COVID-19後の世界に向けた戦略、ほか|NNBマガジン2020年8月号

こんにちは、GNGの若林です。

今号のNNBでは、「COVID-19後の世界に向けた戦略」が取り上げられています。

これは、4月号の「COVID-19後の貴社の戦略を特徴づけるための12の質問」の後、質問項目を増やし、その中でも特に今後1~2年の間に最も重要と思われるものに優先順位をつけた内容となっています。

記事の中で一番目に挙げられたのは、「流行を犠牲にして伝統が復活するのか?」という質問でした。

同じ質問は4月号にも挙げられていましたが、今回はより重要視されています。

NNBはこの傾向がしばらく続くと予測しています。その根拠として、ロックダウン時には流行のプラントベース肉代替品よりも肉の需要が高かったこと、衰退していたブランドの需要がCovid-19禍で増加したことなどを挙げています。

健康に対する不安が、廃れていたカテゴリーに息を吹き込んでいるようです。

この他にも、「地元」はブランドや原材料にとってより重要になること、衛生・安全・品質はより重要視されること、商品・ブランド・新規ビジネスは減ることなどを同記事内でNNBは予測しています。

このような「伝統」「地元」に注目する傾向は、COVID-19禍で始まったものではありません。

「来歴」というトレンドは既に拡大しており、NNB 10 Key Trends 2019・2020に一つのトレンドとして挙げられていました。

NNB 10 Key Trends 2020の「本物らしさ&来歴」の4つの戦略としては、以下のようなことが書かれていました。

1.まずは、地元のもの・本物

消費者にとっては「地元のもの」が環境的にサステナブルであり、出所がはっきりしていることから信頼感を与える

2.地元だけではない、本物・ナチュラルなもの

中国でニュージーランドの商品が人気であるように、地元に限らず、本物ナチュラルなものを消費者は望む

3.「○○スタイル」

特定の地域や特定の「職人的」な生産方法で作られた商品に魅力がある

4.来歴高価を保証する

特定の場所からしか調達できない特定の成分で、効果が示されているものを選択する

「職人技の」「本物の」「地元の」といった特定のキーワードで販売している商品が増えていることも示唆されていました。

GNGグローバルニュース2020年7月28日号掲載記事「COVID-19禍でたんぱく質源に対する消費者意識に変化」でも、消費者は食品の品質透明性サステナビリティに関心を示しており、価格との折り合いが課題となることが述べられています。

他の商品との差別化を図る戦略として、そして食品の安全性に対する姿勢が高まった消費者のニーズを満たす戦略として、「来歴」のトレンドが改めて関心を集めていることが読み取れます。

(株)グローバルニュートリショングループ 若林 恵理

この記事について

GNGでは、会員向けに英国発信の食品・栄養・健康分野の業界専門誌【NNBマガジン(New Nutrition Business)】を日本語に要約し、定期的にお届けしています(月1回)。

毎月、最新情報を「定点観測」することで、ブランド戦略、マーケット分析、法規制、新技術に関する世界の動向を素早くつかむことができます。

本日配信したNNBマガジンでは、

飽和脂肪を豊富に含む自然食品に関する見解、良い脂肪に対する議論の変化、などを取り上げています。

この記事では、その会員向けマガジンの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

■NNB(New Nutrition Business)8月号 トピックス

今回、会員向けに日本語要約してお届けしたNNBの話題は以下の通りです:

●プラントミルク物語:Oprah氏のオーツ麦vsラボ製「ミルク」
●COVID-19後の世界に向けた戦略
●Coke社の戦略上の失敗はジュースのパイオニア商品ラインの終わりを意味する
●飽和脂肪を豊富に含む自然食品に関する見解
●良い脂肪に対する議論の変化
●新しい甘味料の可能性を探る:ブレンドすべきか、せざるべきか
●“Desert Milk”で多様化する乳製品
●日本の海苔巻きを米国の嗜好に合わせた野菜たっぷりのスナックに
●「プロテインを多く、炭水化物はごく少量、砂糖を減らす」が引き続き米国人の重要な健康課題

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[今号のハイライト]
COVID-19後の世界に向けた戦略

1995年にNew Nutrition Businessの創刊号を発行した時には、ウイルスのパンデミックのような混乱について書くことになろうとは想像もしていなかった。しかし、想像しておくべきであった。COVID-19は稀な事象ではない。過去にも多くの疫病があり、今世紀ではSARS(2003-4年)、H1N1(2009年)、MERS(2014年)が起こっていた。これらのことは、ある日更に深刻なことが起きるかもしれない、と我々にくぎを刺していたのだ。

重篤なCOVID-19がそれなのかもしれないが、ソーシャルメディアや主要メディアが言うように、本当に「何事も同じように戻ることはない」のだろうか?歴史の教訓や人間の心理は、新たに表れた具体的な証拠を伴って、その発言が間違いであると示唆している。

(会員向けニューズレター「NNBマガジン2020年8月号」日本語要約版より抜粋)

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