Covid-19の影響によるオリンピック延期の話題が盛んに取りざたされています。
歴史上、近代オリンピックが延期になった例はなく、開催中止された5回はいずれも戦争によるものでしたので、現在の状況が世界的に非常事態と認識されていることをますます痛感せざるを得ません。
アスリートのコンディションを考えると、今後どうなるかわからない不安な情勢下で、これまで通りトレーニングを続けていくのは精神的にも負担が大きいように感じました。
本日のグローバルニュースでも、スポーツ関係の記事を2本取り上げています。
1つは電解質豊富な「ピクルスジュース」の話題です。ハードな運動によって失われたエレクトライト(電解質)が補給できるほか、足のけいれんにも効果が期待できるという内容です。
もう1つはバスケットボールに代表される屋内スポーツ選手にビタミンDが不足している、というサイエンスニュースです。
ビタミンDは、GNGイチオシ成分の一つでもあります。
食と栄養面からのアプローチで未然にケガを防ぎ、コンディションを整え、パフォーマンス向上を図れる可能性があるこの「スポーツニュートリション」という分野の研究は、今後ますます注目されているものと思われます。
この記事について
GNGでは、会員向けに世界各国の健康・食・栄養に関するニュースをセレクトし、日本語に要約したものを月に2回、ニューズレター「GNGグローバルニュース」として配信しています。
本日配信したグローバルニュースでは、 バスケットボールなどのインドアスポーツの選手のビタミンD不足、藻類などプラントベースDHAの未来、FDAのCBD商品に関するレポート発表など 12記事を取り上げています。
この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。
■GNGグローバルニュース 2020年3月26日号 トピックス
●ピクルスジュースはスポーツニュートリション業界でスプラッシュを起こす
●Covid-19の感染拡大で中華、イタリア料理への関心度が激減;Google Trendsデータ分析
●Salutem Supplements社、ヘアケアに特化したサプリ「AF-8 Hair Therapy」販売をアジアなどに拡大
●Square Baby社の食品アレルギー予防「Square Meal System」に新メニュー2種類が登場
●植物由来DHAは地球温暖化による海洋由来DHA激減の穴埋めができるか
●宇宙栽培のレタスが宇宙飛行士に栄養素を補給する可能性
●屋内スポーツ選手の多くがビタミンD不足、ビタミンD補給が重要課題
●Nestle社、欧州プラスチック協定に署名、再生可能プラスチックへの切り替えに尽力
●PepsiCo社、Rockstar社を38億5,000万ドルで買収
●FDA、CBD商品に関するレポートを発表、CBD関連企業・団体は失望
●TGA、虚偽のラベル記載、広告を行ったとして2社に罰金科す
●EFSA、Biogaia社のプロバイオティクス配合トローチのヘルスクレームを却下
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[今号のハイライト]
屋内スポーツ選手の多くがビタミンD不足、ビタミンD補給が重要課題
[2020/3/11] [nutraingredients-usa.com]
大学で屋内スポーツに参加する選手にビタミンD欠乏が蔓延しており、ケガの発症やパフォーマンス低下のリスクが高いため、ビタミンD補給は、ケガ防止、パフォーマンスアップの重要な対策となる。こうした研究結果が米国の研究で示唆された。
ビタミンDはスポーツ選手の全体的な健康とパフォーマンス維持に重要な役割を果たすが、欠乏すると骨折、骨粗しょう症、くる病の発症リスクが高まる。ビタミンD補給の重要性は認識されているが、これまでの研究はスポーツ選手以外の一般被験者、特に高齢者を対象にしたものが多く、スポーツ選手に必要な摂取量については明らかになっていない。
George Mason University、Mayo Clinic Health System Sports Medicine Research研究チームは、George Mason Patriotsバスケットボールチームメンバーの2018~2019年シーズンにおけるビタミンD補給と血清中の25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)濃度の関連を検証した。
試験開始時の25(OH)D血中濃度によって、チームメンバーを最適群(125 nmol/L超)、十分群(75~125 nmol/L)、不十分群(75 nmol/L未満)に分けているが、被験者の65%(20人中13人)がビタミンD不足と評価された。この数字は、9カ国のスポーツ選手2,000人の血液サンプルを調べた研究で56%がビタミンD不足とした結果と矛盾しない。
ビタミンD不足は特に、褐色系の皮膚の色を持つスポーツ選手に多いことも分かっている。
今回の研究では、ビタミンDを不十分群(13人)に10,000IU/日、十分群(5人)には5000IUを摂取してもらい、適切群(2人)は補給しなかった。被験者の体組成、皮膚色素沈着、日光暴露、食事摂取、血液も同時に評価した。シーズン終了後に25(OH)D濃度を測定したところ、最も大きな変化を示したのは高用量の10,000IUを与えた不十分群で、35.0±27.0 nmol/Lだった。
この結果はビタミンD濃度の季節的減少に対し予防策となることが示されるが、適切な濃度に達したとは言えない。また、5000IUは季節的減少の予防にもならなかった。研究者は「スポーツ選手は普段の食事から必要量を摂取するのは困難なため、ビタミンD補給は安全で有効な対策」としている。本研究はNutrientsに掲載された。
(会員向けニューズレター「GNGグローバルニュース2020年3月26日号」より抜粋)
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