる尽力が求められます。
和泉 美弥子
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、タイがオーガニック食品生産と大麻テックでASEANリーダーの座を狙う、Mars社、非動物由来の乳タンパク質を使用したチョコレートブランド「CO2COA」新発売、血中DHA、高濃度でアルツハイマー病のリスクを半分するとの研究結果、「代替肉の躍進はまだ始まったばかり」:ADM社の考察 、など18の記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
……グローバルニュートリション研究会 会員企業様は、会員サイトにて、すべての記事をお読みいただけます。
■GNGグローバルニュース 2022年7月12日号 トピックス
MARKET NEWS マーケット
●タイがオーガニック食品生産と大麻テックでASEANリーダーの座を狙う
●プラントベース食品ブランドと外食産業とのタイアップ傾向
●Natural Foods Merchandiser市場レポート2022:小売業が好調
Products News 商品情報
●Mars社、非動物由来の乳タンパク質を使用したチョコレートブランド「CO2COA」新発売
●米国大手スーパー各社、垂直農法で地元調達された商品提供でサステナブル推進
●オランダの研究チーム、トマト葉からタンパク質「ルビスコ」の抽出に成功
Science News サイエンス
●血中DHA、高濃度でアルツハイマー病のリスクを半分するとの研究結果
●米国予防医療専門委員会、健常者のビタミン・ミネラルサプリメント使用について疑問視
●NMNの新たな臨床知見:NAD(H)レベルの明らかな上昇
●微量栄養素の摂取、精神疾患の程度に影響
●多数のCBD商品からTHCを検出:ケンタッキー大学研究
Company News 企業情報
●「代替肉の躍進はまだ始まったばかり」:ADM社の考察
●GOED、小売チェーンのWeis Marketと提携で消費者へオメガ3脂肪酸の情報を提供
●Apparo社、ひまわりの種子をアップサイクルしたタンパク質商品化のパートナー募集
●Mondelēz社、Clif Bar & Company買収でスナックバービジネス10億円規模へ
Regulatory News 法規制
●EFSA、CBDの危険性を指摘しノベルフード評価を一時停止
●サプリメントの「ナチュラル」表記に対し、米国で集団訴訟
●Nutri-Scoreラベルシステム、広く認知されれば若者の健康的な食品選択に役立つ可能性
[今号のハイライト]
タイがオーガニック食品生産と大麻テックでASEANリーダーの座を狙う
[2022/5/11] [foodnavigator-asia.com]
タイ政府は経済ブースト効果を狙い、オーガニック食品生産と大麻テクノロジー開発に注力し、その分野で東南アジアのリーダーとなることを視野に入れている。
タイは国家有機農業開発計画(2017-2022年)のもと、オーガニック食品分野の発展に数年間投資を続け、これまで340ものプロジェクト立ち上げている。
タイ農業・協同組合省(MOAC)によると、オーガニック関連の輸出は、2017年から2020年の間に平均成長率44.46%という継続的な成長を見せており、2021年1月から11月のオーガニック関連の輸出額は12.4億バーツ(36.2百万米ドル※)となった。特に米、ドリアン、マンゴスチン、ヤングココナッツ、ココナッツミルク、緑茶などは大幅な拡大をみせている。MOACは有機農業開発計画(2023-2027年)を策定中であり、同分野の更なる発展につながる研究・プロジェクトのため8億51.1百万バーツ(24.9百万米ドル)の予算を確保しているという。
また東南アジアで唯一、THC含有量0.2%未満のCBD製品を麻薬分類から除外しており、2018年からは東南アジアで初めて医療用大麻の使用を認めるなど、大麻産業の発展も狙っている。同産業の研究とイノベーションの支援に特化した施設も建設中だ。MOACのMananya Thaiset副大臣は、「大麻は地域の農家に安定した収入をもたらす大きなポテンシャルがある。私達はこの産業の成長を支援し、今年完成する同施設をASEANの大麻栽培における中心地とするべく事業を進めていく」と述べた。
※1バーツ:0.0292米ドルで換算
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2022年7月12日号」より抜粋)
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和泉 美弥子
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