4つの次世代プラントベースたんぱく質:FoodNavigator-USAウェビナー、ほか|GNGグローバルニュース2022年4月26日号

こんにちは、GNGの和泉です。
4月26日号のグローバルニュースをお届けいたします。

今号では、次世代のプラントベースたんぱく質、大手サプライヤーによる糖質制限戦略やExpo Westで注目された飲料、ポストバイオティクス研究ブームなど、さまざまなニュースが盛りだくさんです。

その中で、4月から英国でジャンクフードの広告に対する新しい規制が施行、というニュースを取り上げています。

英国イングランドでは、他にも政府による肥満対策の一環として、4月6日より従業員数250人以上の大型飲食店でメニューへのカロリー表記が義務づけられました。

英国メディアのBCCによると、英国のジョンソン首相は元々、塩分、脂質、糖質を多く含む食品への課税に対して批判的でした。しかし新型コロナウイルスに感染した際、自身の肥満が原因で重篤な状態に陥ったことで、国としての対策に本腰を入れた経緯があるということです。

但し一部では批判的な声も上がっており、英国の摂食障害慈善団体は、カロリー表示が摂食障害や過食症の人々のカロリー制限への固執や罪悪感を強める可能性があると懸念しています。

摂食障害の治療は主に「食事を楽しむ」ことを目指すものですが、カロリー表示がされているメニュー表を見た場合、患者は反射的にまず「一番カロリーの低い食事」を探してしまい、選択基準が「食べたいもの」ではなくなってしまうのだそうです。

英国では約125万人もの人が摂食障害を抱えており、彼らへの影響についても検討するよう政府に呼びかけているとのことです。

しかしながら、ご存知の通り英国は肥満大国で、今日、英国成人の約3分の2(63%)が健康的な体重を超過し、その半数は肥満という状況です。さらに、小学校を卒業する子どもの3人に1人がすでに体重過多、5人に1人が肥満となっています。

英国の国民保健サービス(NHS)によると、多くの英国成人は1日に200〜300カロリー余分に摂取し、太りすぎまたは肥満の子供は最大で1日に500カロリーも余分に摂取しているのだそうです。早急に必要以上のカロリーを摂取しないための対策を講じる必要があります。

外食では、一見すると低カロリーに見えて実は1日に必要なエネルギー量を優に超えるメニューが多々存在しています。

今回の規制の施行により、事実を知った上で食べるか食べないかを決定する権利が消費者に与えられ、安全で健康的な食事を探すための選択肢の幅が広がるのではないかと感じています。

和泉 美弥子

この記事について

GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。

本日配信したグローバルニュースでは、4つの次世代プラントベースたんぱく質:FoodNavigator-USAウェビナー、ポストバイオティクス研究がブーム、Aleph Farms社、2024年までに細胞培養コラーゲンの商品化へ、など15の記事を取り上げています。

この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。

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■GNGグローバルニュース 2022年4月26日号 トピックス

MARKET NEWS マーケット
●持久力系アスリートの約80%がサプリメントを利用:米国
●4つの次世代プラントベースたんぱく質:FoodNavigator-USAウェビナー
●アジアのアグリフードテック分野が熱い:スタートアップに関する洞察
●サプライヤーが糖質制限戦略の進化と栄養プロファイリングシステムの影響を詳しく説明

Products News 商品情報
●Expo WestでNew Hope編集者を驚かせた8つの飲料
●Equinox Organic Kombucha社のコンブチャ売上が急上昇

Science News サイエンス
●ポストバイオティクス研究がブーム
●PS128がパーキンソン病の症状やスポーツのパフォーマンス改善に有効である可能性
●プロバイオティクスのHafniaが過食を抑え肥満進行を防ぐ可能性
●オメガ3脂肪酸濃度がMDDの治療反応予測に役立つ可能性

Company News 企業情報
●Eat Just社の「Just Egg」が欧州ノベルフード承認を取得
●Aleph Farms社、2024年までに細胞培養コラーゲンの商品化へ

Regulatory News 法規制
●英国、ジャンクフードの広告に対する新しい規制を4月から施行
●FDAおよびFTCが、CBD商品のCOVID-19に関する不正表示で7社に警告状送付
●FTC、不正なヘルスクレームを続けるメーカーに対する販売・広告中止命令案を提出

[今号のハイライト]
4つの次世代プラントベースたんぱく質:FoodNavigator-USAウェビナー

[2022/4/8] [foodnavigator-usa.com]

ポンガミア、ヘンプ、オオムギ、ヒヨコマメの4つが、次世代のプラントベースたんぱく質として熱い視線を浴びているという。

FoodNavigator-USAのウェビナー「Plant-based protein in focus」で、パネリストらが紹介した。

これからのプラントベースたんぱく質開発事業では、たんぱく質含有量や機能性の増大を実現することが新しい機会への扉を開けるカギになるという。

●ポンガミア
ポンガミアはマメ科の樹木植物で、東南アジアからオセアニアに生育する。この豆には油脂やたんぱく質が豊富に含まれ、少ない肥料で高い生産性を誇るという。米カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするTerviva社は、ポンガミアの栽培から加工までを行い、「Ponova」ブランドのもと、ポンガミア粉、オイルなど食品原料として幅広い用途に提供している。「ポンガミアは味にクセが無く、豆臭さを感じない。油脂や水とうまく結合し、弾力性が高いので、パンケーキミックスやクラッカーなど幅広く応用できる」と、パネリストの一人、Justin Shimek氏は説明した。

●ヘンプ
ヘンプは良質のたんぱく質や多価不飽和脂肪酸(PUFA)、マグネシウムなど多くの栄養素を含み、スーパーフードとしての関心が集まっている。米コロラド州を拠点とするNepra Foods社は卵の代替原料としてヘンプに注目し、アレルゲンを含まないパン・菓子商品原料の開発に力を注いでいる。同社のChad White氏は、「消費者の中にはヘンプの苦味を気にする人もいるが、殻をしっかり取り除くことによってこの問題は解決する。私たちのインドのパートナーは、苦味、臭みの無い99.9%たんぱく質アイソレートを生産している。また、この乳化作用は素晴らしく、ヘンプミルクやチーズの生産に役立つ。一般のチーズ成分のカゼインが提供する「溶かす」「広がる」という作用をヘンプたんぱく質が代行できる」と語った。

●オオムギ
食品原料メーカー、EverGrain Ingredients社は、大手酒類メーカーのAB InBev社の支援を受け、醸造後のオオムギの廃棄物を利用した商品を生産している。オオムギ廃棄物のアップサイクルによるオオムギたんぱく質は、高い溶解性と低い粘性で、水に容易に溶け込む。麦芽とキャラメルの風味は、チョコレートやバニラなどとの相性が良い。味や機能性が素晴らしく、アップサイクルというサステナビリティに即した生産方法で、今後も成長が見込まれる。EverGrain Ingredients社のGregory Belt氏は、「大規模工場を米セントルイスに設立し、また、今年後半にはプロテインミックスパウダーやシェイクなどの一般消費者向け商品も販売予定だ」と述べた。

●ヒヨコマメ
良質なたんぱく質を含む豆として、さまざまな料理に応用されている。栄養価が高いだけでなく、加工適性に優れ、水分や脂質吸収が良く、その乳化作用からも用途の幅は広い。

こうした高いポテンシャルを持つプラントベースたんぱく質原料が、ニッチからメインストリームへ移るには何が必要なのか。良質なたんぱく質を生産するには、栽培から加工までの過程で、コストパフォーマンスの高い技術を拡大していく必要がある。

例えば、栽培においては、最新の遺伝子技術による作物改良や、商品生産期間の短縮を可能にする技術などが求められていくだろう。必要な最新技術は一つだけでなく、複数の技術が高品質のたんぱく質、高栄養価の商品開発、生産高の拡大、味の改善や臭みの除去など、消費者のニーズに対応できる商品を生み出す力になる。

(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2022年4月26日号」より抜粋)

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