本日配信のGNGニューズレターでは、冒頭の巻頭言にて、武田がここ数年その重要性について様々な場面で発信されることが増えてきたウェルビーイングの概要をご紹介しています。
国内ニュースからは、明治、発酵乳がカロテノイドの吸収を促進効果について研究成果発表、 神戸大学とダイセルが包括連携協定を締結、ビフィズス菌摂取による軽度認知障害患者の認知機能改善、脳萎縮進行の抑制効果、といった話題を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
こんにちは、GNG武田です。
現在、あるプロジェクトでアジアの健康食品市場の分析をしています。各国とも、COVID-19の影響を大きく受けたことがわかりました。
代表的な例として、免疫サポートの意識が高まったためプロバイオティクス・サプリメントが好調です。NNB10キートレンドからは「免疫」は外れましたが、少なくともアジア(日本を含む)では、「免疫」は外せないトレンドだと思います。
また、ロックダウン等の影響で在宅勤務やデジタル画面を見る機会が増えたために、アイヘルスサプリメントの需要も高まっています。
そして、外出自粛のため運動不足等により体重増となったため、またその栄養成分としての重要性がより知られるようになったため、プロテインも好調です。販売チャネルも、従来のダイレクト販売(主にMLM)はマイナストレンドですが、EコマースやTVショッピングが伸長しています。
そして、消費者のマインドも大きく変わっているようです。
国によって違いはありますが、
・サステナビリティ
・クリーンラベル
・アクティブライフ
といったマインドが高まっているようです。
そして、「ウェルビーイング」という言葉も出てきました。アジアでも、COVID-19の影響でSDG’sやウェルビーイングへの関心が、今まで以上に高まったようです。
本号では、「食を通じたウェルビーイング」について考えてみました。
(株)グローバルニュートリショングループ 武田 猛
GNGニューズレター(国内情報) 2022年7月1日 トピックス
<国内ニュース(要約)>
MARKET NEWS マーケット
●ケイティケイ、プロテイン選びに関する500人アンケート調査結果発表
●食事でのダイエット経験女性500人に調査 失敗&成功方法ランキング
●電通、新型コロナウイルス禍前後の通販行動に関する実態把握調査を実施
COMPANY NEWS 企業情報
●伊藤ハム米久ホールディングス、「めざせ1日80g!たんぱく摂ろう会」設立
●神戸大学とダイセルが包括連携協定を締結
SCIENCE NEWS サイエンス
●ビフィズス菌摂取による軽度認知障害患者の認知機能改善、脳萎縮進行の抑制効果
●明治、発酵乳がカロテノイドの吸収を促進効果について研究成果発表
●キムチ由来のプロバイオティクス研究で肥満防止効果の可能性示唆
●大阪公立大学、酢の物摂取習慣と血圧の関係について調査結果発表
[今号のハイライト]
ビフィズス菌摂取による軽度認知障害患者の認知機能改善、脳萎縮進行の抑制効果
[原文:research-er.jp]
順天堂大学大学院医学研究科ジェロントロジー研究センターの浅岡大介准教授、大草敏史特任教授、佐藤信紘特任教授らは、ビフィズス菌の摂取による軽度認知障害 (MCI: Mild Cognitive Impairment) 患者の認知機能改善および脳萎縮進行の抑制効果をについて研究し、その効果を確認した。
同研究では、順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センターをフィールドとして、軽度認知障害の患者130名を対象とするプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施し、ビフィズス菌摂取による認知機能、MRI画像診断における脳萎縮度および腸内細菌叢への影響を確認した。プロバイオティクス試験食品の摂取については、対象者をランダムに2群に分け、ビフィズス菌を200億個含む粉末(スティック)、またはプラセボ粉末(スティック)を1日1スティック、24週間摂取してもらい、認知機能検査(ADAS-Jcog・MMSE)を摂取前と8週間後、16週間後と24週間後の4回実施し、脳萎縮度(頭部MRI(VSRAD))と腸内細菌叢解析(糞便採取)の評価を摂取前と24週間後の2回実施した。
ADAS-Jcog.による認知機能検査では、ビフィズス菌の摂取により、プラセボ摂取群と比較して「見当識」と呼ばれる評価項目が有意に改善されていることが明らかになった。一方、別の認知機能検査(MMSE)では、認知機能が低い(MMSE<25)サブグループにおいて「時間の見当識」、「文章書字」の項目が有意に改善していることが示された。
また、ビフィズス菌の摂取前と摂取24週間後に頭部MRI検査を実施し、脳萎縮の状態を評価した結果、摂取前後の変動値比較では、全脳委縮領域の割合の変動において脳萎縮の進行度合いに両群間で有意差(P=0.0134)が確認され、プラセボ群に比べ、ビフィズス菌摂取群では、脳萎縮の進行が抑制された。
MMSEで認知機能が低い群(MMSE<25)と高い群(MMSE≧25)とでのサブグループ解析を行った結果、認知機能が低い群において、ビフィズス菌の占有率が低いことが確認された。
ビフィズス菌は、加齢とともに著しく減少することが知られている。今回、そのビフィズス菌摂取によって軽度認知障害(MCI)患者の認知機能が改善することを確認した。この成果を得て、今後は、腸の環境と脳機能との関連性について、実地医療の視点で確認していきたいと研究者らは考えている。本論文はJournal of Alzheimer’s Disease誌のオンライン版に2022年5月7日付で公開された。
(会員向けニューズレター「GNGニューズレター2022年7月1日号」より抜粋)
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